作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ジークハルトの中期交響曲、神降臨

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今日はORFEOレーベルの良心の結晶。

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マルティン・ジークハルト指揮のシュトゥットガルト室内管弦楽団によるハイドン中期の交響曲集。収録曲目は交響曲47番、62番、75番と何れも名前のついていない中期の3曲。ハイドンの交響曲で全集を目指すということではないときにこの3曲を選んでくるとは、ただならないコンセプトです。一体狙いはどこにあるのでしょう。

まずは、レーベルの意向でしょうか。ハイドンの録音多い独墺圏のなかでも、 ORFEOレーベルはハイドンのマイナー曲の録音に熱心です。日本のレコード会社ではあり得ない企画だと思います。
もう一つは想像ですが、指揮者ジークハルトの純音楽的な好みを反映してのことじゃないかと思ってます。このアルバムを聴いてみて、ネタばらしですが、その演奏は極上のもの。どう極上かと問われれば、ハイドンの交響曲の有名曲ではない手あかのついていない曲のなかで、純音楽的に楽しめるものを選んで、その面白さに焦点をあわせたような演奏だからです。これは確信犯的選曲でしょう。

ジークハルトは本人のウェブサイトがありました。

マルティン・ジークハルト(独語)

最初の47番。1楽章からいきなり生き生きとしたオーケストラの魅力で聴かせる展開。ホルンと弦の溶け合いが見事。ハイドンの曲に潜むいたずらっぽいところ見事に表現していますね。ジークハルトのCDははじめてですが、「おぬし、できるな」とつぶやきそうないい出来。
2楽章は弱音器つきの弦の優しいフレーズが心をうちます。主題のメロディーの変奏がすすむにつれ呼吸が深くなり、曲の神髄に到達。
3楽章のメヌエット、楽器の重なりとメロディーの楽器感の引き継ぎが見事。ただ聴いているだけで幸せな気分になるメヌエット。これは素晴らしい。
4楽章の入りは気づかぬような滑らかな入り。弦の優しさと生気の高度な融合。力が入り過ぎがちな終楽章ですが、完璧な力の抜け具合。このフィナーレはただ者ではありません。弦の弓さばきに細心の気が配られた演奏。最後は勢いを緩やかに抜いて1曲目からノックアウトです。

つづく62番。決して名手ぞろいではないオケをたくみにコントロールして、1楽章冒頭の美しいフレーズの素晴らしいメリハリを表現。弦中心なのに素晴らしいメリハリでただならない迫力。展開部の入りの押さえた表現とアクセントの対比も見事。前曲につづき、奇跡的な美しさ。スタジオ録音なのに神様が降りてきています。素晴らしい生気とキレ。
続く2楽章のすばらしさは筆舌に尽くし難し。こちらも弱音器付きの弦楽器と木管,金管との絡みの妙。
3楽章のメヌエットはさっぱりとした展開。
そして終楽章。非常に滑らかな弱音の弦から快活なリズムに入るまでの素晴らしい展開。快速のテンポに乗ってオケの各楽器が乗り切ったキレまくりのメロディーライン。ヴァイオリンのアクセントの付け方がキリッとしていながらしつこくないのがジークハルトのセンスでしょうか。

そして最後の75番。荘重な序奏。短調の劇的な展開。主題が頭角を現したとたんにギアチェンジして快速テンポに。弦を中心としたキレも最高潮に。なんという生気、素晴らしい力感、緻密な静と動の対比、ハイドンの交響曲の素晴らしさを極限まで引き出した演奏とはこの演奏のことでしょう。
2楽章は素晴らしい抑制。ピキピキです(笑) なんたる間。細切れのメロディーをつぶやくように並べ、詩情豊かな楽章に。展開部までふくめて素晴らしい仕上がり。
3楽章のメヌエット。大きな構えで落ち着きはらった展開。音楽が満ちあふれたメヌエット。類いまれな出来。
フィナーレは荘重さをベースに、これまでの楽章の総決算。最後も決まりましたね。

もちろん、3曲とも[+++++]としました。このアルバムはハイドンの交響曲の特に中期の魅力を伝える名盤として文句なしのおすすめ盤。もしかすると中期に限定せず、ハイドンの交響曲の魅力を最もうまく表現した最高のアルバムという位置づけが相応しいかもしれません。ハイドンが好きなすべての人に聴いていただきたい名盤です。

ORFEOレーベルには首を傾げるような演奏が一つもありません。アルバムを出すにあたってプロデューサーの眼力が確かで、アルバムとしてリリースする甲斐のあるものをきちんと仕上げてくるということでしょう。
音楽ファンの味方として、これからも支えていかなくてはならないレーベルですね。今後もいいアルバムをリリースし続けていただきたいものです。
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