作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ジュリア・クロードのピアノソナタ集

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東京は台風の影響で強風の朝。今日は久々のピアノソナタ。

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ジュリア・クロードのピアノによるハイドンのピアノソナタ集。イギリスのMeridianレーベル。以前に手に入れたものですが、あんまりちゃんと聴いていませんでした。たまったCDを片付けていて発見。写真のジャケットの下の方には直に小さな文字でこう書いてあります。

「ハイドンのピアノソナタはジュリア・クロードの演奏によって新たな次元に。彼女の情熱的な音楽的才能と強靭な個性はこの演奏からも明らかに感じられる。彼女は今やハイドンの解釈の第一人者だ。」 H. C. ロビンス・ランドン

ハイドン研究の大家、ロビンス・ランドンにこう言わせしめるとは、一体どういう演奏なんでしょうか。

収録曲目は、XVI:23 (No.38)、XVI:38 (No.51)、XVI:39 (No.52)の3曲。録音年の表記はありませんが、アルバムリリースは1989年。ピアノによる演奏です。調べてみると、ジュリア・クロードはイギリス生まれのピアニストで1946年の生まれ。ということでこのアルバムのリリース時は43歳前後。ネット上もあまり情報がなく、アルバムもMeridianから数枚リリースされているのみですので、非常にマイナーな存在だと推測されます。

さて、肝心の演奏。

まずはXVI:23から。非常にきらめき感のある美しいピアノの音色。ブレンデルの演奏に近いイメージでしょうか。ただ、全体の力感は女性ゆえ若干おとなしめ。ブレンデル特有の空気感というか自在に音符を駆け巡る感じまではありません。録音のせいかもしれませんが、右手が強く、左手というか低音が薄い感じもします。こういった印象ながら、ハイドンの曲の面白さは十分に感じられますし、リズム感はなかなか、跳躍感もありバランスの良いいい演奏。
2楽章はゆったりしたテンポできらめき感満点のメロディーを奏でます。主旋律のメロディーのアクセントの付け方が巧く、ゆったりしているのに緊張感溢れるアダージョ。ランドン先生が推薦文を寄せた意味もわかりました。非常にシンプルなハイドンの音符から、磨き込まれた宝石のようなメロディーが紡ぎ出されていますね。これはいい。
3楽章はプレストなんですが、飛ばさず響きの美しさで聴かせるような演奏。1曲目からいい感じですね。

つづいて、XVI:38。曲想の面白いいい曲です。テンポの揺らし、音の強弱のコントラスト、休符の余韻などの表現が前曲より深いですね。独特の右手の輝きも生きて、緊張感を保ちます。1楽章の最後は不思議とバケツを投げるようなちょっとぞんざいな不思議な終わり方ですが、悪くありません。
2楽章は和音の微妙な響きの変化が美しい。詩情溢れる名演。最後は沈むような深い静寂。
3楽章のアレグロはこれまた、落ち着いたテンポでピアノの響きの強弱を楽しむような趣。曲調に合わせてあっさり終了。

最後はXVI:39。冒頭の一音にアクセントをおいた個性的な解釈。それを受けて、1楽章は全体にこのアクセントのメージで通した演奏。
2楽章は、息の長いフレージングと高音の音階が一際美しい演奏。十分にリラックスしてじっくり弾き込んでいる様子が伝わりますね。
3楽章は指もよく動いて手を振るだけで音階をどんどん刻んでいくような、スナップの効いた速いパッセージが痛快。テクニックも十分ですね。最後は振り切れて終了。

いや、ランドン先生の推薦文に偽りなしですね。評価はXVI:23が[+++]、XVI:38、XVI:39が[++++]としました。これはおすすめ。しかし、Meridianのサイトはサイト自体はあるもののイメージがロードされず、レーベル自体の存在は確認できない状況。HMV ONLINEでは取扱いがありませんが、他はちらほら見かけます。

このアルバムの収録はAKGのマイク、スイスの精密な造りで知られるNagraのレコーダー、Agfaのテープを使って収録されたとの記載があります。Nagraのテープレコーダーなど今でもマニアが追いかける素晴しい機械ですね。ボリュームを上げて聴くと、なるほどピアノの響きがホールに響き渡る余韻まで空気感溢れるいい録音です。ピアノの音を楽しむという意味でもいいアルバムですね。
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