カール・ベーム/ウィーンフィルの交響曲集
今日は大物、カール・ベームの交響曲集を。
手持ちの盤は珍しく国内盤です。このアルバム自体は廃盤のもようです。
カール・ベーム(Karl Böhm)指揮のウィーンフィルによるハイドンの交響曲88番から92番「オックスフォード」までの5曲と、協奏交響曲の計6曲を収めたアルバム。録音は88番、89番が1972年9月、90番と協奏交響曲が1973年5月、91番が1973年9月、そして92番「オックスフォード」が1974年4月。サイトはすべてムジークフェラインザール。
このアルバムを取り上げたのは、前記事のヴェーグのハイドンと同様、奥のラックにしまってあって、普段はあまりさわらず、ながらく死蔵していたものを発見(笑)して。久しぶりに聴くと言うか、はじめて聴くような新鮮な印象。
カール・ベームはモーツァルトやリヒャルト・シュトラウスの録音をずいぶん聴きましたがあんまりハイドンの印象はありません。ベームの録音は四季やマイナルディとのチェロ協奏曲とこのアルバムくらいなんじゃないでしょうか。ベームについては、モーツァルトのベルリンフィルとの交響曲全集の禁欲的にまで引き締まったベルリンフィルとの響きと、晩年のウィーンフィルとの後期交響曲のオケに大きくゆだねた穏やかな響きなどが印象にあり、古いものは、ちょっと手強いイメージがあります。またライヴでは燃える演奏もあるものの、スタジオ盤では割と固い演奏が多いなどの傾向もあり、これらの先入観から、このアルバムもあんまりちゃんと聴いていなかったのが正直なところ。
ベームの四季のライヴを取り上げた際にも触れましたが、私の愛聴するベームの演奏は「コシ・ファン・トゥッテ」や「フィガロの結婚」などオペラの方が多いですね。1枚だけベームのお気に入りはMETEORレーベルからリリースされているバイエルン放送響との「エロイカ」とリヒャルト・シュトラウスの「ドン・ファン」のライヴ。「エロイカ」はいわゆる爆演系で、冒頭から図太い音色のオケによる素晴しい推進力の演奏。こうゆう演奏を聴くとライヴの録音を掘り起こしたくなってしまいます。
ハイドン音盤倉庫:新着! カール・ベームの四季ライヴ
さてさて、こういった前振りですが、久しぶりに聴いたこのアルバムのベームは古い時代の引き締まったベームと、晩年の柔らかさの中間と言うか、両方の良さをもった、なかなかの名演です。所有盤でも十分聴き込んでいないアルバムもありますので、ちょっと新発見的な悦びもありますね。
まずはCD-1から。冒頭は88番です。
冒頭から鮮明な録音。ムジークフェラインに響くウィーンフィルのタイトな響き。ヴェーグ盤とは異なり大規模オケによる厚みのある雄大なオケの響き。演奏はベルリンフィルのモーツァルトの交響曲に近い引き締まったフレージングですが、オケがウィーンフィルなので固さもほどほど。中庸なテンポですがタイトに畳み掛け、推進力も迫力も十分。すべてを知り尽くしたベームが冷静に演出した素晴しい迫力といことでしょう。
2楽章もゆったりしたテンポながら緊張感を持続して完璧な演奏。オケの集中力も素晴しいです。ウィーンフィル渾身の大音響と静寂の繰り返しの織りなす精妙な時間。圧倒的なインパクト。
3楽章のメヌエットも素晴しい迫力。中間部の押さえた部分のこれまた緊張感ビリビリの演奏も凄いですね。前後の舞曲は完璧なバランスと弓運びのウィーンフィルの弦楽セクションの魅力炸裂ですね。
そしてフィナーレ。もったいぶった少し抑えめのテンポで入り、徐々にテンションを上げていきます。痛快に吹き上がるウィーンフィル。コミカルなこの楽章のテーマと荘厳なオケの対比の素晴しい融合。う~ん、素晴しすぎます。こんなに緻密なコントロールが行き届いて、こんなにバランスがよく、これだけ深いベームの演奏ははじめてです。感服。
これは、全曲きちんとレビューしなくてはなりませんね。長くなりそうなので、ここで一旦記事を切って、スポーツクラブで泳いできます。つぎの89番が鳴り始めてますが、これまた素晴しい響き。
88番、文句なしの[+++++]です。
