作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

爆演! ジョナサン・ノット/東響の第九(サントリーホール)

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12月28日土曜は第九を聴きに行ってきました。

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東京交響楽団:auカブコム証券 presents 「第九」2019

このところ年末になると第九を聴く日本風の習慣が定着(笑)

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確認してみると、割と読響のコンサートに出かけることが多かったんですね。今年は読響はアイヴァー・ボルトン、N響はシモーネ・ヤングとなかなか役者が揃っていたんですが、東響はノット監督が直々にお出ましということで東響のチケットを取った次第。ミューザ川崎の回があればそちらを取ったんですが、サントリーホールのみの設定でした。

歌手陣は下記の通り。バスバリトンのシェンヤンがノットのドン・ジョヴァンニのレポレッロ役で聴いたことがあるだけではじめて聴く人ばかり。

ソプラノ:ルイーズ・オルダー(Louise Alder)
メゾソプラノ:ステファニー・イラーニ(Stefanie Irányi)
テノール:サイモン・オニール(Simon O'Neill)
バスバリトン:シェンヤン(Shenyang)
合唱:東響コーラス(Tokyo Symphony Chorus)
合唱指揮:冨平恭平(Kyohei Tomihira)

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年末になって、だいぶ冷え込んできた東京。この日は寒かったのと、銀座線が工事で一部区間運休していたので、車でサントリーホールに向かいました。したがってコンサート前の景気付けのワインはなし(涙)

この日の席はお気に入りのオケを右上から俯瞰するRAの2列目。流石にノットの第九とあってサントリーホールは満席。ステージ上には多数のマイクが仕込んであったのでおそらくライヴ収録されているでしょう。席についてプログラムに目を通していると、ジョナサン・ノットが東響で第九を振るのははじめてということで、かなり力が入っていることが窺えます。ノットのコンサートには何度も足を運んでいますが、私もノットのベートーヴェン自体がはじめて。

定刻の18:30となり、コーラスとオケが入場。チューニングを終えノットが登壇するといつもどおり一際大きな拍手で迎えられます。そしていつもどおりタクトを振り下ろし、冒頭の聴き慣れたさざめきが響き、そして全奏になると、いつものノットとは動きが違います。いつものノットから3段ぐらいギアチェンジして体全体を縦横無尽に使ってオケにエネルギーをぶちかまします。まるで千手観音が早送りで指揮しているよう。冒頭からフルスロットルです! テンポは予想どおり速めで要所で練る以外は畳み掛けるようなインテンポ。オケもこの日はノットの発散するエネルギーに負けじとばかり、気合漲る素晴らしい演奏。第九の1楽章がこれほどまでに力感漲る演奏ははじめて。観客も微動だにせずノットの気迫にのまれています。
続くスケルツォももちろん、気合炸裂。ティンパニ奏者も渾身の一撃で応じます。ティンパニのすぐ上の席で聴いているだけに波動がダイレクトに伝わります。ティンパニ、冴えまくってました。快速テンポでのスケルツォの緊張感溢れる躍動にノックアウト。
異様な雰囲気を少し和らげるように歌手の入場をまって、3楽章に入ります。歌手はオケの前に陣取りますが、4人の並びは下手端にソプラノ、上手端にメゾと両脇を女性が固める珍しい並び。合唱も男性が中央で女性が両脇になっているのに呼応したものでしょう。3楽章はノットのタクトのテンションが少し落ち着きを取り戻し、テンポはやはり速めながらしなやかに歌う切り替えが見事。
そしてクライマックスである終楽章は圧巻でした。特に素晴らしかったのが東響コーラス。オケももちろんですが、コーラスの一人一人が150%のエネルギーを発散するような気迫が漲る熱唱。ベートーヴェンの描いた音楽に宿るエネルギーを全て放出するような絶唱。終楽章はかなり速めのテンポでノットが煽りまくるのに完璧に追随。そして歌手も4人とも素晴らしい声量で、こちらも絶唱。静寂と爆発を繰り返しながら頂点に至るベートーヴェンの音楽がホール内のお客さんを圧倒しました。

もちろん満員のお客さんからブラヴォーの嵐が降り注ぎました。印象的だったのが歌手4人がまず最初に後ろを向いてコーラスを称えていたこと。背中から押し寄せるコーラスのエネルギーを一番感じたのはソリストだったからでしょう。ノット監督もコーラスの熱唱を称えて、繰り返しカーテンコールに応じていました。

第九の演奏で前に短い曲がおかれることが多いのですがこの日のプログラムは第九1曲。第九の後にアンコールはなかろうと思っていたところ、何度目かのカーテンコールの後、ノットがオケの方を向き、タクトを振り下ろしたかと思うと、なんと蛍の光。しかもフルコーラス付き。演奏が始まるとコーラスが整然と客席に降りて行って、、、粋な演出付きでした。第九ということでお客さんは普段のコンサートよりもクラシックに馴染みがないお客さんも多かろうということでのサービスでしょう。何やら東響では前にもこのようなアンコールがあったそうで、これも東響の伝統を踏まえたものかもしれませんね。

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今年の第九、今まで聴いた第九の中では一番の名演。ノットがベートーヴェンに全力で向き合い、オケ、コーラス、歌手もそれに完璧に応える素晴らしい演奏でした。ブラヴォー!



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2 Comments

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ROYCE

東響の第九には蛍の光がつきもの

東響の第九は去年までは秋山和慶さんが指揮をしていましたが、蛍の光が歌われる最中にホール内が暗くなってペンライトが輝く趣向は毎年のことでした。第九の前にヴィヴァルディの「春」「冬」が演奏されたのも恒例でしたが、今年からヴィヴァルディはやらなくなったようですね。

Daisy

Daisy

Re: 東響の第九には蛍の光がつきもの

ROYCEさん、コメントありがとうございます。

やはりそうでしたか。終演後、ロビーで他のお客さんが、「まさかやるとは思わなかったね〜」なんて話していたので、もしかしたら、東響の第九では定番なのかなとの想像でしたが、実際に同じ演出で前の年もやっていたんですね。第九の後にアンコールは合わないという印象もありましたが、今回の演出は素直に楽しめました。何よりノットが楽しそうに振っていたのがよかったですね。

  • 2019/12/31 (Tue) 00:53
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