作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

プレトニョフのピアノソナタ集

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今日はプレトニョフのピアノソナタ。結構記事を書いたんですが、ブラウザの操作を誤って消えてしまい、がっくり。1時間分くらいの作業が消えてしまいました(涙)
気を取り直して、軽めにリライト。

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プレトニョフのハイドンは10月17日の記事でピアノ協奏曲を取り上げましたが、そのアルバムの1枚目がピアノ協奏曲で2枚目に収められたピアノソナタの方はレビューしておりませんでした。最近ようやく聴いてみたところ、協奏曲と同様、プレトニョフらしいコンセプチュアルなアプローチでしかも抜群の出来。ということで、あらためて取り上げたと言う次第です。

ハイドン音盤倉庫:怪演! ミハイル・プレトニョフのピアノ協奏曲集

ミハイル・プレトニョフ(Mikhail Pletnev)のピアノによるハイドンのピアノソナタと変奏曲。収録順に曲を紹介すると、最初は変奏曲ヘ短調(XVII:6)、ピアノソナタXVI:20、XVI:52、XVI:50の3曲です。録音は1988年11月、イギリス南部のバークシャー州ニューバリーの聖マーティン教会。ネットで調べたところかなり田舎にある小さな教会のようですね。日本ならさしずめ安曇野の古民家のようなロケーションでしょう。アルバムとしての選曲はハイドンのソナタの有名曲を集めたベストな選定という趣のアルバム。

最初の変奏曲へ短調。速めのテンポで入って、各変奏のキャラクターを鮮明に描き分けて進めます。ピアノが眼前にリアリティ高く定位する素晴しい録音ですね。ニューバリーの聖マーティン教会は録音に絶好のサイトなんでしょう。かなり速めのテンポで弾き進めますが、不思議と速さが災いせず、非常に緊密な構成感を生んでいます。振り切れる部分と静寂の対比も鮮明。音符を音楽としてどう鳴らすかと言う部分に非常に鋭敏な感覚をもっているように聴こえます。

続いてソナタXVI:20。変奏曲より20年以上前の1771年の作曲。1楽章は優しいタッチで曲を軽めにとらえて徐々に力を増していきます。変奏曲同様、フレーズごとの演出のめくるめく変化が素晴しい演奏。
2楽章は突然左手がスタッカートしまくりの超個性的な演奏。ただしこれはこの美しい2楽章の曲の本質を見抜いた上での確信犯的アプローチですね。途中から右手に現れる、命を洗われるような磨き抜かれた右手のメロディーは宝石のようなキラメキ。深く深く沈みゆったりと流れる音楽。
フィナーレは比較的自然な演奏。指が完全に温まった最高の状態でピアノを弾いているような完成度。最後まで張りつめた緊張感が持続する素晴しい演奏です。XVI:20からノックアウトですね。

続くXVI:52ハイドンのソナタの代表曲のような存在の曲。作曲は1794年。冒頭の一音から衝撃を受けました。なんと言う余裕のある豊かな響き。完璧にリラックスしてピアノの響きに任せた至芸。冒頭の一音で曲の位置づけを決定する素晴しいコントロール。2楽章はとぼとぼとした足取りになりこの曲の詩情を表現。極上のひと時です。そしてフィナーレ。ここまでそれぞれの音の変化をきちんとつけて鮮明なフレージングを聴かせる演奏はないんじゃないでしょうか。プレトニョフが曲を完全に消化して自身の音楽に編み直しているのがよくわかります。

最後はXVI:50。作曲は1794~5年。この曲では前曲までのプレトニョフの創意を尽くした表現から、曲自体に語らせるような自然な表現に。このアルバムの中では一番オーソドックスな演奏です。2楽章、3楽章は良い意味で力が抜けて、最後は非常に抑制の効いた表現で、この曲自体に語らせるアプローチ。これも見事です。

プレトニョフのハイドン、評価は全曲[+++++]としました。いままで全くノーマークでしたが、この演奏はハイドンのピアノソナタの演奏における極点の一つでしょう。リヒテルのピアノ力感と極上のアダージョの織りなす至福の時間、ブレンデルの千変万化する響きとリズムを美しいピアノの音響にのせた演奏、純粋に美しい響きの中にハイドンの曲を浮き彫りにしたアックスなど、名演の多いハイドンのソナタですが、プレトニョフはこれまでの誰とも似ていない、曲をコンセプチュアルに分解して、極上の音に再構築した、ハイドンの曲の神髄をえぐるような表現。アプローチとしてはグールドにも近いんですが、グールドは完全にグールドのハイドンになってしまって、もはやハイドンの曲と言うには個性的すぎる存在。

要は非常に気に入ったということです。プレトニョフのハイドンは他に録音があるのかわかりませんが、手元にはこのアルバム限り。この録音もすでに20年以上の時が経過していますが、演奏も録音も素晴しいので、その魅力が時の流れに褪せることはありません。ベートーベンなどの演奏は最近もリリースされているようなので新録音がリリースされるという期待は持てますね。



今日は意外に朝早く目が覚めて、昨日の片付けやら未登録アルバムの登録やらをしていました。いい加減やって朝食を食べたところで眠くなり一休み。目が覚めてから近所の床屋さんに行ってのんびりおしゃべりを楽しみながらさっぱりやってもらいました。それからいつものようにスポーツクラブで1キロほど泳いでサウナでリフレッシュ。

夕食までの間、ハイボールを飲みながらプレトニョフの記事をちょこちょこ書いていた次第。

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最近のローテーションはニッカの宮城醸造所で買った「仙台12年」スモーキーな香りがなかなか良いですね。

今週は仕事が結構忙しそうなのと忘年会もちらほら。出来るだけ穴開けないようにしますのでよろしくお願いいたします。
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