チェリビダッケ、RAIナポリの102番、ロンドンライヴ
今日はチェリビダッケの新着ライヴ盤です。

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セルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache)指揮のRAIナポリ・スカルラッティ管弦楽団のライヴで、ハイドンの交響曲102番と104番「ロンドン」、そしてバッハのブランデンブルグ協奏曲3番から2曲の計4曲を収めたアルバム。レーベルはヒストリカル復刻の雄、ARCHIPELです。録音は102番が1956年12月30日、ロンドンが1959年12月7日、何れもナポリでのコンサートの模様のようです。
チェリビダッケのハイドンの交響曲については、以前ブログで取り上げていますのでリンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:磨き抜かれた逸品、チェリのロンドン
このアルバムは最近リリースされたばかりののもの。以前記事にしたとおり、102番はだいぶ後の1971年9月、シュトゥットガルトでのライヴ盤があるだけ。ロンドンの方はアルバムは4種ですが、おそらく録音は3種あります。今回の演奏は1950年代とチェリビダッケ壮年期の覇気溢れる演奏が期待できますが、問題はオケの精度と録音ではないかとの想像が働きます。録音の程度が良ければそれなりに期待できるんではないでしょうか。
早速102番から。
冒頭の1音で安堵が広がります。1950年代のライヴとしては十分いい録音です。解像度はほどほどながら厚みもあり、安定度も問題なし。ホールの咳やノイズは若干聴こえますが、過度でなく十分演奏に集中できる録音、見事です! チェリらしいスローテンポで構築感あふれる序奏。主題の提示と同時にエンジンがかかり、推進力が漲ります。1楽章は力感はほどほどで、流麗さも少々押さえ気味。後半に入ってもまだフルスロットルにはなりません。徐々にスピードが上がりオケのキレが良くなります。スケール感よりも鮮度勝負といったところが、チェリの晩年の演奏とは異なります。
この曲の聴き所である2楽章は、ことのほか柔らかな入り。テンポはもちろん遅めですが、そこそこフレーズも練って、呼吸も深め。この楽章もスロットルは押さえ気味。押さえた表現のなかでのじんわりとした盛り上がりが、なかなかいい味ですね。
3楽章のメヌエット。チェリにしてはめずらしく、弾む感じのフレージングで華やかさを演出。中間部のメロディーのほのぼのとした感じがうまく表現できていますね。ふたたび最初のフレーズに戻って、メヌエットらしい演奏を堪能。
そしてフィナーレ。速いですね。最初は小鳥のさえずりのごとく細かいやり取り、主題に入るとスピードが乗って、流麗な演奏に。RAIナポリ・スカルラッティ管は安定度抜群。ちょっと浮き足立ったような表現が面白いですね。最後のクライマックスは息継ぎの面白さを楽しめるような遊び感覚に溢れた構成で、フィニッシュは切れ味抜群。チェリの若さを感じさせる演奏ですね。録音も演奏もなかなか良く楽しめる演奏です。
続いてロンドン。
102番から4年後の演奏。102番の時より、序奏はオケの鳴らす音の彫り込みが深くなり、彫刻的な表現になってます。序奏は一般的なスピードでしたが、主題に入るところで、なんとスピードが落ちます。朗々とした感じを出そうとしたのでしょうが、逆にちょっとギクシャクした感じを残してしまった感じに聴こえます。繰り返し以降はフレーズの小節をきつめにつけてテンションを上げてきます。明らかにヴァイオリンセクションにテンションをかけているようですね。録音は鮮明さ、自然さは102番より上がっているんですが、低音が薄くなり、迫力が落ちてしまってます。脳内で音響を変換してスケール感を補いながら聴きます。
2楽章は102番とはことなり枯淡を感じさせるあっさりしたフレージング。102番で感じた柔らかな感じがなくなり、クナの演奏のような素っ気ない雰囲気すら感じさせます。途中から悲壮な迫力が加わり、ちょっとおどろおどろしい感じに。
3楽章のメヌエットはタイトに攻める感じで迫力を増していきます。リズムを揺らすことなくテンションをかけ、鋼のごとき響きを創ります。中間部ではすこし力を抜いて対比を鮮明にし、再びフルテンションのメヌエット。
フィナーレは、やはり速めのテンポで入ります。メヌエットにつづいてテンションの高いオケ。デッド気味な音響が迫力を増長しています。ザクザク切れ込む弦セクション。つぎつぎと迫る波が畳み掛けるような展開。フルスロットル、フルスピードでクライマックスまでのステップを盛り上げ、音響も飽和寸前まで振り切れて終了。盛大な拍手がホールの興奮を伝えます。
評価は両曲ともに[++++]としました。柔らかさ、若さを感じる102番とデッドな音響でハイテンションに振り切れるロンドンと結果的には表現の方向性が異なりますが、どちらも今ひとつ完成度に課題があるように聴こえました。どちらかといえば、102番のほうがおすすめでしょうか。ロンドンは録音がもう少し響きと厚みがあればいい演奏に聴こえると思いますが、ちょっと激しさが過度に聴こえてしまいました。
いずれにせよ1950年代のチェリビダッケの貴重な演奏の復刻ということで、復刻盤としては素晴しい仕事だと思います。チェリのファンの方は必聴アルバムですね。

