作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ワイセンベルクのピアノソナタ

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今日は久々にピアノソナタを取り上げましょう。

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アレクシス・ワイセンベルク(Alexis Weissenberg)のピアノによるハイドンのピアノソナタXVI:52。他にバッハのパルティータ4番とシューマンの交響的練習曲Op.13の3曲を収めたもの。ハイドンは2曲目で、ハイドンのみ収録は1984年8月30日で、他の曲は1982年8月31日。イタリアの放送局であるRTSIの収録で、私の手元のアルバムはイタリアのERMITAGEレーベルから1995年にリリースされたもの。上の写真は同グループのFABURA CLASSICAレーベルから同一曲をリリースしたもの。ERMITAGE盤の方はワイセンベルクが愛犬らしき黒い大型犬とともに写った石原軍団の広報写真ような不思議なジャケット。こちらの写真はネットを探しても見つかりませんでした。

ワイセンベルクは1929年生まれのブルガリア出身のピアニスト。ブルガリアとは知りませんでしたね。ということでお元気であれば現在81歳。ワイセンベルクの最も強烈な印象は、カラヤンとEMI時代に入れた協奏曲などのアルバム。中でもチャイコフスキーのピアノ協奏曲は、いわゆる「カッコイイ」演奏の代表格。カラヤンの機能美を引き立てるピアニストという印象でした。

このアルバムは、まずバッハのパルティータ4番で指使いのテクニックとさりげない表情付けによる大人の表現を披露。録音は80年代といっても粒立ち感、響きの美しさを生かしたつややかなピアノの音。これはいい予感。

つづくハイドンのピアノソナタもいい音響。少し速めで、流しながら弾くようなニュアンスを漂わせて1楽章を始めます。右手の閃きは素晴しいものがあります。素晴しい指さばきで鍵盤を縦横無尽に行ったり来たりしながら、ハイドンの美しい旋律を表現。きっと遠くから見てると編み機(古い!)を左右にギコギコしているような弾き方。素晴しいテクニックと音楽性。一音一音の粒立ちで表現しようという一般的な演奏と表現の粒度が異なります。

2楽章はこちらも鍵盤上を自由に行き来する草書のような風情の演奏。詩的な雰囲気も十分あり、ハイドンのソナタを良く研究した上での一歩上から眺めた演奏と言えるでしょう。左手のアクセントもよく利いて、図太い低音弦を鳴らしきることもあります。

フィナーレは草書の流麗さをたもったまま、速度を上げて、完全な指のコントロールで速いパッセージも難なく切り上げ、最後は素晴しいスピードと緊張感で振り切れます。

演奏の印象は昔はもう少しかちっと鮮明な印象がありましたが、この演奏は流動感溢れる動的な演奏。ワイゼンベルクのハイドンは他にCDがリリースされていないと思いますので、この演奏が彼のハイドンの代表作という位置づけでしょう。

評価はもちろん、[+++++]としています。演奏のトレンドからしたら同様の演奏をする人はあまりいないんじゃないかと思います。
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