作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

メロス四重奏団の「皇帝」、「日の出」、「鳥」

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12月最初のアルバムは最近入手したクァルテットものを。

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メロス四重奏団によるハイドンの弦楽四重奏曲の有名曲セット。Op.76 No.3「皇帝」、No.4「日の出」、Op.33 No.3 「鳥」の3曲です。ジャケットにもライナーノーツにも録音年の表記がありませんが、Pマークが1976年となっていますので、最初のリリースが1976年ということでその前数年の録音だろうと推測できます。

メロス四重奏団は実ははじめて聴くクァルテット。ベートーヴェンの全集などは以前から気になっていたものの手を出していませんでした。このアルバムが最初に聴くべきアルバムかどうかはわかりませんが、ごく最近手に入れたものですので、12月の最初のレビューとして取り上げた次第。弦楽四重奏曲はきらいではないんですが、レビューとなると6曲セットの2枚組が多いということで平日なかなかレビューしにくいと言う、超内輪の事情でこれまでレビューが少ないんですね(笑) そろそろブログの記事も300に迫ろうという時期にこのような体たらくではと一念発起でまずは軽く一枚取り上げるという面もあります。スイマセン。

メロス四重奏団について少々ふれておきましょう。1965年にヴュルテンベルク室内管弦楽団とシュトゥットガルト室内管弦楽団の首席奏者らによって結成されたドイツの弦楽四重奏団。このアルバムのライナーノーツによれば、創立以来メンバーの入れ替えなく25年は経過しているとのこと。このアルバム自体は廉価盤のため録音後だいぶ後のリリースなはずです。ただ、Wikipediaの情報では1993年に第2ヴァイオリンが変わっています。メンバーは次のとおり。

第1ヴァイオリン:ヴィルヘルム・メルヒャー(Wilhelm Melcher)
第2ヴァイオリン:ゲルハルト・フォス(Gerhard Voss)※1993年以降 イーダ・ビーラー(Ida Bieler)
ヴィオラ:ヘルマン・フォス(Hermann Voss)
チェロ:ペーター・ブック(Peter Buck)

さて、演奏のほうはどうでしょう。

音質は70年代相応というところでしょう。鮮明な録音でちょっと高音に固さが感じられる音ゆえ、刺激的な音響に感じることもあるかもしれません。アルバン・ベルクなどのようにキリッとエッジを立てて、折り目正しさを感じさせるのではなく、基本的に流れににのって自由に各楽器が拮抗する演奏。実際の音量に近い音量まで上げて聴くと、楽器感の火花散るやり取りのリアリティが鮮明な音響も手伝って凄い迫力の演奏。

最初の「皇帝」はダイナミックレンジを大きく取って、俯瞰的な大きな構造を表すのではなく、わりと近視的にフレーズごとに追い込むような演奏。手に汗握るような弓さばきです。タイトな魅力ですね。
2楽章のドイツ国歌の有名なフレーズは音量の変化をあまりつけず、また1楽章とのテンポの差もあまりつけず、大きめの音量でグイグイ行きます。終盤の枯れた雰囲気になるところも微妙な変化でとどめ、曲に一本通る一貫性を保っているようですね。終盤にいくつれて柔らかな音色にだんだん変化していくところの地味な面白さを感じるべきでしょうね。
息つく間もなく3楽章に。変わらずグイグイ行きます。かなり強めのインパクトのあるメヌエットですね。中間部で多少テンションを落とし対比を印象づけてまた強いフレーズ。
フィナーレもグイグイ。テンションが下がる部分はほとんどなく、まさに畳み掛けるような演奏。全員のこぎりひきまくっているような演奏ということですね。
非常にハイテンションで推進力の強い演奏という印象を強くしました。

続く「日の出」。「皇帝」より穏やかな入りですが、ヴァイオリンのテンションは徐々に上がってすぐにフルスロットルに。曲調が穏やかな部分が多いゆえ、「皇帝」よりも曲のメリハリが浮き彫りになり、変化を感じますね。
この曲は2楽章が良いですね。少しテンションが下がって落ち着きがあります。続く3楽章も余裕をもった入りから徐々にテンションを上げますが、ほどほどどまりでちょうどいい。フィナーレも不思議と同様の流れ。曲によってアプローチをちょっと変えますが、曲自体の楽章間の対比にはあまり拘らないようですね。

最後は前2曲より15年以上も前に作曲された「鳥」。曲想の若々しさに応じたアプローチの変化はあまりなく、曲の演奏は「日の出」と近い印象。完成度も同様の出来ですね。

評価は3曲とも[++++]としました。ハイドンの弦楽四重奏曲の古典的な明朗さや素朴な良さを聴くと言うよりは、ハイドンの四重奏曲の楽譜の奥に秘められた厳しい楽器感の拮抗の構図にスポットライトを当てたような演奏というように聴こえました。このアルバムがメロス四重奏団初体験ということで、こんどは最近の録音にもトライしてみたいと思います。
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