手持ちの盤は珍しく国内盤です。このアルバム自体は廃盤のもようです。
カール・ベーム(Karl Böhm)指揮のウィーンフィルによるハイドンの交響曲88番から92番「オックスフォード」までの5曲と、協奏交響曲の計6曲を収めたアルバム。録音は88番、89番が1972年9月、90番と協奏交響曲が1973年5月、91番が1973年9月、そして92番「オックスフォード」が1974年4月。サイトはすべてムジークフェラインザール。
このアルバムを取り上げたのは、前記事のヴェーグのハイドンと同様、奥のラックにしまってあって、普段はあまりさわらず、ながらく死蔵していたものを発見(笑)して。久しぶりに聴くと言うか、はじめて聴くような新鮮な印象。
カール・ベームはモーツァルトやリヒャルト・シュトラウスの録音をずいぶん聴きましたがあんまりハイドンの印象はありません。ベームの録音は四季やマイナルディとのチェロ協奏曲とこのアルバムくらいなんじゃないでしょうか。ベームについては、モーツァルトのベルリンフィルとの交響曲全集の禁欲的にまで引き締まったベルリンフィルとの響きと、晩年のウィーンフィルとの後期交響曲のオケに大きくゆだねた穏やかな響きなどが印象にあり、古いものは、ちょっと手強いイメージがあります。またライヴでは燃える演奏もあるものの、スタジオ盤では割と固い演奏が多いなどの傾向もあり、これらの先入観から、このアルバムもあんまりちゃんと聴いていなかったのが正直なところ。
ベームの四季のライヴを取り上げた際にも触れましたが、私の愛聴するベームの演奏は「コシ・ファン・トゥッテ」や「フィガロの結婚」などオペラの方が多いですね。1枚だけベームのお気に入りはMETEORレーベルからリリースされているバイエルン放送響との「エロイカ」とリヒャルト・シュトラウスの「ドン・ファン」のライヴ。「エロイカ」はいわゆる爆演系で、冒頭から図太い音色のオケによる素晴しい推進力の演奏。こうゆう演奏を聴くとライヴの録音を掘り起こしたくなってしまいます。
ハイドン音盤倉庫:新着! カール・ベームの四季ライヴ
さてさて、こういった前振りですが、久しぶりに聴いたこのアルバムのベームは古い時代の引き締まったベームと、晩年の柔らかさの中間と言うか、両方の良さをもった、なかなかの名演です。所有盤でも十分聴き込んでいないアルバムもありますので、ちょっと新発見的な悦びもありますね。
まずはCD-1から。冒頭は88番です。
冒頭から鮮明な録音。ムジークフェラインに響くウィーンフィルのタイトな響き。ヴェーグ盤とは異なり大規模オケによる厚みのある雄大なオケの響き。演奏はベルリンフィルのモーツァルトの交響曲に近い引き締まったフレージングですが、オケがウィーンフィルなので固さもほどほど。中庸なテンポですがタイトに畳み掛け、推進力も迫力も十分。すべてを知り尽くしたベームが冷静に演出した素晴しい迫力といことでしょう。
2楽章もゆったりしたテンポながら緊張感を持続して完璧な演奏。オケの集中力も素晴しいです。ウィーンフィル渾身の大音響と静寂の繰り返しの織りなす精妙な時間。圧倒的なインパクト。
3楽章のメヌエットも素晴しい迫力。中間部の押さえた部分のこれまた緊張感ビリビリの演奏も凄いですね。前後の舞曲は完璧なバランスと弓運びのウィーンフィルの弦楽セクションの魅力炸裂ですね。
そしてフィナーレ。もったいぶった少し抑えめのテンポで入り、徐々にテンションを上げていきます。痛快に吹き上がるウィーンフィル。コミカルなこの楽章のテーマと荘厳なオケの対比の素晴しい融合。う~ん、素晴しすぎます。こんなに緻密なコントロールが行き届いて、こんなにバランスがよく、これだけ深いベームの演奏ははじめてです。感服。
これは、全曲きちんとレビューしなくてはなりませんね。長くなりそうなので、ここで一旦記事を切って、スポーツクラブで泳いできます。つぎの89番が鳴り始めてますが、これまた素晴しい響き。
88番、文句なしの[+++++]です。
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