オットー・クレンペラーの時計

といっても、EMIへの録音ではなく1950年12月、バイエルン放送交響楽団のライヴでCD-R盤。レーベルはCoupletというレーベル。収録曲目はハイドンの交響曲101番「時計」、モーツァルトの交響曲25番、そして同じくモーツァルトのセレナータ・ノットルナの3曲。モーツァルトの方はRIAS放送交響楽団との演奏。
クレンペラーのハイドンは雄大な演奏として有名ですが、この演奏は1950年と、他の演奏よりだいぶ古い録音。クレンペラーは1885年の生まれなので、この演奏は65歳頃の演奏。EMIの録音が1960年ということでさかのぼること約10年の録音。
時計は1950年の録音にしては瑞々しい厚みのあるオーケストラの音色で、後年のクレンペラーとは違って推進力と覇気はまだまだ残っている様子。若干歪みっぽいところもありますが、録音年代を考えると致し方ないところ。
1楽章の序奏は厳かさを保ち、クレンペラーらしい雄大な造り。主題に入りテンポが上がって流麗な流れ。オケの演奏はあまり細かい部分に指示が行き渡っている訳ではなく、全体に鈍重な感じもありますが、オケ全体の迫力と覇気は素晴しいものがあります。クライマックスにかけて畳み掛ける雰囲気は見事ですね。
2楽章の時計のリズムは少々遅めで、リズムもじっくり刻む感じ。テンポがあまり動かず揺るぎない感じは後年のクレンペラーの演奏を既に彷彿とさせるところ。演奏自体に古くさい感じはなく、きわめてオーソドックスな印象ですね。展開部は迫力を増して大きな盛り上がりを魅せます。後半の楽器が減ってスリムになった部分も揺るぎないリズムによって均質さを保ち、一貫した平常心の推進力で進みます。これぞクレンペラーという見事な演奏。
3楽章のメヌエットは、想像よりすこし速めのテンポでぐいぐい進みます。途中に挟まるフルートのメロディーが美しい。バイエルン放送響の演奏はクレンペラーのコントロールにぴたりとハマって違和感のある部分はありません。
終楽章は押さえた入りの部分をしっかり押さえきって、強奏に突入。この楽章は予想よりテンポもメリハリも強く、最晩年の巨大なものを表現しようとしていたクレンペラーとは異なり、生気もあっていい感じ。途中のメロディーが絡み合う部分ですこしふらつく部分がありますが、最後は盛大に盛り上がって、すこしテンポをおとした落ち着いたフィニッシュ。
録音はそこそこ良く、途中に咳や会場ノイズが入るのも私好み。若さの残るクレンペラーの演奏として演奏はいい演奏です。評価は連日の[+++++]。このところあたりが多くていいですね。
クレンペラーは時計を得意にしていたようで、他にもいくつかの録音があります。このあたりはあらためて取り上げることに致しましょう。
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