作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ハンス=オラ・エリクソンによる音楽時計曲集(ハイドン)

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ちょっと間が空いてしまいました。今日は激マイナー盤(笑)

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ハンス=オラ・エリクソン(Hans-Ola Ericsson)のオルガンによるハイドンの音楽時計曲32曲、ベートーヴェンの音楽時計、機械式オルガンのための曲8曲を収めたアルバム。収録は1993年2月11日から14日、スウェーデンのストックホルム北部のウップランド地方のベリンゲ教会(Bälinge Church)、ストックホルムのヘガリッズ教会(Hägalid's Church)、ウプサラのフリーメイソンホール(Masonic Hall)でのセッション録音。レーベルはご存知BIS。

音楽時計曲はハイドンの作品の中でもマイナー中のマイナー(笑)な存在ですが、マイナーを見過ごせない性格ゆえ、これまでにも何回か取り上げています。

2013/06/23 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】宇山ブヴァール康子のソナタ、音楽時計曲集(ハイドン)
2011/06/13 : ハイドン–室内楽曲 : ペーター・アレキサンダー・シュタットミュラーの音楽時計曲集(ハイドン)
2011/02/11 : ハイドン–協奏曲 : マルタン・ジュステルのオルガン曲集-2(ハイドン)
2011/02/11 : ハイドン–協奏曲 : マルタン・ジュステルのオルガン曲集(ハイドン)

音楽時計についてはマルタン・ジュステルの2の方の記事をご参照ください。

さて、いつもアルバムを取り上げるのは、演奏が素晴らしいからというのがこのところの当ブログの作法になっておりますが、このアルバムを取り上げたのはそう言った理由からではなく資料的な価値から。ハイドンの音楽時計のための曲は真作かどうかは別にして、ホーボーケン番号上32曲ありますが、その32曲を網羅している音源は数少なく、しかもCDではおそらくこれ1枚。以前取り上げたペーター・アレキサンダー・シュタットミュラー盤は演奏も堂々としてなかなか素晴らしく、1曲ごとにホーボーケン番号も振られているのですが、29曲しか収められていません。今回入手したアルバムは32曲収録されているのですが、1曲1曲ホーボーケン番号が振られておらず、網羅度を確認できずにいましたが、いろいろな盤の音源と聴き比べてホーボーケン番号を特定したところ、全32曲網羅していることが判明しました。手元には苦労して判明したトラック番号とホーボーケン番号の対比表が残りましたが、このアルバムを入手した他の方も同様の問題を感じられるに違いないと思い、この記録を公開しておくべきとの激ニッチな分野のブログを運営する立場としての社会的使命を感じ、ネット上に公開すべく記事にしたというのが理由です。

そう言ってしまうと、この盤、演奏が素晴らしい訳ではないとの疑念を抱かれるかもしれませんが、そもそも音楽時計曲は極めて単純な1分前後の曲ばかりということで、皆様におすすめしやすいものでもありません。要は生粋のハイドン愛好家向けの文字通り「激ニッチ」な作品であり、この32曲はハイドンが実に様々な分野のために音楽を書いていたことを証する歴史的資料と言った側面が強いものであり、資料的価値や、ハイドンの創作の周辺的分野への興味がある方へおすすめすべきものであります。もちろんそう言った視点での演奏の価値は十分にあり、曲を理解、把握して楽しむのに十分な演奏のクオリティがあります。

奏者のハンス=オラ・エリクソンは、1958年ストックホルム生まれのオルガニストで、ヨーロッパを中心に広くコンサート活動を行っている人。BISから多くのアルバムをリリースしていますが、中でもメシアンのオルガン作品全集が目を引き、古典ばかりではなく現代音楽も得意としているよう。長年オルガン修復のプロジェクトにも関わるなど本格派。

このアルバムはそのエリクソンが、3つのオルガンを弾きわけ、ベートーヴェンとハイドンの曲を収録したものです。3つのオルガンとは以下のとおり。
・ウプサラ フリーメイソンホールのオルガン(The Masonic Hall Organ, Uppsala)
・ウップランド ベリンゲ教会のルネサンスポータブルポジティブオルガン(The Renaissance portable positive organ, Bälinge Church , Uppland)
・ストックホルム ヘガリッズ教会の合唱オルガン(The Choir Organ in Högalid's Church, Stochholm)

