作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

レイチェル・ポッジャーのヴァイオリン協奏曲集(ハイドン)

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今日はヴァイオリン協奏曲集。

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TOWER RECORDS / amazon

レイチェル・ポッジャー(Rachel Podger)のヴァイオリン、エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団(Orchestra of the Age of Enlightenment)の演奏で、ハイドンのヴァイオリン協奏曲2曲(Hob.VIIa:4、VIIa:1)、モーツァルトの協奏交響曲(KV364)の3曲を収めたSACD。ハイドンの収録は2009年3月、ロンドンの北のイースト・フィンチリー(East Finchly)にあるオール・セインツ牧師館(All Saints' Vicarage)でのセッション録音。レーベルはCHANNEL CLASSICS。

このアルバム、手に入れたのは割と最近になってから。レイチェル・ポッジャーは有名どころですが、今まであまりちゃんと聴いていませんでした。手元にはソプラノのマイリ・ローソン(Mhairi Lawson)のスコットランド歌曲集の伴奏を担当したopus111のアルバムが1枚あるのみでした。

調べてみると、ポッジャー、CHANNEL CLASSICSからかなりの枚数のアルバムをリリースしていますね。ヴィヴァルディ、バッハ、ラモー、テレマン、モーツァルトとバロックヴァイオリンで演奏する曲を総なめする勢いです。その中に私にはキラリと光ってみえるハイドンのアルバムがこのアルバムです。

レイチェル・ポッジャーは1968年にイギリス人の父とドイツ人の母の間に生まれ、シュタイナー学校出身でギルドホール音楽演劇学校でヴァイオリンを学び、在学中からフロリレジウム(Florilegium)などの古楽器アンサンブルを主宰していたとのこと。そういえば手元にフロリレジウムが伴奏を務めるウィスペルウェイのチェロ協奏曲集がありますが、確認したところそのアルバムのコンサートマスターはポッジャーでした。また、イングリッシュ・コンサートのコンサートマスターも務めていたそう。以降の活躍はCHANNEL CLASSICSのアルバムを見れば分かるとおりで、バロックヴァイオリンの女王と呼ばれる存在です。

こうした経歴から個性の強い人かと思いきや、実にナチュラルな演奏が印象的なアルバムでした。

Hob.VIIa:4 Violin Concerto [G] (c.1765/70)
序奏から実に自然な古楽器の響きが美しい入り。指揮者を置かない演奏らしく、ポッジャーのソロとオケはせめぎあうのではなく、渾然一体となって調和する演奏。録音もソロを強調するのではなくオケの一部のようなバランス。この自然さと響きの一体感がこの演奏の特徴。この自然さ、私の好きなマルク・デストリュベ盤と同じ方向性で、曲自体の美しさを堪能できるもの。快活な1楽章と癒しに満ちた2楽章の対比を強調する演奏も多い中、ポッジャーはあえて強調せず、自然な繋がりを美しさで聴かせる見事な演出。もちろんこの自然な美しさは2楽章のアダージョに入ると輝きを増し、淡々と描く自然な美しさにうっとり。2楽章のカデンツァは控えめな美しさが極まる見事なもの。この謙虚さ、貴重です。
フィナーレはもちろん軽やかでキビキビとした運びなんですが、自然さは一貫していて、これは力の抜け具合に起因しているのでしょう。この軽やかさ、ハイドンの演奏の肝なんですね。本当にそよ風のように吹き抜けるフィナーレ。心地良さが極まります。

間にモーツァルトの協奏交響曲が挟まります。ヴィオラはパヴィオ・ベズノシウク。この曲はクレーメル、カシュカシアン、アーノンクールのエキセントリックな演奏が刷り込みなので、ポッジャーの優しさが心に染み込みます(笑)

Hob.VIIa:1 Violin Concerto [C] (c.1765)
もはや曲に身を任せるだけ。美しい響きに包まれる幸福感。ジャケットに写るポッジャーの優しい笑顔に見つめられながらうっとりしっぱなし。ヴァイオリンはソロというよりコンサートマスターとしてオケをリードする延長のような一体感。実に優しいボウイング。そしてソロよりもポッジャーにリードされているオケの起伏の鮮やかさも見事。まさに渾然一体。ポッジャーのヴァイオリンは音自体は線が細いのですが、それが可憐な美しさにつながっていて、全く弱点に感じません。むしろ軽やかさとしなやかさは群を抜いていて、そちらがポッジャーのヴァイオリンの美しさを際立たせている要素でしょう。その美しさが極まるのが続くアダージョ。オケのピチカートに乗って舞うポッジャーのソロ、絶品です。
そしてフィナーレも前曲同様、言うことなし。

これは名盤ですね。ポッジャーのヴァイオリンがこれほどまでにいいと今更知った次第。SACDだけに録音も鮮明です
。ご存知の通り、これまでヴァイオリン協奏曲はデストリュベ盤推しだったんですが、これからはポッジャー推しにあらためます。もちろんデストリュベ盤もナチュラルで素晴らしいのですが、こちらはそれにしなやかさと色気がほんのりと乗り、オケとの一体感も尋常ではないレベル。未聴の方はぜひ聴いてみてください。評価はもちろん両曲とも[+++++]とします。

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