作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アブ・コスターのホルン協奏曲

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今日は古楽器のホルン協奏曲を。

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先日、デニス・ブレインの素晴しい演奏で、その曲の素晴しさを再発見したハイドンのホルン協奏曲。古楽器での名演奏はと考えてみると、真っ先に思い浮かぶのがアブ・コスターとラルキブデッリのこのアルバム。

アブ・コスターはオランダのハーグ生まれのホルン奏者。エッセンの学校でヘルマン・バウマンにホルンを学んだとのこと。1977から1990年まで、ハンブルグのNDR交響楽団の主席ホルン奏者として活躍。現代楽器のみならずナチュラルホルンの名手としても知られ、ジャン=ピエール・ランパル、グスタフ・レオンハルト、フランス・ブリュッヘン(18世紀オーケストラ)などとも共演し、国際的な名声を獲得とのことです。

このアルバムにはハイドンのホルン協奏曲の他、ホルンが絡む室内楽曲がちりばめられた企画もの。今日は都合により、ホルン協奏曲のみ取り上げます。録音は1995年の5月にオランダのハールレムでのセッション録音。

ホルン協奏曲はトラック11から。1楽章は古楽器の小編成オケのクリアな響きの序奏からスタート。ちょっと金属っぽい細身な弦の音色がラルキブデッリの響きの特徴。弦楽器のクッキリした音色で奏でられるメロディーラインのフレージングは非常にデリケートなもの。オケに乗ってコントロールの難しいホルンの素朴な音色が響きます。一音一音音程を確かめるようにじっくり吹き進むホルン。コントロールが難しいことを想像させますが、巧く飼いならして速いパッセージもそれなりにスイスイ吹けており、なかなかのテクニック。このホルンの響き自体がこの曲を聴く楽しみの一つになっていますね。カデンツァはコスター自らのもの。高音まで吹き昇るホルンの音階自体の魅力と、ちょっとひっくり返りそうになる危うい音色の魅力。いいですね。
2楽章はテンポを落としますが、規律を保ったまま淡々と進める感じ。フレーズのメリハリはそこそこ、呼吸も深いですが、全体設計的なメリハリは押さえ気味。ホルンはナチュラルホルン的朗々感満点。この楽章独特の低い音によるフレージングは、ブレイン盤の確信犯的情景描写ほどの色づけはありませんが、ホルンの素直な音の魅力だけでも十分。
3楽章はリズムのノリが良くなり推進力もいい感じ。ホルンもオケより半歩進んで吹いているようになり、明らかに快活になります。音階が上がるところでキッという裏がえりそうな音を出しますが、これがまたいい味。オケの特に弦の繊細な響きとホルンの音色の対比と掛け合いが聴き所。最後のカデンツァは静寂に朗々と響き渡るホルンの音色に痺れます。

このアルバムは、協奏曲以外もふくめてナチュラルホルンの魅力を存分に味わえる構成。弱点と言えば生気が薄い訳ではないんですが、若干リズムが重いところと、ホルンがオケについていってる感があるところ。ということで評価は[++++]のままとしました。古楽器の演奏には正直、今一歩の快活さが欲しいところでしょうか。

ただし、このリアリティのある古楽器の音色の魅力は捨て難く、そういった意味では貴重なアルバムということが出来るでしょう。ホルン協奏曲はもうすこし収集をしてみるべきでしょうね。まだまだいい演奏がありそうな予感がしますね。
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