作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

フィンクとツェビンガーの歌曲とソナタ

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今日はマイナー盤を。

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ORF Shop - Haydns Klaviere

ORF(オーストリア放送協会)からリリースされているハイドンの歌曲とフォルテピアノ用の曲を集めたもの。手に入れたのはディスクユニオンなんですが、オーストリア放送協会のショップでも販売しているようです。上記のリンクはORFショップのもの。

奏者はフォルテピアノがフランツ・ツェビンガー(Franz Zebinger)、ソプラノがバーバラ・フィンク(Barbara Fink)。フィンクは手持ちのアルバムでもいろいろ歌ってます。先日取り上げたコルボのチェチーリアミサなどもいい歌唱でした。ソプラノと言うことなんですが、メゾやアルト役もこなす声域の広さ。一方フォルテピアノのツェビンガーは1946年生まれのフォルテピアノ奏者というより作曲家としての方が知られているんでしょうか。

このアルバムの聴き所は、アイゼンシュタットのハイドン博物館の保存されたフォルテピアノとローラウのハイドンの生家に保存されたフォルテピアノの響きの違いを楽しめることと、フィンクの透明感溢れるソプラノでしょうか。

ローラウのハイドンの生家のフォルテピアノは調律が420Hz、音程が澄んでいて構造フレームがしっかりしているようなしっかりした音。高音の透明感も良く、響きの余韻も美しいですね。録音を聴く限り素晴しい状態と想像できます。一方アイゼンシュタットのハイドン博物館のフォルテピアノは調律が416Hzと少々低め。ローラウの楽器と比べると高音がほんの少しつまり気味なのと余韻の響きにちょっと濁りがある感じですね。構造的にもフレームが少々柔らかいように聴こえます。慣れてしまうといい音に聴こえるんですが、両者を聴き比べるとローラウの方に軍配が上がりますでしょうか。もしかしたら弾いている場所の響きの違いの影響かもしれませんので、あくまでも録音を通した印象ということでご理解いただければと思います。

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ライナーノーツの裏面の写真。フィンク(左上)とツェビンガー(右下)にアイゼンシュタットのフォルテピアノ(右上)とローラウのもの(左下)。さきほどスポーツクラブで泳いできたのでハイボールを飲みながら記事を書いてます。今日はバルヴィニー10年で。

収録曲目は、歌曲とフォルテピアノの曲をランダムにちりばめたもの。曲名の後ろにどちらのフォルテピアノを弾いたものか付記しておきます。

(歌曲)皇帝賛歌 XXVIa:43「神よ、皇帝フランツを守りたまえ」(ローラウ)
弦楽四重奏曲 III:77-2楽章(ローラウ)
ピアノソナタ XVI:2-1楽章(ローラウ)
(歌曲)「だれでもが思う自分が選んだ人とは」XXVIa:13(ローラウ)
ピアノソナタ XVI:13-2楽章(アイゼンシュタット)
(歌曲)「キューピッド」XXVIa:2(アイゼンシュタット)
ピアノソナタ XVI:2-2楽章(ローラウ)
(歌曲)「見捨てられた女」XXVIa:5(ローラウ)
(歌曲)「田舎の楽しみ」XXVIa:10(アイゼンシュタット)
アダージョ XVII:9(アイゼンシュタット)
(歌曲)「掘立小屋」XXVIa:45(アイゼンシュタット)
ピアノトリオ XV:22-2楽章(ローラウ)
主題と6つの変奏 XVII:5(ローラウ)
「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」第2ソナタ(ローラウ)
(歌曲) 「宗教歌」XXVIa:17(ローラウ)
「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」第6ソナタ(ローラウ)
(歌曲)「かつて女性の美しさと」XXVIa:44(アイゼンシュタット)
ピアノソナタ XVI:13-1楽章(アイゼンシュタット)
(歌曲)「この世で何も得ようとは思わない」XXVI:19(アイゼンシュタット)

歌曲は、フィンクのヴィブラートをほとんどかけない清澄でかつ、実体感溢れる歌が楽しめます。1曲目のドイツ国歌の原曲はアメリングとは異なり、古楽器と愛称のいいストレートな歌い方。良く通る美しい声ですね。つづくフォルテピアノによる「皇帝」の2楽章は、適度にテンポを揺らして、詩的な表現。ローラウの生家で録ったのでしょうか、よく響く部屋で演奏したような、少し遠目に定位するフォルテピアノながら、鮮明な録音で、ハイドンが生きていた頃に想いを馳せながら聴きます。

続く曲それぞれの曲も基本的に同様の一貫したスタイル。

評価はアダージョXVII:9をのぞき[++++]、XVII:9は、ちょっとそそくさとした印象が曲調に合わず[+++]としました。おそらくあまり流通していない珍しいアルバムなんでしょうが、演奏はいい演奏ですので、大手のCDショップなどでも是非扱ってほしいものですね。
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