作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第9巻(ハイドン)

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絶好調の飯森範親のハイドン交響曲集。第9巻がリリースされました。

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飯森範親(Norichika Iimori)指揮の日本センチュリー交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲92番「オックスフォード」、交響曲76番、交響曲90番の3曲を収めたSACD。収録は2017年5月26日、大阪のいずみほホールでのライヴ。レーベルはEXTON。

これまで取り上げた巻は以下のとおり。巻を追う毎に演奏も磨きがかかってきています。

2019/06/21 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第8巻(ハイドン)
2019/02/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第6巻(ハイドン)
2018/06/29 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第4巻(ハイドン)
2018/03/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第3巻(ハイドン)
2017/07/19 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第2巻(ハイドン)
2016/11/19 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第1巻(ハイドン)

今回の収録曲は、名曲オックスフォードに、ギュンター・ヴァントが集中的に取り上げていた76番、そしてラトルのお気に入りのパフォーマンスを仕掛ける90番と面白い選曲。解説によれば、今回のリリースで31曲がリリースされたということで、ようやく3分の1に差し掛かったというところ。まだまだ先は長いですね。

さて、結論から言うと、今回のアルバムも素晴らしいですね。演奏の精度、ダイナミックさ、録音の良さも磨きがかかってきているんですが、さらに遊び心のようなものが加わり、まさにこれぞハイドンという見事な演奏。飯森さんの指揮、オケの演奏にも余裕が感じられ、楽しんで演奏していることがよくわかります。やはりハイドンにはこうした要素は不可欠ですね。

Hob.I:92 Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
予想どおりキレの良いシンフォニックな演奏。厳かな序奏から主題に入るとキビキビとして引き締まったオケが痛快に吹き上がります。速めのテンポと鮮やかなボウイングが生み出す高揚感と要所でスッと力を抜いて変化をつけるコントラストが秀逸。1楽章は万全。
美しいメロディーのアダージョはオーボエの響きがクッキリ浮かび上がって実に美しい。しなやかな入りと力感漲る中間部の描き分けも見事。木管陣、こんなに上手かったかしらと思うほど情感あふれる演奏に驚きます。
オケの吹き上がりがいいのでメヌエットも聴きごたえ十分。中間部に入るといたずら心が芽生えたのかチョコチョコテンポの遊びにデフォルメを織り交ぜ、微笑ましい。
フィナーレは快活爽快。見事に弾みながら小爆発を繰り返していく音楽。これぞハイドンの快感!

Hob.I:76 Symphony No.76 [E flat] (1782?)
ヴァントの演奏が刷り込みで、この曲独特の愉悦感に満ちた入りが焼き付いていますが、飯森さんの演奏はこの曲でも爽やか。オケの小気味よいリズムのキレでこの曲独特のメロディーの豊かな表情がさらにクッキリと浮かび上がります。そしてメロディーが表情を変えながらどんどん展開していく面白さは格別。
唸ったのが2楽章。ちょっとテンションを落として適度な憂いと翳りをたたえた美しいメロディーが流れます。この抑えた表現から生まれるデリケートな情感は見事。絶品。
メヌエットは優雅。トリオの牧歌的なメロディーにつながり、再びオーソドックスに優雅に締めます。
そしてフィナーレもその優雅さを引き継いでの入り。優雅さを保ちながら徐々にテンションを上げていく面白さはこの曲ど独特。そして終結部の繰り返しでちょっとウィットを効かせる部分の演出も爽やかなもの。演出で聴かせる曲も見事にまとめました。

Hob.I:90 Symphony No.90 [C] (1788)
序奏のちょっとこけおどし的な演出がうまく決まります。主題以降は堂々としたメリハリの効いたオーケストラの見事な演奏。この曲のちょっと大袈裟なところをうまく汲み取って派手目の表現が痛快。ティンパニがグイグイ煽り、オーボエも装飾音をちりばめてこの曲の面白さをデフォルメしてきます。
1楽章の外連味たっぷりな演奏に対して2楽章は落ち着いて入りますが、強奏部分でザックリ豪放な印象を乗せて変化をつけます。
そしてメヌエットでもこの豪放な印象を受け継ぐなど曲に共通する印象で筋を通しているよう。
フィナーレは終わったはずがまだ続くというパフォーマンスをラトルが好んで演奏する曲。私はラトルの演出自体はあんまり好みではありません。飯森さんはここは、音を聴く限り変な演出なしで畳み掛ける迫力とオケのキレで聴かせる正統派の演奏。ハイドンのウィットを純粋に汲み取る酔眼。素晴らしいですね。

最初に触れたとおり、この第9巻、それぞれの曲の面白さを汲み取って余裕すら感じされる秀演揃い。オックスフォードは痛快なまでにキレキレ、76番は独特な曲想の面白さを描き切り、90番は曲に仕込まれた外連味を洗練されたデフォルメに昇華させました。このシリーズ最高の出来と断じます。評価は全曲[+++++]とします。現代楽器におけるそれぞれの曲のベスト盤として良いでしょう。

ハイドンを愛する皆さん、「買わないという選択肢はないやろ〜」(某師匠風 笑)



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2 Comments

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だまてら

No title

当シリーズも順調な進行で、慶賀の至りです。やはり並走するアントニーニを意識しつつ、2030年をゴールに置いているのでしょうね!
ところで、もう3か月ほど前ですが、日曜日の夜運転中にNHK-FMを聴いていたところ7時のニュースの後のクラシック番組で冒頭MCが「今日は、大阪からハイドンの演奏をお届けします・・・」と始めました。これは飯森/日本センチュリー交響楽団に違いない、と思ったら、意外にもオーギュスタン・デュメイ指揮の関西フィルハーモニー管弦楽団による「告別」でした。ながら聴きでの感想ですが、演奏はあまりピリオド風を意識させず、かつ鈍重にもならない中庸を得たもので好感を持ちました。両団とも、東京で聴く機会がごく少ないのが残念ですが、わざわざ出向いて行く価値は充分ありますね。(ちなみに、先週の尾高/大フィルのサントリーHでのブルックナー第3交響曲は大熱演だったようで、当日夜に友人から感動のメール着信がありました)
演奏会を絡めての関西オフ会など、Daisyさんの企画力にも期待したいです!

  • 2020/01/26 (Sun) 23:45
  • REPLY
Daisy

Daisy

Re: No title

だまてらさん、コメントありがとうございます。

ハードルが上がりましたね(笑) 私もハイドンマラソンは一度聴いてみたいところですので、どうせ行くなら泊まりでとなるとオフ会になりますでしょうか。ちょっと先の予定が組める状態ではないので、検討させてください。

ちなみにこのところ昔の国内オケのアルバムも色々聴いていますが、レベル高いものが多いですね。また視野が広がった感じです。

  • 2020/01/27 (Mon) 11:04
  • REPLY