作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マンフレート・フスのオペラ序曲集2

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今日は昨日のマンフレート・フスとハイドン・シンフォニエッタ・ウィーンによるオペラ序曲集のつづき。

6曲目は「神々の忠告」序曲。作曲は1773年。この曲は前曲のマリオネット・オペラ「フィレモンとバウチス」の序劇として作曲され、序曲と「女神ディアナの入場の音楽」のみが残っています。序曲は交響曲50番に転用され、マリア・テレジアの前で演奏された可能性があるとのこと。どおりで聴いたことのあるメロディーですね。

7曲目はオラトリオ「トビアの帰還」の序曲というより第1曲。オペラの序曲集に入れるのはちょっと違う気がしますが、このアルバムはほぼ作曲年代順に曲が並んでおり、ここでハイドンの1曲目のオラトリオが作曲されたという年代検証的座標軸から見ると、一定の意義もあるでしょう。後の天地創造や四季とは曲の深さも展開も異なります。曲が作られる目的がオペラとは異なり、慈善目的であり、曲調も異なります。
演奏はフスの勢いの良さがよく出ていて、オペラの序曲に挟まれていても聴き劣りしません。

8曲目は「大火事」序曲。この曲はエステルハーザ宮の劇場の火事(1779年11月)にちなんだもののようですが、序曲はハイドンの作曲かどうか疑わしく、3部構成の1楽章、2楽章はプレイエル作曲で、3楽章はプレイエルかハイドンか不明。そういわれて聴いても、1楽章の構成は見事に火事のような慌てふためきで、微笑ましい感じ。ちょっと滑稽な序奏に微笑ましい流麗な主題が喜劇の始まりを告げる感じ。2楽章はちょっと単調な構成に聴こえます。哲学者の2楽章にちょっと似た雰囲気ですがあっという間に終わります。3楽章はハイドンらしく聴こえますがこちらもあっという間に終了。

9曲目は「突然の出会い」序曲。1775年8月29日にオーストリアのフェルデンンド大公(マリア・テレジアの王子)とマリア・ベアトリーチェ・デステ大公妃のエステルハーザ宮訪問の際に初演されたもの。オケの強奏から入る迫力満点の曲。トルコ風を意識したような打楽器の派手な用法が印象的な曲。大迫力の演奏にエステルハーザ宮を訪れた客人もビックリしたでしょう。18世紀後半に流行したトルコ・オペラ。モーツァルトでいうと後宮からの逃走のような位置づけなんでしょうか。フスのコントロールによる演奏は素晴しい迫力。吹き上がるオケの抜けが最高。これだけノリがいいと有無を言わせぬ説得力がありますね。中間部はシンプルでのどかなメロディーをゆったり楽しめます。再びトルコ風の強烈な演奏で締めくくります。

最後は「月の世界」序曲。1777年作曲でニコラウス・エステルハージ伯爵とマリア・アンナ・フランチェスカ・フォンヴァイセンヴォルフ伯爵令嬢との結婚祝賀に上演されたもの。この序曲は交響曲63番の第1楽章に転用されました。この曲はアバドとヨーロッパ室内管弦楽団の交響曲集にも収められて、キレの良い響きを聴かせたもの。フスの演奏は古楽器でのハ長調の明る響きと抜群の推進力を楽しめます。ティンパニの連打が祝祭感を際立たせていますが、ちょっと単調な面も魅せてしまいます。エンディングはフスによってコンサート用に編曲されたものです。

今日の5曲の評価は「トビアの帰還」と「月の世界」が[++++]で、その他を[+++++]としました。フスの序曲集と言うアルバムとしてはもちろんおすすめ盤です。
今回取り上げたのはツイッターでbakisoさんがよく聴いているのを見かけて、そのうち取り上げなくてはと思っていたから。ハイドンのオペラの魅力を伝えるという意味では意義深いアルバムであることに変わりありません。

なお曲の情報は大宮真琴著の「ハイドン新版」から引用しました。この本も今では手に入りませんね。
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