作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

デヴィッド・ブラムの交響曲集

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週末に伊豆旅行に行っている間、音楽はあんまり聴かず。レビューを書いていつものペースに戻らなくては。

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今日は先日ディスク・ユニオンで手に入れた1枚。

デヴィッド・ブラム(David Blum)指揮のエステルハージ管弦楽団(Esterházy Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲60番「迂闊者」、70番、81番の3曲を収めたCD。レーベルはVANGUARD CLASSICS。録音は60番が1963年4月、70番が1966年8月、81番が1965年6月と1960年代の録音。すべてセッション録音のようです。

デヴィッド・ブラムのことを調べても、あんまり情報が出てきません。ニューヨークタイムズ紙の記事によれば、1998年4月17日にガンのため62歳で亡くなったとの記事が。ということは1936年頃の生まれ。
CDの解説によれば、ロスで生まれアメリカとヨーロッパで音楽教育を受け、1961年に自らエステルハージ管弦楽団を創立。このオーケストラはハイドンがエステルハージ家に仕えていたのにならって創ったとのこと。このオーケストラの毎年の全米、カナダでのツアーは、ハイドンや18世紀の作曲家の多くの作品を聴衆にはじめて聴くチャンスをもたらすなどの功績があったとのこと。1969年にはアンセルメのすすめでスイスに住居を移し、ローザンヌ交響楽団とジュネーブ交響楽団の音楽監督になり、ジュネーブ交響楽団の音楽監督の座には1977年から1989年までありました。彼はまた音楽記事のライターとして知られ、彼の著書は多くの国で翻訳されているようです。

私自身はブラムははじめて聴く人。録音年代を考えると私より上の世代のクラシックファンの方にはおなじみなのかもしれません。手に入れたのはもちろん「エステルハージ管弦楽団」とのオーケストラのただならぬ名前に反応して。この名前のオケということで、当ブログが無視する訳には行きませんね。

1曲目は交響曲60番「迂闊者」。この曲な古い筆写譜の中に「喜劇<迂闊者>のためのシンフォニア」という注記が見られるとのこと。迂闊者は1774年夏にエステルハーザ宮でカール・ヴァール座が上演したフランス喜劇で、その序曲と劇中音楽をハイドンが作曲。結婚式の当日、自分が花婿であることをすっかり忘れている迂闊者の紳士が、ネクタイを結んでいるときにやっとそのことを思い出すというフィナーレ。音楽のほうも奏でてしばらくしてから調弦をしていなかったことに気づき調弦を始める部分があるなど喜劇の演出を盛り上げるもの。この曲はハイドンの交響曲で唯一6楽章構成。この各楽章が序曲や幕間音楽、後奏音楽から成り立っていりことが後年確認されました。

CDをかけてビックリしたのは録音の鮮明さ。冒頭から鮮明なオケの音色が素晴しい。荘重な序奏から、速めのテンポに切り替わり、オケがリズムに乗ってはち切れます。エステルハージ管の名に恥じない素晴しい演奏。ちょっとざらついた音色ながら、鮮やかなテンポ感とふけ上がり、抜群のキレは流石です。途中コミカルにテンポを落とす部分などもあり、ハイドンらしさも十分ですね。
2楽章のアンダンテは落ち着いたリズムに乗って、柔らかい弦とホルンのアクセントの対比が面白い曲。いったいどうゆう場面のために書かれた曲でしょうか。
3楽章のメヌエットは大きな刻みとメリハリが効いて迫力十分。中間部のコミカルな表現もハイドンらしい演出ですね。
4楽章は快活なプレスト。通常のハイドンの交響曲の終楽章のような構成。素晴しい生気で盛り上げます。
5楽章はアダージョ。切々とした弦楽器の美しいメロディーが心に響きます。中間部は荘重なファンファーレのよう。再び最初のメロディーにもどり、美しい時間。
最後の6楽章は力強いオケの強奏から始まり、途中で調弦、ふたたび力強いオケの響き。
この曲は6楽章と特殊な構成ですが、ブラムのコントロールはハイドンの曲の本質をきちんと踏まえたもので、非常に楽しめますね。

続いて交響曲70番。この曲はあまり取り上げられることのないマイナーな曲。作曲は1779年頃で、交響曲53番「帝国」第1版や交響曲71番などと同じ頃の作曲。
この曲も60番と同様、快活さとキレに溢れた演奏。60年代の演奏ではありますが、1楽章を聴いた印象では最近の古楽器の演奏とも類似せいを感じるキレですね。
2楽章は淡々とアンダンテを奏でます。弱音器付きの弦楽器が典雅なのにうら悲しいメロディーを刻んでいきます。この曲の聴き所ですね。
3楽章のメヌエットは切れ味抜群。そしてフィナーレは意外と滑らかなフレージング。これは曲想を考慮してのことでしょうか。
このマイナーな交響曲を巧くまとめて聴かせていますね。

最後はパリセット直前の交響曲81番。この曲は1784年の作曲。
1楽章は快活さと流麗さがとても印象的。2楽章の滋味深いメロディーも最高。3楽章の不思議な曲想のメヌエット、4楽章の流麗なフィナーレと前2曲と同様の素晴しいハイドンです。

このアルバムは素晴しい出来ですね。1960年代という録音年代を録音でも演奏でも感じさせない素晴しいアルバム。自ら創設したオケにエステルハージ管弦楽団と名付けていることを見てもわかるようにハイドンのすばらしい理解者でもあり、その演奏も一級品。この演奏が埋もれていることは音楽界の損失ですね(大げさか!)
私の評価はもちろん全曲[+++++]としました。

このような掘り出し物が見つかるから、コレクションがやめられなくなる訳です。ブラムのハイドンは探せばまだ他の曲が見つかりそうですので、引き続き捜索にあたります。
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