作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブリュッヘンの88番、89番、協奏交響曲

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今日のアルバムは、先月末に取り上げたライナーの88番が度肝を抜く素晴しさだったとの、アーノンクールのコンサートで古楽器のオケの響きの良さを再認識したので、古楽器の交響曲をラックで物色した際に手にとったもの。

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HMV ONLINEicon(同パッケージの国内盤)

フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)指揮の18世紀オーケストラの演奏で、収録順にハイドンの交響曲89番、88番、協奏交響曲の3曲を収めたもの。私の手元にあるのは上の写真のジャケットの輸入盤。最近の国内盤はジャケットの左下のロゴがPHILIPSではなくDECCAマークに変わっているようですね。
録音は88番が1988年11月、協奏交響曲が1996年6月6、7日、89番が1997年の2月20、21日、何れもオランダのユトレヒトにあるVredenburgというホールでの録音。

ブリュッヘンのハイドンの交響曲はこれまでのPHILIPSへの録音をまとめたボックスもリリースされたんですが、ほとんどバラで手に入れて、未入手盤はこの盤と90番、91番を収めた1枚のみだったので、ボックスには手を出しにくい状況なんですね(笑) ボックスにするとスペースは減るためいいんですが、、、

収録順にレビューを。

1曲目はこのアルバムで最もマイナーな89番。最も新しい録音だから最初に置かれたのか、はたまた出来が良かったから最初に置かれたのかは判然としませんが、アルバムの冒頭に置かれるべき特徴的な出だし。冒頭のメロディーが「しょ、しょ、しょじょじ」と聴こえるのは私だけでしょうか。冒頭から心地よい古楽器の響き。ブリュッヘンのハイドンはデモーニッシュとも言えるような図太いおどろおどろしい古楽器の迫力ある音色を特徴にした演奏も多いんですが、この曲では録音が他の曲よりも比較的新しいせいか、響きの美しさを感じさせるもの。テンポはあまり動かさず、淡々と進めますが、迫力ある音色はブリュッヘンと18世紀オーケストラならでは。
2楽章も淡々と。現代楽器の演奏ならもう少しレガートを利かせるところでしょうが、音を短く切りながら進めるアンダンテは古楽器ならでは。古楽器の音色で聴かせきってしまいます。
3楽章のメヌエットはちょっと腰高な始まりで、中間部に入りようやくゆったりした流れに。
フィナーレは勢い良く始まりますが、繰り返しの部分を意図的にかなりテンポを落としたり、ブリュッヘンにしては踏み込んだ表情付け。同じような曲調がつづくと、ちょっと単調に聴こえてしまうきらいがあるところを巧く処理していますね。展開部以降はヴァイオリンがちょっとべたつくような弾き方が面白いんですが、曲の解釈としてもうすこし別の解釈もありそうですね。最後はオケの迫力を取り戻してフィニッシュ。

続いて88番。冒頭は力漲るオケ。非常にいい響き。ホールに厚みのある弦の響きの余韻が消え入るところまで聴こえるいい録音。フレーズのメリハリも曲の構造をよくとらえて流麗さもあります。ブリュッヘンの迫力の音色に流麗さが加わり、次元が上がりますね。この曲はブリュッヘンに合ってます。途中に音量、アクセント,テンポそれぞれメリハリを付ける部分があり、変化に富んだいいコントロール。最後もばしっとキレよくまとめます。
2楽章はすこし速めのテンポが心地いい流れ。控えめなレガートと速めのテンポが爽やかな叙情を醸し出します。途中の強奏はブリュッヘンの面目躍如。さりげない木管のメロディーの美しさも演奏を引き立てます。
3楽章のメヌエットは前曲とはことなり、メヌエットらしいメヌエット。音色がブリュッヘンらしい以外は特に作為はありません。嵐の前の静けさでしょうか。
そしてこの曲の最も面白さが出たフィナーレ。リズムのキレがよく、フレーズごとの演出も丹念でいいですね。途中から嵐のような怒濤の迫力に、、、と思って身構えていると、意外とあっさり進めます。最後にちょっとギアチェンジしてスピードを上げますが、きわめてオーソドックスな演奏でした。これは気に入りました。

最後は協奏交響曲。少し録音が眠く、テンポもゆるい感じです。ルーシー・ファン・ダールのヴァイオリン他ソロ陣は火を吹くというよりはオケと一体化した安定した演奏。前2曲と比べるとちょっとテンションが下がってしまうのが惜しいところ。

評価は、89番が[++++]、88番が[+++++]、協奏交響曲が[+++]としました。このアルバムでも一番の出来はやはり88番。古くから録音の多い曲ですが、最近この曲の面白さがようやくわかってきたような気がします。

ブリュッヘンの録音は、以前取り上げたザロモン・セットもそうでしたが、曲ごとのムラが結構あるため、気合い乗ったブリュッヘンの大迫力の演奏にはたまにしか出会えません(笑) それも聴く楽しみのひとつでもあります。
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