ピノックのソロ、ウィグモアホールライヴ

http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=3782760
ピノックは私自身がハイドンへ興味をもつきっかけとなった演奏家。現在はピノックのハイドンの演奏を高く評価している訳ではないのですが、思い入れは深いんですね。刷り込みの原点といったところです。このあたりの経緯はブログを開設して間もなく記事にしていますので、当時の記事へのリンクを張っておくことにします。
ハイドン音盤倉庫 - 私はなぜハイドンにはまったのか?
ハイドン音盤倉庫 - 私はなぜハイドンにはまったのか?-2
ハイドン音盤倉庫 - 私はなぜハイドンにはまったのか?-3
そのピノックのハイドンのソナタを含むコンサートライヴ盤ということで、早速手に入れた訳です。以前の若々しい姿とはうってかわり、笑顔の初老紳士と行った風情のなかなかいいジャケット写真。ピノック自身は1946年生まれということで、今年64歳ということになりますね。
2009年5月10日、ロンドンのウィグモアホールでのライヴです。レーベルはWIGMORE HALL LIVEということでホールの自主制作盤のようですが、HMV ONLINEにも流通しているため、手に入れやすいと思います。
調べたところ、ロンドンのウィグモアホールはいろいろ活動をしておりアルバムのリリースにも熱心ですね。サイトのリンクを張っておきましょう。
WIGMORE HALL(英文)
収録曲はハイドンのピアノソナタからXVI:14、XVI:27の2曲と、アンコールにXVI:D1のフィナーレの計3曲。他にパーセル、ヘンデルの曲をあしらったもの。私の好きな拍手入りの収録です。
2曲目に配されたXVI:14はハイドン最初期のピアノソナタで1950年代の作曲。ピノックのハープシコードは安心して聴いていられます。先日のダントーネの前衛的ハープシコードの反動でしょうか、落ち着いた演奏を聴くと心が安らぎます。3楽章で10分少しの小曲ですが、スタジオ録音と言われても少しも疑う余地のない完成度の高い演奏。曲の終わりの拍手がなければ気づかないほどです。こういった小曲を名手が味わい深くさらりと弾いているというのはいいですね。特色は2楽章の音色の変化。なんという奏法か知りませんが、2楽章中間部で弱音器をつけたような音色に変化。ハイドンの創意が生きていますね。さらりと終わったのに会場は拍手喝采で盛り上がってます。
そして6曲目に配されたXVI:27。こちらは1776年の作曲。曲の構造もより明確にになり、ハープシコードによるハイドンのソナタの理想的な演奏といっていいでしょう。明らかにXVI:14より表現が深くなっており、また生気も増しています。こちらも2楽章の途中に音色に変化をもたせ、最高音域の音色をうまく使って印象的な響きを造り出せています。3楽章の快速な展開も見事。こちらも最後は割れんばかりの会場の拍手を誘い、アンコールにつなげます。
そして2曲演奏されるアンコールの1曲目がハイドンのXVII:D1のフィナーレ。リズミカルな曲想を十分に反映したこちらも快速な演奏。ショーピース的アンコールですが、2曲目はパーセルの落ち着いた3分少々の小曲。演奏が終わり消え入る余韻としばしの静寂、そして暖かく長く続く拍手にブラヴォー。当日の会場の興奮がつたわるいいライヴアルバムと言えるでしょう。台風の影響で各地で災害のニュース。痛ましい限りですが、季節が変わる節目でもありますね。秋の夜長にふさわしい大人の1枚ですね。
評価はピノックへの敬意を表して、3曲とも[+++++]としました。最近最高評価を乱発し過ぎですかね(笑)
所有盤リストを見ていただくと、悪い評価もかなりしているので、乱発ではないんですね。できるだけいい演奏をブログで紹介しているということとご理解ください。
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ピノックのハイドン
チェンバロはほとんど聴きませんが、ピノックだけは弾き方が好みに合うので、バッハ中心に結構CDを持ってます。
ピノックのハイドンなら、聴いたことがあるのはチェンバロ協奏曲で、とっても明るく軽やかで楽しいハイドン。
ミケランジェリがなぜかEMIに一部同じ曲を録音してますが、こちらは仏頂面のハイドン。最初に聴いたのがこれだったので、なんか面白くない曲だな~と思ってました。
両方聴くと、奏者と楽器が違うと全然違った雰囲気になるのが、可笑しくもありました。
ピノックのハイドン
今後ともよろしくお願いいたします。