クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルの熊ライヴ
今日も帰宅が遅く、何をとりあげようか、CDラックの前で右往左往。
そういえば、今年は各地で異常に出没して、人が襲われたり、町中で目撃されたり、日本列島中大騒ぎです。

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今日は「熊」。ハイドンが1曲というアルバム構成も、遅く帰った日に取り上げるには好都合ですね(笑)
このアルバムは一昔前にシリーズで発売されたベルリン・フィルの自主制作盤で、クルト・ザンデルリング(Krut Sanderling)指揮のベルリン・フィルでベルリン・フィルハーモニー・大ホールでのライヴ収録。録音は1997年の6月9日。ベルリン・フィルのウェブサイトで過去のコンサートカレンダーを確かめると、その通りの記録でした。
当日のコンサートは、ハイドンの交響曲82番とショスタコーヴィチの交響曲8番ですが、このアルバムの収録曲はショスタコーヴィチが8番ではなく15番。こちらは1999年3月16日のコンサートの収録のようです。
クルト・ザンデルリングはハイドンのパリ・セットの録音を残しており、これは私のパリセットの刷り込み盤で、非常に気に入っている演奏。そのザンデルリングがベルリン・フィルを振ったライヴとくれば悪かろうはずもないでしょう。パリセットの方はベルリン交響楽団とちょい格下オケなのと、録音が1971年と古いこともあり、この演奏に期待が集まります。
冒頭からつややかながら芯がしっかりとあるベルリン・フィルの分厚い響き。ザンデルリングのコントロールはつんのめりそうになる寸前のインテンポでハイドンの傑作のリズムを刻みます。流石ベルリン・フィルと言うべき正確なリズムと生気。ティンパニのリズム感が素晴しいのが華を添えてますね。録音はフィルハーモニーでの録音にしては残響が多く、鮮明さはほどほどながら交響曲を楽しむにはいい音響。会場のノイズや咳はほとんど気にならないので、何らかの処理をしているんだと思いますが、この種の処理を施した録音に多く見られる生気の抜けたような音にはなっていないのが素晴しいですね。1楽章の畳み掛けるような迫力も巧く表現できており、大音量で聴くとフィルハーモニーにいるような素晴しい疑似体験ができます。
2楽章は、押さえた部分は淡々と、強調する部分はレガートを利かせるという演出。基本的にインテンポはつづいており、全く練らないのが爽快で、爽快な詩情という風情。陰ながら木管楽器の巧さも光ります。全体設計でいくと2楽章は押さえた表現とし、後半の弦主体の大きなうねりもその枠のなかでの演出なので振り切れません。この音楽性は玄人好みですね。
3楽章のメヌエット。高潔な表現というべきでしょう。ぴたりとサイズの合ったタキシードを着た老齢の紳士のダンスを見るがごとし。シンプルな曲調だけに各楽器のキレのいいリズム感が際立ちます。全奏者のリズムがキレている感じ。鈍重な感じは皆無です。単純なフレーズも跳躍感を感じさせるほど唄っています。最後はキリッと絞めて終了。
フィナーレの出だしはぞくぞくするようなデリケートなコントロール。スピードはそこそこで、次々と楽器を重ねてゆき、クライマックスへ集中力を高めていきます。一貫したテンポなのに曲調にはメリハリがついて、変化にも富んでます。各楽器がそれぞれ巧いだけではこのようなまとまりは形成できません。最後はオーケストラの醍醐味を十分表現します。唸る低音弦が響きの坩堝に!
フィルハーモニーのお客さんの拍手喝采で幕を閉じます。
このアルバムの聴き所は一般的にはショスタコーヴィチであることは間違いないですが、今日はその余裕がないためこれにてレビューはまとめます。
もちろん評価は[+++++]。「熊」の現代楽器の演奏の万人にお勧めできる名盤との評価です。
そういえば、今年は各地で異常に出没して、人が襲われたり、町中で目撃されたり、日本列島中大騒ぎです。

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今日は「熊」。ハイドンが1曲というアルバム構成も、遅く帰った日に取り上げるには好都合ですね(笑)
このアルバムは一昔前にシリーズで発売されたベルリン・フィルの自主制作盤で、クルト・ザンデルリング(Krut Sanderling)指揮のベルリン・フィルでベルリン・フィルハーモニー・大ホールでのライヴ収録。録音は1997年の6月9日。ベルリン・フィルのウェブサイトで過去のコンサートカレンダーを確かめると、その通りの記録でした。
当日のコンサートは、ハイドンの交響曲82番とショスタコーヴィチの交響曲8番ですが、このアルバムの収録曲はショスタコーヴィチが8番ではなく15番。こちらは1999年3月16日のコンサートの収録のようです。
クルト・ザンデルリングはハイドンのパリ・セットの録音を残しており、これは私のパリセットの刷り込み盤で、非常に気に入っている演奏。そのザンデルリングがベルリン・フィルを振ったライヴとくれば悪かろうはずもないでしょう。パリセットの方はベルリン交響楽団とちょい格下オケなのと、録音が1971年と古いこともあり、この演奏に期待が集まります。
冒頭からつややかながら芯がしっかりとあるベルリン・フィルの分厚い響き。ザンデルリングのコントロールはつんのめりそうになる寸前のインテンポでハイドンの傑作のリズムを刻みます。流石ベルリン・フィルと言うべき正確なリズムと生気。ティンパニのリズム感が素晴しいのが華を添えてますね。録音はフィルハーモニーでの録音にしては残響が多く、鮮明さはほどほどながら交響曲を楽しむにはいい音響。会場のノイズや咳はほとんど気にならないので、何らかの処理をしているんだと思いますが、この種の処理を施した録音に多く見られる生気の抜けたような音にはなっていないのが素晴しいですね。1楽章の畳み掛けるような迫力も巧く表現できており、大音量で聴くとフィルハーモニーにいるような素晴しい疑似体験ができます。
2楽章は、押さえた部分は淡々と、強調する部分はレガートを利かせるという演出。基本的にインテンポはつづいており、全く練らないのが爽快で、爽快な詩情という風情。陰ながら木管楽器の巧さも光ります。全体設計でいくと2楽章は押さえた表現とし、後半の弦主体の大きなうねりもその枠のなかでの演出なので振り切れません。この音楽性は玄人好みですね。
3楽章のメヌエット。高潔な表現というべきでしょう。ぴたりとサイズの合ったタキシードを着た老齢の紳士のダンスを見るがごとし。シンプルな曲調だけに各楽器のキレのいいリズム感が際立ちます。全奏者のリズムがキレている感じ。鈍重な感じは皆無です。単純なフレーズも跳躍感を感じさせるほど唄っています。最後はキリッと絞めて終了。
フィナーレの出だしはぞくぞくするようなデリケートなコントロール。スピードはそこそこで、次々と楽器を重ねてゆき、クライマックスへ集中力を高めていきます。一貫したテンポなのに曲調にはメリハリがついて、変化にも富んでます。各楽器がそれぞれ巧いだけではこのようなまとまりは形成できません。最後はオーケストラの醍醐味を十分表現します。唸る低音弦が響きの坩堝に!
フィルハーモニーのお客さんの拍手喝采で幕を閉じます。
このアルバムの聴き所は一般的にはショスタコーヴィチであることは間違いないですが、今日はその余裕がないためこれにてレビューはまとめます。
もちろん評価は[+++++]。「熊」の現代楽器の演奏の万人にお勧めできる名盤との評価です。
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