作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

チャールズ・グローヴズ/日本フィルの1991年ロンドンライヴ(ハイドン)

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素晴らしいアルバムをまた発掘!

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サー・チャールズ・グローブズ(Sir Charles Groves)指揮の日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、ベートーヴェンの「エグモント」序曲、ハイドンの交響曲104番「ロンドン」、ブリテンのシンフォニア・ダ・レクイエムの3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1991年1月17日、サントリーホールでの第427回定期演奏会のライヴ。日本フィルの自主制作盤。

このアルバム、最近オークションで手に入れたもの。チャールズ・グローヴズが日本で振っていたとは全く知らず、しかも、ハイドンのロンドンのライヴがあったということで聴いてみたくなり落札した次第。

チャールズ・グローヴズのハイドンの録音は手元にオックスフォードとロンドンの1988年のイングリッシュ・シンフォニアとのなかなかいい演奏の録音があり、ブログ初期に記事にもしています。

2010/11/17 : ハイドン–交響曲 : チャールズ・グローヴズのオックスフォードとロンドン(ハイドン)

イングリッシュ・シンフォニア盤は1988年の録音で、オーソドックスな現代楽器のハイドンの秀演。オケは荒削りながら確かなフォルムを構築し、ライヴではないかと思わせる勢いを感じる演奏です。チャールズ・グローヴズは日本では今ひとつ知名度が高くありませんが、この演奏を聴いて確かな腕の持ち主というしっかりとした印象が残っておりました。

その、チャールズ・グローヴズの日本でのライヴということで興味津々。アルバムを所有盤リストに登録すべく聴き始めたところ、最初のエグモント序曲からやられました。まるでベルリンフィルの演奏のように鋼のような力強い弦。そして引き締まりまくったオケのタイトな響き。もちろん音楽のフォルムの端正さはグローヴズならでは。1991年当時、これほど素晴らしい演奏が日本のオケから聴けたと思うと実に感慨深いものがあります。
※1曲目のエグモント序曲は1991年の1月12日東京芸術劇場での収録

Hob.I:104 Symphony No.104 "London" 「ロンドン」 [D] (1795)
イングリッシュ・シンフォニアと録音よりもオケは端正で精度は格段に上がっています。序奏は端正と言うより精緻。セッション録音と言ってもおかしくない素晴らしいオーケストラコントロール。主題に入るとこの曲の覇気あふれるメロディーが実に気持ちよく吹き上がります。リズムの鮮やかさ、力強さ、陰りの表情、いずれをとっても見事な演奏。このロンドン、力みや過剰な表現が少しでも垣間見えると単調に聴こえてしまう難曲ゆえ、ライヴでのこのキレ味鋭く堂々と引き締まったフォルムは見事。このバランス感覚こそハイドン演奏の肝でしょう。1楽章はグローヴズの見事なオーケストラコントロールを堪能。
続くアンダンテは曲の美しさを知り尽くしているようで、少し彩度とトーンを落としながらも淡々とオケをコントロールしてゆったりとした大きな波を描いていきます。大局をしっかり押さえています。
メヌエットではオケのキレと吹け上がりの良さを存分に発揮。フレーズごとの表情付が見事でくっきりとした起伏の変化が楽しめます。
そしてフィナーレも前のめりになることなく、構造を見通せるようにクッキリと描いていくアプローチ。引き締まったオケが音楽を解像させていく面白さで聴かせるような演奏。ハイドン最後の交響曲の古典の大伽藍を見事に描き切りました。

最後のブリテンもオケ炸裂です。
※ブリテンは1987年2月7日東京文化会館での収録

チャールズ・グローヴズの力強くも気品あふれるロンドン。やはり驚くのは精緻なオーケストラコントロール。もともと現代音楽を得意とするだけあって、全体を俯瞰した見通しの良さと、デュナーミクの丁寧なコントロール、そしてハイドンらしい古典的なバランスの良さは見事。流麗と言うよりは端正実直な音楽。日本フィルもグローヴズに鍛え上げられたのでしょう、揺るぎない構築感を伴う見事な演奏で応えました。1991年にこれだけ素晴らしいハイドンが日本のオケで演奏されたこと自体素晴らしいことだと思います。評価は[+++++]といたします。



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2 Comments

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小鳥遊

グローヴズ‼️

いつか取り上げられるんじゃないかと待ってました!

日フィルの自主制作盤のハイドンは、グローヴズに限らず、スメターチェク、ルカーチと中々に好いですが、時代が新しいのもあってか、グローヴズのロンドンは特に素晴らしいですね。

評価5つ星で安心しました(笑)

地味だけれども確りと仕事をこなす指揮者のハイドンは、やっぱりいい!

Daisy

Daisy

Re: グローヴズ‼️

小鳥遊さん、コメントありがとうございます。

流石にマニアックなところを押さえていますね〜。イングリッシュ・シンフォニア盤も良かったんですが、この日本フィル盤は絶品ですね。こういった職人指揮者のハイドンは本当に素晴らしいものが多いですね。

ちなみにスメターチェク/日本フィルの73番も手元にLPがあります。ちょっと探して聴き直してみます!

  • 2020/01/16 (Thu) 12:05
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