作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

H. R. A. Award 2019

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皆さま、明けましておめでとうございます。

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2019年の1年間にレビューしたアルバムから最も感銘を受けたアルバムを分野別に表彰するこの企画。最近は年をまたいで元旦にこの記事をアップすることが恒例化しております。2012年に思いつきで始めた企画ですが、今回で8回目となり、それなりに歴史を刻んでおります。過去7回の結果は以下のリンク先をご覧ください。

カテゴリ:H. R. A. Award

さて、最近は新たに入手したアルバムから記事を書いています。2019年に手に入れ、所有盤リストに登録した演奏数は538。この中から気に入ったものを記事に取り上げています。その中から選りすぐった2019年の分野別ベスト盤はこちら!


【交響曲部門】

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2019/11/29 : ハイドン–交響曲 : 【新着】バルト・ファン・レイン/ル・コンセール・ダンヴェルの交響曲80、81番(ハイドン)

交響曲は昨年12枚のアルバムをレビューしています。アントニーニ飯森範親/日本センチュリー響の全集は双方とも順調に巻を重ね、いずれもピカイチの出来ですがすでに皆さんによく知られたものゆえ選びません。そして昨年はメルツェンドルファーの全集という隠し球がリリースされましたが、音質、演奏ともに少々難あり。最終的に候補に上がったのはこのバルト・ファン・レインとエンリコ・オノフリの悲しみ。ともに古楽器による演奏ですが、とりわけバルト・ファン・レインは岩清水のような清らかさでハイドンの創作力が爆発するパリセットの直前の80番、81番をまとめた名演奏。録音も秀逸で、この2曲の面白さを再発見する偉業です。オノフリは18世紀のセビリアでどのようにハイドンの交響曲が演奏されていたかを資料をもとに再現するという見事な企画で、癒しに満ちた惚れ惚れするようなアダージョが印象的でした。


【管弦楽協奏曲部門】

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2019/12/19 : ハイドン–協奏曲 : レイチェル・ポッジャーのヴァイオリン協奏曲集(ハイドン)

管弦楽・協奏曲では5枚のアルバムをレビューしています。交響曲部門で選出したバルト・ファン・レイン盤にも素晴らしいピアノ協奏曲が含まれるため、実質6枚。この中でHaydn Disk of the Monthに選んでいるのはアレック・フランク=ゲミルのホルン協奏曲なんですが、最終的に選んだのはレイチェル・ポッジャーのヴァイオリン協奏曲集です。ポッジャーは同月に良いアルバムが重なってしまったためHaydn Disk of the Monthに選べませんでした。他に古き良き時代の演奏であるリステンパルトの協奏曲集アンヌ・ケフェレックのピアノ協奏曲などもある中、決め手はポッジャーのヴァイオリンとオケの一体感あるそよ風のように軽やかな演奏。ヴァイオリン協奏曲ではカルミニョーラ盤マルク・デストリュベ盤を凌ぐ決定盤と言っていいでしょう。


【弦楽四重奏曲部門】

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2019/04/07 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】マクスウェル四重奏団のOp.71(ハイドン)

弦楽四重奏では8枚のアルバムをレビューしています。この中に名盤であるイタリア四重奏団なども含まれていますが、こちらも名盤として広く知られるものゆえ選んでおりません。最終的にフランス人女性4人組のツァイーデ四重奏団と知る人ぞ知るクロイツベルガー弦楽四重奏団が候補でしたが、スコットランド出身で、Op.71の3曲にスコットランドの曲を挟んでハイドンの面白さを際立たせた好企画のマクスウェルを選んだ次第。精緻極める演奏で、キビキビとした運びの中にハイドンのウィットがきらりと光る名演です。


【室内楽部門】

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2019/12/21 : ハイドン–室内楽曲 : オリヴィエ・ヴェルネのオルガン四重奏と音楽時計曲集(ハイドン)

