作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

デニス・ブレインのホルン協奏曲

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今日はデニス・ブレインのホルン協奏曲。

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おなじみBBC LEGENDSの1枚。収録曲はハイドンのホルン協奏曲VIId:3の他ベートーベン、シューベルト、モーツァルトなどの室内楽など。ハイドンの協奏曲はレオ・ヴュルムサーの指揮、BBCミッドランド管弦楽団。録音は1957年1月27日、BBCスタジオで。

デニス・ブレインはイギリスのホルン奏者。 1921年5月17日生まれですが、1957年9月1日に36歳の若さで交通事故で亡くなっています。ブレインをはじめとして、デュ・プレ、リパッティなど天才といわれながら、若くして命を落とした人の演奏は、なぜか深く心に残る演奏が多いですね。純粋に素晴しい演奏がもつ力によるところですが、聴く側の心理にも微妙な影響があるんでしょう。
ブレインといえば、もちろんカラヤンとのモーツァルトのホルン協奏曲集。モーツァルトの魅力的なメロディーを朗々としたブレイン独特のホルンの音色で吹き抜ける素晴しい演奏。チェロでのカザルス、ギターにおけるセゴビアなどと同様、ホルンという楽器の可能性を余人とは次元の異なる演奏で高めた演奏ということが出来るでしょう。

この演奏は、ブレインが亡くなる年の演奏。最晩年といっても35歳で演奏家としてまだまだ上り坂の途中。最も熟成された時期のブレインの演奏はどうでしょうか。

音は57年なりで年代を感じさせる音ですが、鑑賞には差し支えありません。むしろノスタルジー的にプラスな音。オケはテンポよく、生気も溢れるいいサポート。冒頭から図太い朗々としたブレイントーンの魅力炸裂ですね。1楽章のメロディーの一部を吹き始めただけで、ブレインのホルンの圧倒的な存在感。一方オケのサポートもモーツァルトのカラヤンばりのいい演奏。ヴュルムサーは知らない人ですが、素晴しいサポート。聴き劣りするどころか、オケも十分聴き所です。
2楽章は天上の音楽。ブレインのホルンは人間を超越してしまったような輝き。技術を超えてホルンの美しい響きだけが圧倒的な存在感で迫ってきます。この曲の特徴である途中のホルンが低音に下がるところでは、ホルンの図太い音色に体が痺れんばかり。背中に龍が登る勢いです。絶品! カデンツァで一瞬音がひっくり返る部分があるんですが、神様もシャックリするんだという演奏のリアリティを増すような範囲。
3楽章はオーケストラの少し力を弱めて始まる表現が秀逸。ブレインのホルンは難しい音階を確実にこなし、途中からオーケストラに華をもたせているような落ち着きぶり。カデンツァはホルンの音域をフルに活用した見事な音階を披露して、最後はあっさり目に終了。
ハイドンのホルン協奏曲があらためて名曲だと再認識しました。

この演奏の評価はもちろん[+++++]。私はカラヤンとのモーツァルトの協奏曲よりもいい出来と言ってもいいくらいの演奏だと思います。もちろんオーケストラ込みでの評価。カラヤンとのモーツァルトの協奏曲集は同曲の決定盤との評価が確立していますが、ハイドンのホルン協奏曲は一般的にはマイナーな存在。ブレインのこの演奏は本来モーツァルトのホルン協奏曲以上に魅力的なハイドンのホルン協奏曲がより多くの人に聴かれるきっかけにもなりうる素晴しい演奏だと思います。
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