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セルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache)指揮のRAIナポリ・スカルラッティ管弦楽団のライヴで、ハイドンの交響曲102番と104番「ロンドン」、そしてバッハのブランデンブルグ協奏曲3番から2曲の計4曲を収めたアルバム。レーベルはヒストリカル復刻の雄、ARCHIPELです。録音は102番が1956年12月30日、ロンドンが1959年12月7日、何れもナポリでのコンサートの模様のようです。
チェリビダッケのハイドンの交響曲については、以前ブログで取り上げていますのでリンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:磨き抜かれた逸品、チェリのロンドン
このアルバムは最近リリースされたばかりののもの。以前記事にしたとおり、102番はだいぶ後の1971年9月、シュトゥットガルトでのライヴ盤があるだけ。ロンドンの方はアルバムは4種ですが、おそらく録音は3種あります。今回の演奏は1950年代とチェリビダッケ壮年期の覇気溢れる演奏が期待できますが、問題はオケの精度と録音ではないかとの想像が働きます。録音の程度が良ければそれなりに期待できるんではないでしょうか。
早速102番から。
冒頭の1音で安堵が広がります。1950年代のライヴとしては十分いい録音です。解像度はほどほどながら厚みもあり、安定度も問題なし。ホールの咳やノイズは若干聴こえますが、過度でなく十分演奏に集中できる録音、見事です! チェリらしいスローテンポで構築感あふれる序奏。主題の提示と同時にエンジンがかかり、推進力が漲ります。1楽章は力感はほどほどで、流麗さも少々押さえ気味。後半に入ってもまだフルスロットルにはなりません。徐々にスピードが上がりオケのキレが良くなります。スケール感よりも鮮度勝負といったところが、チェリの晩年の演奏とは異なります。
この曲の聴き所である2楽章は、ことのほか柔らかな入り。テンポはもちろん遅めですが、そこそこフレーズも練って、呼吸も深め。この楽章もスロットルは押さえ気味。押さえた表現のなかでのじんわりとした盛り上がりが、なかなかいい味ですね。
3楽章のメヌエット。チェリにしてはめずらしく、弾む感じのフレージングで華やかさを演出。中間部のメロディーのほのぼのとした感じがうまく表現できていますね。ふたたび最初のフレーズに戻って、メヌエットらしい演奏を堪能。
そしてフィナーレ。速いですね。最初は小鳥のさえずりのごとく細かいやり取り、主題に入るとスピードが乗って、流麗な演奏に。RAIナポリ・スカルラッティ管は安定度抜群。ちょっと浮き足立ったような表現が面白いですね。最後のクライマックスは息継ぎの面白さを楽しめるような遊び感覚に溢れた構成で、フィニッシュは切れ味抜群。チェリの若さを感じさせる演奏ですね。録音も演奏もなかなか良く楽しめる演奏です。
続いてロンドン。
102番から4年後の演奏。102番の時より、序奏はオケの鳴らす音の彫り込みが深くなり、彫刻的な表現になってます。序奏は一般的なスピードでしたが、主題に入るところで、なんとスピードが落ちます。朗々とした感じを出そうとしたのでしょうが、逆にちょっとギクシャクした感じを残してしまった感じに聴こえます。繰り返し以降はフレーズの小節をきつめにつけてテンションを上げてきます。明らかにヴァイオリンセクションにテンションをかけているようですね。録音は鮮明さ、自然さは102番より上がっているんですが、低音が薄くなり、迫力が落ちてしまってます。脳内で音響を変換してスケール感を補いながら聴きます。
2楽章は102番とはことなり枯淡を感じさせるあっさりしたフレージング。102番で感じた柔らかな感じがなくなり、クナの演奏のような素っ気ない雰囲気すら感じさせます。途中から悲壮な迫力が加わり、ちょっとおどろおどろしい感じに。
3楽章のメヌエットはタイトに攻める感じで迫力を増していきます。リズムを揺らすことなくテンションをかけ、鋼のごとき響きを創ります。中間部ではすこし力を抜いて対比を鮮明にし、再びフルテンションのメヌエット。
フィナーレは、やはり速めのテンポで入ります。メヌエットにつづいてテンションの高いオケ。デッド気味な音響が迫力を増長しています。ザクザク切れ込む弦セクション。つぎつぎと迫る波が畳み掛けるような展開。フルスロットル、フルスピードでクライマックスまでのステップを盛り上げ、音響も飽和寸前まで振り切れて終了。盛大な拍手がホールの興奮を伝えます。
評価は両曲ともに[++++]としました。柔らかさ、若さを感じる102番とデッドな音響でハイテンションに振り切れるロンドンと結果的には表現の方向性が異なりますが、どちらも今ひとつ完成度に課題があるように聴こえました。どちらかといえば、102番のほうがおすすめでしょうか。ロンドンは録音がもう少し響きと厚みがあればいい演奏に聴こえると思いますが、ちょっと激しさが過度に聴こえてしまいました。
いずれにせよ1950年代のチェリビダッケの貴重な演奏の復刻ということで、復刻盤としては素晴しい仕事だと思います。チェリのファンの方は必聴アルバムですね。
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