昨年は室内楽のアルバムは2枚しかレビューしていませんでした。ピアノトリオ、バリトントリオなどで食指をそそるものが見つからなかったという印象です。取り上げた2枚はいずれも音楽時計曲が入ったもの。ということで選んだのはヴェルネのコンチェルティーノ(オルガン四重奏曲)と音楽時計曲のアルバム。ヴェルネのオルガンは圧倒的な推進力と存在感が魅力。ピアノやフォルテピアノなどでの演奏の印象が強いコンチェルティーノを個性的なオルガンで実に愉悦感あふれる音楽に仕立て直しました。


【ピアノ曲部門】

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2019/01/21 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ロマン・ラビノヴィチのピアノソナタ全集第1巻(ハイドン)

ピアノ曲は11枚のアルバムをレビューしましたが、いずれも名盤で、選ぶのに最も苦労した部門。現代ピアノでは古くはジャン=ベルナール・ポミエのデビューアルバムグールドのストックホルムライヴエカテリーナ・デルジャヴィナの変奏曲集、そして神がかったような冴え方のアニカ・ヴァヴィッチなどいずれも絶品。そして古楽器ではクリスティアン・ベズイデンホウトのソナタ集井上裕子さんのデビュー盤ヤロスラフ・トゥーマアレクセイ・リュビモフニコラ・スタヴィと名手3人の十字架上のキリストの最後の七つの言葉、そしてパトリック・ホーキンスのスクエアピアノによるハイドンと英国貴婦人をテーマとしたアルバム。こちらもどれを選んでもおかしくない名盤揃い。最終的に選んだのは現代ピアノによるロマン・ラヴィノヴィチ盤ですが、このアルバム、ハイドンのソナタ全集を目指した1巻目。全集の一押しはいまだ普遍性と揺るぎなさでオルベルツ盤ですが、このラヴィノヴィチ盤はオルベルツを超える可能性を感じさせる素晴らしい演奏ということで選びました。続きが楽しみなアルバムです。


【声楽曲部門】

該当作なし

声楽曲やオラトリオ、オペラでは2枚しかレビューしていません。期待した佐渡裕/トーンキュンストラー管の天地創造ライヴは、オーケストラは素晴らしいものの、肝心のバリトンのラファエル/アダム役がビシッとせず、おすすめできるレベルに到達せず。ということで、該当作なしとしました。



さて、昨年から始めたコンサート部門。2019年はコンサートに通った回数は22回。記事はそのうち一つが3夜連続コンサートで一つの記事としましたので記事は20本。ということで、この中からハイドンを演奏したコンサートと、それ以外のコンサートに分けてベストを挙げておきましょう。

【コンサート部門(ハイドン)】

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2019/05/17 : コンサートレポート : ブラウティハムのハイドン&ベートーヴェン(トッパンホール)

ハイドンを演奏するコンサートには12回通いました。中でも異次元の集中力と完成度を誇ったのはブラウティハムのコンサート。ハイドンとベートーヴェンを交互に並べ、しかもハイドンが前座にはならず、ハイドンの影響を受けてベートーヴェンが書いた曲で応じるという見事なプログラム。演奏の完成度の高さは圧巻でした。
次点はテミルカーノフ/読響の驚愕。古いLPで聴いた昼が絶品だったのでテミルカーノフのハイドンはいいはずとの確信がありとったチケット。彫刻的なフォルムの見事さ、スリリングさは今まで聴いたコンサートでのハイドンの交響曲の最高峰と言えるものでした。
そして、特別感慨深かったのがBrilliant Classicsからバリトントリオ全集をリリースしたエステルハージー・アンサンブルの来日公演。バリトンのミヒャエル・ブリュッシングさんの丁寧な解説付きで間近で聴くバリトンの摩訶不思議な音色に癒されました。


【コンサート部門(ハイドン以外)】

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2019/03/24 : コンサートレポート : シルヴァン・カンブルラン読響常任指揮者最終公演(東京芸術劇場)