ということで、肝心の収録曲リストですが、冒頭の番号がこのCDのトラック番号で、続く表記が曲名(所有盤リストのタイトル)です。

7)Hob.XIX:17 MS. Niemecz No.2 Allegro moderato [C] (1760–61)
8)Hob.XIX:2 Vivace [F] (1757–59)
9)Hob.XIX:7 Menuetto [C] (June–December 1761)
10)Hob.XIX:18 Presto [C] (1757–59)
11)Hob.XIX:1 (Hob.XXVIII:7 No.4) Allegretto [F] (1757)
12)Hob.XIX:21 Allegretto [G] (2nd half of 1764)
13)Hob.XIX:23 Vivace [C] (1st half of 1764)
14)Hob.XIX:3 (Hob.I:53-II) Andantino [F] (Jun–December 1761)
15)Hob.XIX:22 Allegro Moderato [C] (1764)
16)Hob.XIX:24 MS. Niemecz No.3 Presto [C] (2nd half of 1764)
17)Hob.XIX:5 (Hob.XI:82-III) Menuetto [F] (1760–61)
18)Hob.XIX:8 Menuetto "Der Wachtelschlag" [C] (June–December 1761)
19)Hob.XIX:10 Andante [C] (1758–60)
20)Hob.XIX:20 (Hob.I:85-III Trio) Menuetto [C] (1758–60)
21)Hob.XIX:19 (Hob.XXVIa:13) Andante [C] (1760–61)
22)Hob.XIX:4 Andante cantabile "Der Dudelsack" 「バグパイプ」 [C] (1957–60)
23)Hob.XIX:9 (Hob.III:57-III) Menuetto, Allegretto [C] (Spring 1762)
24)Hob.XIX:6 (Hob.XI:76-III) Vivace "Der Kaffeeklatsch" [F] (June–December 1761)
25)Hob.XIX:16 MS. Niemecz No.1 Fuga, Allegro [C] (Spring 1763)
26)Hob.XIX:12 MS. Wien No.2 Andante [C] (Spring 1763)
27)Hob.XIX:15 MS. Wien No.5 Allegro ma non troppo [C] (June–December 1761)
28)Hob.XIX:30 MS. Niemecz No.5 (Hob.III:63-IV) Presto [G] (Spring 1765)
29)Hob.XIX:14 MS. Wien No.4 Menuetto [C] (1762)
30)Hob.XIX:31 MS. Wien No.6 Presto [C] (May–September 1765)
31)Hob.XIX:11 MS. Wien No.1 Allegretto [C] (1760–61)
32)Hob.XIX:32 MS. Niemecz No.4 (Hob.I:99-IV) Allegro [F] (1760–61)
33)Hob.XIX:29 MS. Niemecz No.4 (Hob.I:103-III) Menuetto [C] (1765)
34)Hob.XIX:13 MS. Wien No.3 Vivace [C] (August–December 1763)
35)Hob.XIX:26 MS. Niemecz No.1 Andante/Allegro (Hob.XXX:36) [E] (1768)
36)Hob.XIX:27 MS. Niemecz No.2 (Hob.XVII:10) Allegretto [G] (1757–60)
37)Hob.XIX:28 MS. Niemecz No.3 (Hob.III:70-IV) Allegro [C] (End of 1765)
38)Hob.XIX:25 MS. Niemecz No.6 (Hob.XXVIII:12) Marche [D] (1760–61)

他のアルバムは、資料として残っている音楽時計の曲順で収録されていたりするのですが、このアルバムの曲順は具体的にそのような曲順かどうかはわかりません。演奏は、前掲のペーター・アレキサンダー・シュタットミュラー盤がオルガンをゆったりと鳴らしたものであったのに対し、こちらのハンス=オラ・エリクソン盤は小気味よくどんどん弾き進めて、資料的価値ばかりではなく、御伽噺を聴き進めるが如き音楽時計の不思議な世界の一端を感じられるもの。皆さんもこの不思議な感覚をぜひ味わってみてください。評価は全曲[++++]としておきます。

(追記)
このアルバムのことを調べようとする方のためにキーワード(Keywords)をつけておきます。
Joseph Haydn Flötenuhr BIS CD-609

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4 Comments

There are no comments yet.

ハイドン大好き親父(Haydn2009)

No title

Daisyさん こんばんわ。

過日のオフ会はお世話になりました。
またやりましょう。

ところで、先日お話しされていたのはこのCDですね。
私も、パソコンに取り込むときのHob番号を調べるのに、
Hobの見出しカタログとP.A.StadmüllerのCDとWiner BlockflötenensembleのLP
で調べていたので、曲番をお渡しすればよかったですね。
本文内のトラック番号と曲番が私の調べた時のものと同じですので、私の調べた曲番も
間違いないことが確認出来ました。

この音楽時計曲ですが、親しみやすい曲ばかりであるのとオルガンの音も心地よく
マイナーな作品ではあるもののたいへん好きです。

12/22(日)は、17:00から拝鈍亭で、ポジティブオルガンでの、この音楽時計曲の
演奏がありますので、私は行く予定にしています。
(先月の弦楽四重奏の演奏の時は、だまてらさんと小鳥遊さんも来場されていました)

またよろしくお願いします。


  • 2019/12/13 (Fri) 21:25
  • REPLY
Daisy

Daisy

Re: No title

Haydn2009さん、コメントありがとうございます。

このアルバムの曲順の調べ方、全く一緒です(笑) まあ、自分で調べないと気がすまないですし、所有盤リストに登録するのはリストマニア的喜びもありますので。ちなみに今回の登録時に作品辞典の方も参考にさせていただいたのですが、1点発見! XIX:26はヘ長調ではなく、ホ長調ではないでしょうか。

さて、12月22日の拝鈍亭ですが、このアルバムを取り上げたご縁もあり、面白そうなので私も参上しようかと思っております。初見参なのでよろしくお願いします。

  • 2019/12/13 (Fri) 23:41
  • REPLY

ハイドン大好き親父(Haydn2009)

No title

Daisyさん

Hob. XIX : 26の調の間違いのご指摘をありがとうございます。
確かにおっしゃる通りヘ長調は間違いでホ長調です。
後ほど、私のブログ上において修正と告知をさせていただきます。
このように間違いの指摘をしていただけると本当に助かります。

それでは22日に。寒いと思いますが、4時過ぎあたりから並んでいる予定です。


  • 2019/12/14 (Sat) 10:13
  • REPLY
Daisy

Daisy

Re: No title

Haydn2009さん

22日、私も早めに参りますので、よろしくお願いします。

  • 2019/12/16 (Mon) 22:58
  • REPLY