アーノンクールの天地創造旧盤
昨夜のサントリーホールのコンサートが良かったので、オリジンを探るべく、アーノンクールの旧盤を10月最後のレビューに取り上げておきましょう。

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TOWER RECORDS
このアルバムは最近アーノンクールの過去の録音をまとめてボックスセットにしてリリースされているもの。ハイドンのオラトリオ「天地創造」、「四季」のウィーン交響楽団との旧録音と、アーノンクールには関係ありませんが、英語のカンツォネッタ集、ベルガンサによるハイドンのオペラアリア集などを6枚のCDにまとめたもの。
アーノンクールの天地創造旧盤は別にTELDEC盤を所有していたんですが、四季を含むそれ以外の演奏を持っていなかったためにこのアルバムを最近入手。今日は天地創造のみを取り上げます。
以前取り上げた新盤の記事はこちら。
ハイドン音盤倉庫:灰汁のぬけたアーノンクールの天地創造新盤
天地創造の録音は1986年4月10日と11日、ウィーンのコンツェルトハウスでのライヴ収録。ニコラウス・アルノンクール指揮のウィーン交響楽団。ソロはガブリエルとエヴァ役がエディタ・グルベーロヴァ(Edita Gruberova)、ウリエル役がヨゼフ・プロチュカ(Joseph Protschka)、ラファエルとアダム役がロバート・ホル(Robert Holl)、合唱は今回の来日と同じアーノルド・シェーンベルク合唱団で合唱指揮は変わらずアーウィン・オルトナー(Erwin Ortner)という布陣。
アーノンクールは1929年12月6日の生まれですので、この12月で81歳。そろそろ海外ツアーは難しいというのは年齢からも頷けるところ。このウィーン響との天地創造の録音時は56歳とエネルギー漲る頃の録音。昨夜のライヴを含む古楽器での演奏と比べて、自身がチェロ奏者でもあった現代楽器のウィーン響の響きがどのようなものかという点や、グルベーロヴァのソプラノはどうだったかが聴き所でしょうか。
冒頭の入りは最近の押さえた精妙な入りとさほど変わらないフレージング。ホルのラファエルはアーノンクール好みなのか、今回のベッシュと非常に似た朗々たる声。オケの音色は古楽器のような響きの魅力はありませんが第1曲の最後の強音などを聴いていると流石にダイナミックさは現代楽器が勝るようですね。最近のアーノンクールはフレーズを分解してフレーズごとの性格を描き分けた上で再構築するようなアプローチが目立ちますが、この頃の演奏にもその萌芽がみられます。ただし、今の演奏を聴いているのでそう思うだけなんだろうと思います。まだまだ曲の流れに澱みなく、流麗さを保っています。
第4曲のガブリエルのアリアはやはりグルベーロヴァの可憐な声が魅力ですね。その後のレシタティーヴォにつづき前半の聴かせどころであるガブリエルのアリア、細く強い高音域とゆったりした中音域、そして抜群の音の伸びと豊かな響きは流石名ソプラノでしょう。
第1部のクライマックスは現代楽器らしい盛り上がり。迫力あるオーケストラの魅力を満喫できます。第1部の最後にあたる第13曲は意外と遅めのテンポで朗々たる展開。頭の中で昨夜の眼前で広がる大音響が蘇りますね。
第2部の基本的に同様の流れ。昨晩非常に充実した演奏を聴かせた第3部は、現代楽器らしい柔らかな音色のオーケストラに支えられてソロの歌が楽しめます。最近の演奏とくらべてややロマンティックに感じます。テノールのプロチュカは甘い美声。シャーデよりも癖のない歌唱が素直に楽しめます。アダムとエヴァのの掛け合いは息がぴたりと合って見事。このアルバムの3人の声の質と歌い方が合っていて歌のまとまりは新盤よりもいいように感じます。そして昨日の生の響きに打ちのめされた第34曲の終曲。またしても昨夜の荘厳な終曲が頭の中で鳴り響きます。
評価は[+++++]と新盤よりも高評価としました。アーノンクールの解釈が24年前と基本的には大きく変わらないのも驚きではあります。アーノンクールの変わらぬ個性のオリジンを楽しめる上に、グルベーロヴァのガブリエルとエヴァが聴けるという魅力は捨て難いものがあります。新盤との比較でいうと、天地創造の曲自体を楽しむのであれば、こちらの盤を選択する価値は十分あります。古楽器のでの精妙な響きと、アーノンクールの生気が少し抜け、個性が強くなった新盤はやはりアーノンクールのコントロールを聴くべきアルバムと言えるでしょう。
意外といっては失礼ですが本盤の演奏は魅力的です。流石にカタログに残り続けているだけのことはあります。
今回サントリーホールのコンサートにいって、アーノンクールの魅力を知った方には、今回と近い新盤よりもこちらの盤の覇気を聴いて、アーノンクールのまた違った素晴しさを知っていただくのもいいと思います。
さて、ひと泳ぎして夜にはHaydn Disk of the Monthをまとめたいと思います。

