アンドレアス・シュペリングの天地創造
ようやく本調子。今日2本目のレビューはアンドレアス・シュペリングの天地創造を取り上げます。

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以前手に入れていながら、あまりちゃんと聴いていませんでした。
このアルバムはかつて廉価盤を支配したNAXOSからのリリース。NAXOSは、今はNMLことNAXOS MUSIC LIBRARYで再び隆盛を誇っているようですね。収録は2003年7月、ケルンのドイツ放送の放送ホールでのセッション録音。
演奏はアンドレアス・シュペリング指揮のカペラ・アウグスティーナ。カペラ・アウグスティーナはシュペリング自身が1994年に設立したオーケストラ。ソロはガブリエルとエヴァの先のカンタータのソプラノと同様スンハエ・イム、ウリエルがジャン・コボウ(Jean Kobow)、ラファエルとアダムがハンノ・ミュラー=ブラックマン(Hanno Müller-Blackmann)、合唱も先のカンタータと同様ケルン声楽アンサンブルという陣容。
基本的に古楽器の音色を生かした演奏ですが、先のカンタータ集のような小曲と異なり、今回は天地創造という大曲。同じアプローチとはいかず四苦八苦しているようすが聴き取れます。
冒頭の入りは少人数の古楽器オケで巨大なものを表現しようとスケール感を出すために、ちょっと気負っている感じ。テンポを落としてじっくりと描きますが、ちょっと細い筆で大きな絵を描いているような印象がすこしあり、いつもの古楽器らしい等身大の入りのほうがいいのではと思ってしまいます。ラファエルの第一声は、音を長く延ばして朗々とした印象。声質が若々しいのはこのアルバムのソロ全員に共通した点。オケのコントロールに力みが感じられるのは冒頭トラック1と2のみ。トラック3からはテンポが普通にもどり期待通りの展開。オケは爽やかなメリハリがついて、若々しい声のソロ陣をサポート。ラファエル役のミュラー=ブラックマンは深みはほどほどで張りのある明るいバス。これはこれでオケの音色に合っていていいですね。いつものガブリエルのアリアはイムの清純可憐な声が聴き所。キャサリーン・バトルの若いときをさらに清純にしたような良く通る声。
第2部後半のウリエルのアリアは曲自体の高揚感の演出も素晴しく、テノールのコボウの歌唱も安定した見事なもの。後半にいくにつれ曲の流れも良くなり、生気も増していきます。
第3部のエヴァとアダムの掛け合いは若草の茂る草原でのやりとりのような清純さ。このアルバム一番の聴き所でしょう。最後の第34曲はシュペリングの良さが際立ちますね。最後に古楽器オケとソロ,合唱の響きの魅力を堪能できます。
評価は[++++]としました。基本的に古楽器のプレーンないい演奏なんですが、オケの身の丈の範囲で小気味好く表現していれば文句なしのところ、冒頭ちょっと欲がでてしまって、オケのスケール以上の音楽を生み出そうとしてしまった分、評価を下げた感じです。
シュペリングは古楽器のスタンダードな演奏でのハイドンの様々な曲を録音していますが、素直な解釈は非常に好ましいもの。もう少し年齢を重ねて、熟成を深めて再度録音してほしいものです。
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