作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブラウティハムのピアノ協奏曲集

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今日2本目のレビューはロナルド・ブラウティハムのフォルテピアノによるハイドンのピアノ協奏曲集。

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最近取り上げる演奏が古いものが多くなっていましたので、少し新しめのものを選びました。

ロナルド・ブラウティハム(Ronald Brautigam)は1954年にアムステルダムで生まれ、ロンドンでジョン・ビンガム、アメリカでルドルフ・ゼルキンに学び、1984年にオランダ音楽賞を受賞。ヴァイオリニストのイザベル・ファン・クレーンとパートナーを組んで活動したり、近年ではモーツァルトやハイドンの曲をフォルテピアノで演奏しているようです。
ハイドンについてもピアノソナタの録音をリリースしつづけ、最近それをまとめたセットリリースされたのが記憶に新しいところ。

このアルバムの収録曲はハイドンのピアノ協奏曲4曲。収録順にXVIII:11、XVIII:3、XVIII:2、XVIII:4。指揮はラーシュ・ウルシク・モルテンセン(Lars Ulrik Mortensen)、オケはコンチェルト・コペンハーゲン。録音は2003年10月にコペンハーゲンの教会でのセッション録音。

1曲目はおなじみのXVIII:11。冒頭から非常にスピーディーなオーケストラ。フレーズごとのメリハリも適度につけながら、インテンポで爽快に弾き進めます。モルテンセンのコントロールによるオケはピノック/イングリッシュ・コンソートのキビキビ感とインマゼール/アニマエテルナの柔らかい弦の響きの間をとったような響きといったらいいでしょうか。ブラウティハムはそのオケにのって軽やかなフォルテピアノ。溜もアクセントもほどほどに、素晴しい推進力で突き進みます。古楽器でのハイドンの協奏曲の演奏に求められる活気を十分にもった演奏。フォルテピアノは1795年頃のアントン・ガブリエル・ワルター製を1992年ポール・マクナルティによって修復されたもの。ダイナミックレンジはそこそこですが、中高音域の柔らかく軽やかな音色が美しい楽器。ブラウティハムの演奏にもその響きが生かされていますね。
2楽章はブラウティハムの訥々としたフォルテピアノの雅な詩情が聴き所。抑えめな表情が詩情を浮き彫りにする感じです。そして3楽章は再び快速に。キビキビしたオケに乗った軽やかなフォルテピアノ魅力が溢れてますね。
この曲は古楽器の魅力ある響きで聴かせますが、1楽章、3楽章の快速な演出が若干単調な印象もはらむ感じを与えているかもしれません。

2曲目はXVIII:3。XVIII:11とは異なりぐっと落ち着いた入り。オーケストラも曲想の面白さを腰を据えて描いている感じで落ち着いています。ブラウティハムもオケの響きをよく聞いて絶妙の呼吸で入ります。コンチェルトを聴く醍醐味を感じる入り方。1楽章のフォルテピアノのきらめくような音階は絶妙な雰囲気を醸し出します。フォルテピアノならではの美しさでしょう。オケもフォルテピアノも適度に溜が効いて表現の幅を広げています。1楽章のカデンツァは短いながら楽器の響きを生かしたとても美しいもの。流石です。
2楽章ラルゴ・カンタービレは素朴なメロディーですが、すばらしい美しさ。さながら星空をながめながら散歩する風情。やはりハイドンは天才ですね。その曲想を素晴しい演奏で再現するブラウティハム。このアルバムの聴き所でしょう。消え入るような終わりも最高。
3楽章は快速というより快活なオケと自在に駆け回るフォルテピアノ。ブラウティハムのフォルテピアノはシュタイアーのコンセプチュアルな自在さではなく、純音楽的に駆け回る感じ。言葉にすると同じようですが、演奏の向かう方向は全く異なります。この曲はXVIII:11とは異なり、曲自体の表現が深く、一枚上の出来と聴きました。

あと2曲あるんですが、今日は遅くなってしまったので、この辺で一旦筆を置くことにしましょう。続きはまた明日にでも。

今日聴いた2曲の評価は、XVIII:11が[++++]、XVIII:3は[+++++]としました。XVIII:3の演奏はこの曲1と言ってもいいと思います。連日いい演奏のレビューで気分がいいですね。ほんとはハイボールのせいです(笑)
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