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このアルバムは最近アーノンクールの過去の録音をまとめてボックスセットにしてリリースされているもの。ハイドンのオラトリオ「天地創造」、「四季」のウィーン交響楽団との旧録音と、アーノンクールには関係ありませんが、英語のカンツォネッタ集、ベルガンサによるハイドンのオペラアリア集などを6枚のCDにまとめたもの。
アーノンクールの天地創造旧盤は別にTELDEC盤を所有していたんですが、四季を含むそれ以外の演奏を持っていなかったためにこのアルバムを最近入手。今日は天地創造のみを取り上げます。
以前取り上げた新盤の記事はこちら。
ハイドン音盤倉庫:灰汁のぬけたアーノンクールの天地創造新盤
天地創造の録音は1986年4月10日と11日、ウィーンのコンツェルトハウスでのライヴ収録。ニコラウス・アルノンクール指揮のウィーン交響楽団。ソロはガブリエルとエヴァ役がエディタ・グルベーロヴァ(Edita Gruberova)、ウリエル役がヨゼフ・プロチュカ(Joseph Protschka)、ラファエルとアダム役がロバート・ホル(Robert Holl)、合唱は今回の来日と同じアーノルド・シェーンベルク合唱団で合唱指揮は変わらずアーウィン・オルトナー(Erwin Ortner)という布陣。
アーノンクールは1929年12月6日の生まれですので、この12月で81歳。そろそろ海外ツアーは難しいというのは年齢からも頷けるところ。このウィーン響との天地創造の録音時は56歳とエネルギー漲る頃の録音。昨夜のライヴを含む古楽器での演奏と比べて、自身がチェロ奏者でもあった現代楽器のウィーン響の響きがどのようなものかという点や、グルベーロヴァのソプラノはどうだったかが聴き所でしょうか。
冒頭の入りは最近の押さえた精妙な入りとさほど変わらないフレージング。ホルのラファエルはアーノンクール好みなのか、今回のベッシュと非常に似た朗々たる声。オケの音色は古楽器のような響きの魅力はありませんが第1曲の最後の強音などを聴いていると流石にダイナミックさは現代楽器が勝るようですね。最近のアーノンクールはフレーズを分解してフレーズごとの性格を描き分けた上で再構築するようなアプローチが目立ちますが、この頃の演奏にもその萌芽がみられます。ただし、今の演奏を聴いているのでそう思うだけなんだろうと思います。まだまだ曲の流れに澱みなく、流麗さを保っています。
第4曲のガブリエルのアリアはやはりグルベーロヴァの可憐な声が魅力ですね。その後のレシタティーヴォにつづき前半の聴かせどころであるガブリエルのアリア、細く強い高音域とゆったりした中音域、そして抜群の音の伸びと豊かな響きは流石名ソプラノでしょう。
第1部のクライマックスは現代楽器らしい盛り上がり。迫力あるオーケストラの魅力を満喫できます。第1部の最後にあたる第13曲は意外と遅めのテンポで朗々たる展開。頭の中で昨夜の眼前で広がる大音響が蘇りますね。
第2部の基本的に同様の流れ。昨晩非常に充実した演奏を聴かせた第3部は、現代楽器らしい柔らかな音色のオーケストラに支えられてソロの歌が楽しめます。最近の演奏とくらべてややロマンティックに感じます。テノールのプロチュカは甘い美声。シャーデよりも癖のない歌唱が素直に楽しめます。アダムとエヴァのの掛け合いは息がぴたりと合って見事。このアルバムの3人の声の質と歌い方が合っていて歌のまとまりは新盤よりもいいように感じます。そして昨日の生の響きに打ちのめされた第34曲の終曲。またしても昨夜の荘厳な終曲が頭の中で鳴り響きます。
評価は[+++++]と新盤よりも高評価としました。アーノンクールの解釈が24年前と基本的には大きく変わらないのも驚きではあります。アーノンクールの変わらぬ個性のオリジンを楽しめる上に、グルベーロヴァのガブリエルとエヴァが聴けるという魅力は捨て難いものがあります。新盤との比較でいうと、天地創造の曲自体を楽しむのであれば、こちらの盤を選択する価値は十分あります。古楽器のでの精妙な響きと、アーノンクールの生気が少し抜け、個性が強くなった新盤はやはりアーノンクールのコントロールを聴くべきアルバムと言えるでしょう。
意外といっては失礼ですが本盤の演奏は魅力的です。流石にカタログに残り続けているだけのことはあります。
今回サントリーホールのコンサートにいって、アーノンクールの魅力を知った方には、今回と近い新盤よりもこちらの盤の覇気を聴いて、アーノンクールのまた違った素晴しさを知っていただくのもいいと思います。
さて、ひと泳ぎして夜にはHaydn Disk of the Monthをまとめたいと思います。
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