作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ロストロポーヴィチのチェロ協奏曲旧録音

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今日はロストロポーヴィチのチェロ協奏曲。といっても旧録音の方。

RostropovichBritten.jpg

私にしてはめずらしく、国内盤のCDです。
こちらは、今日ディスク・ユニオンで発見したもの。国内盤のCDの帯に「世界初録音となったハイドンの1番、ロストロポーヴィチの豊𩜙なチェロが冴える!」とあるのにビックリして。
本盤の録音は1964年7月16-18日。同曲のイギリス初演は1964年6月のオールドバラ音楽祭でその直後の録音。我が所有盤リストのチェロ協奏曲(VIIb:1)の最も早期の録音はデュ・プレとバレンボイムによる1967年4月17日のもの。確証はありませんが帯の表記に偽りなしなんでしょう。

解説を読むと、この曲は長い間曲の存在が知られておらず、1961年にプラハの国立博物館の蔵書の中から発見され、調査の結果ハイドンの作との結論に達したものとのこと。いつも調べている大宮真琴氏の著書には、チェコのラデニンの旧コロヴラート=クラコフスキ伯爵の蔵書中からオルドリッチ・ブルケルトという人によって唯一の筆写譜が発見されたとの記載が。このアルバムの解説には初演の情報も書かれていて、1962年5月19日にプラハの春音楽祭にてミロシュ・サードのチェロ、チャールズ・マッケラス指揮!のチェコスロバキア放送交響楽団のによって演奏されたとのこと。そして、そのおよそ3年後に世界初録音となったという流れでしょう。

このへんの経緯は全く知りませんでした。

このアルバムの演奏はムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Mstislav Rostropovich)のチェロにベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten)指揮のイギリス室内管弦楽団の演奏。収録曲はハイドンのチェロ協奏曲1番ハ長調(VIIb:1)とブリテン作曲のチェロ交響曲の2曲。ブリテンのチェロ交響曲はロストロポーヴィチのために作曲され1963年に完成、前掲のオールドバラ音楽祭で初演されたもの。

以前取り上げたように、ロストロポーヴィチのチェロ協奏曲は、1975年に収録したアカデミー室内管弦楽団とのEMIへの録音と同時期、同楽団とのDVDの録音、そして未入手(といっても注文中)のルドルフ・バルシャイとの録音があります。この録音は先のDVDなどとくらべてどうなんでしょうか?

ブリテンの方は、クリフォード・カーゾンとのモーツァルトのピアノ協奏曲20番、27番の名伴奏を知っているので悪かろうはずもないという先入観もあり、焦点は1番の方のEMI盤との出来の差といったところでしょう。

オケの素晴しい生気漲る入りは予想通り。厚みも優美さも文句なしですね。ロストロポーヴィチの入りはオケに比べてややテンポが重い入り。最初は腕試しといったところでしょうか。指揮者とソロが一体化するという感じがEMI盤やDVD盤の特徴でしたが、相手がブリテンではそうもいかず、指揮者とソロが対峙するような感じもあります。優美なオケの流れに対してロストロポーヴィチのチェロは小節をわざと利かせて主導権を奪わんばかりの勢い。ちょっと火花散ってる感じもしますね。1楽章も中盤になると、息があって流麗な流れに収束。1楽章のカデンツァはブリテンの作とのことで、響きの変化はブリテン調。

2楽章は流石ブリテン、オケの優美さが図抜けてます。こんどはロストロポーヴィチが完全にオケの流れに身を任せているよう。ロストロポーヴィチのチェロの音色にはキリッとした芯と糸を引くような粘り、そして小節がきいて完全につぼにはまってます。その特徴がブリテンの指揮するオケにも乗り移ってしまったような調和。ロストロポーヴィチのチェロの鳴きにやられちゃいます。ブリテン調のカデンツァをへて優美なオケが再び。

3楽章は快活なオケの魅力炸裂。すでにオケとはテンポも調子もかみ合って渾然一体のピアノ協奏曲の対決を思い起こさせる大物同士のスリリングな火花散る対決ですね。最後は怒濤の勢いで終了。

手に汗握る演奏とはこの演奏のことでしょう。もちろん評価は[+++++]。演奏の完成度とまとまりはEMI盤ですが、聴いて面白いのはこちらでしょう。残念ながらこの組み合わせの演奏は1番のみ。

さてさて、オークションでみつけたロストロポーヴィチとルドルフ・バルシャイとの協奏曲。実は今日到着していたのを今発見!
今更ビックリですが、録音年代は1963年9月15日? もちろん1番も含まれています。ということは今日取り上げたアルバムよりも前の収録ではありませんか!

一体どうなっているんでしょう! 本件の顛末はまたの機会に!
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2 Comments

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yshida10

チェロと言えば

同じロシア人チェリストのダニール・シャフランのチェロ協奏曲はいかがでしょうか?
何種類かあるようですが、私が持っているのはネーメ・ヤルヴィ指揮ソヴィエト国立交響楽団と共演したものです。
http://www.classicus.jp/shafran/articles/oncd.html

いかにもロシア人らしい濃厚でロマンチックな演奏です。ロストロやデュプレがお好きならこれも気にいっていただけると思います。

  • 2010/10/26 (Tue) 01:17
  • REPLY

Daisy

Re: チェロと言えば

yshida10さんコメントありがとうございます。
まちがって書いた返信一度消してしまいました。ダニール・シャフランのチェロ協奏曲はちょうどコメントをいただく前の日に入手していました。ヤルヴィとの演奏ではなくYEDANGレーベルのクニュシェビツキーとの演奏の方ですが、まだ未聴です。聴いたらレビューしたいと思います。
ロストロポーヴィチやデュ・プレは流石に圧倒的な存在感がありますね。最近の演奏が嫌いな訳ではないんですが、時代を超えて今でもCDがリリースされ続ける理由があるからなんでしょう。

  • 2010/10/27 (Wed) 06:37
  • REPLY