ハイドン以外のコンサートにも10回ほど通っています。最も感銘を受けたのは9年間にわたり読響の常任指揮者を務めたシルヴァン・カンブルランの最終公演。9年間の蓄積が音楽に全て表現されていたような完璧な読響の演奏は絶品でした。特にカンブルラン得意の幻想交響曲は神がかったような渾身の演奏。このコンビが到達した頂点にふさわしい演奏でした。ハイドンもよくプログラムに採用したカンブルランですが、やはりフランスものや現代物が最も似合いますね。
次点は先日聞いたばかりのジョナサン・ノット/東響の第九。東響や東響コーラスからものすごいエネルギーを引き出した爆演でした。年末までに放送で読響のアイヴァー・ボルトン、N響のシモーネ・ヤングの第九も見ましたが、奏者の顔つきが全く異なり、ジョナサン・ノットがコントロール力のレベルの違いを見せつけた感じ。今後もノット/東響から目が離せませんね。



以上、2019年のベスト盤でした。

本年もマイペースながら、コツコツと書き続けていきたいと思いますので、読者の皆さま、本年もよろしくお願いいたします。

(追伸)
年末ジャンボですが、ハズレましたので、金にものを言わせてハイドンの未入手のアルバムを買い集める企画はボツです(笑)




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4 Comments

There are no comments yet.

だまてら

No title

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
弦楽四重奏曲部門が、室内楽から独立したのは画期的ですね。元祖?レコ芸誌をはじめ世界的にも唯一では無いでしょうか?
マクスウェルSQの受賞も慶賀の至りです。2019年はコンサート・メディアともにハイドンはそこそこの量に留まりましたが、2020年は雑司ヶ谷拝鈍亭のカルテット完結編?も含め2030年への助走をそろそろ開始しようと考えていますので、今年もよろしくお願いいたします。

  • 2020/01/04 (Sat) 10:16
  • REPLY
Daisy

Daisy

Re: No title

だまてらさん、コメントありがとうございます。

弦楽四重奏はハイドンの重要な作品分野ですので、昨年から室内楽から独立させました。LP時代の未入手の音源も含めてまだまだ聴かねばならないアルバムがたくさんあり、新たなリリースも続いていますので、プレッシャーがかかり続けています(笑)
昨年はピアノトリオなど弦楽四重奏以外の室内楽をあまり取り上げていませんでしたので、今年は少し意識して取り上げていこうかと思っております。

今年もよろしくお願いします。

  • 2020/01/04 (Sat) 10:56
  • REPLY

sifare

遅ればせながら明けましておめでとうございます!

Daisyさん、いつもながら遅くなりまして申し訳ありません。
本年も沢山のHaydnの情報をブログから頂きたいと思っております。よろしくお願い致します。2020東京!新しい活力ある一年にしたいですね~

私の最近のハイドンCDはキアラ・グラナータの「ハイドンとハープ」そしてMaddalena del Gobboの「Maddalena and the prince」
こういうコンセプトのCDが楽しむことのできる幸せってことですかね(^^)

Daisy

Daisy

Re: 遅ればせながら明けましておめでとうございます!

sifareさん、あけましておめでとうございます。

いやいや、こちらこそ遅くなりました。月火とちょっと旅に出ていました(笑)
キアラ・グラナータの方は把握していたんですが、マッダレーナ・デル・ゴッボの方は全く把握外でした。Spotifyに登録されていたので、聴いてみたところかなりいいですね。ガンバやバリトン奏者がアイドル系とは時代が変わりましたね。アルバムやサイトを見るとDGがかなり力を入れている感じですね。早速注文しました(笑)

2020と言えば東京オリンピックですが、東京中人が溢れて大混乱にならないか今から心配です。今年「も」マイペースでやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!

  • 2020/01/07 (Tue) 23:19
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