作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

セル/クリーヴランド管の93番、驚愕

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引き続きセルです。あんまり印象の良くなかったセルのハイドンの交響曲ですが、先日取り上げたunited archives盤の素晴らしさにつられて、手持ちの盤を掘り起こしつつレビューしてます。

SzellCleveland93.jpg

今日は交響曲93番と94番驚愕を収めた1枚。こちらも現役盤ではありませんが、装丁を変えて現役盤もあるようですし、ソニークラシカルからリリース予定の交響曲10曲セットにも同じ演奏が含まれています。

http://www.hmv.co.jp/news/article/1006280028/

録音が、93番が1968年4月19日、94番驚愕が1967年5月5日。両方ともセッション録音でステレオです。

このアルバムは私がはじめて手に入れたセルのハイドンの交響曲集。おぼろげながら最初の印象は非常にスタティックな印象を受けました。

あらためて聴き直してみると、やはり当初感じた印象の影響は大きいですね。1950年代の覇気漲るセルのハイドンと比べると、かなりおとなしくなり、均整のとれたまさにスタティックな印象。私のセルのハイドンの印象はこのアルバムによって決定づけられた訳です。

93番は昨日ライヴ演奏などを取り上げましたが、その演奏に比べると、オケの巧さは格上なものの、セルのハイドンの美点であるタイトなオケのコントロールは陰を潜め、均整のとれたバランスの良い演奏となっています。68年ということはセルが70歳をすぎての演奏。亡くなったのが万博の年である1970年ですので、死の2年前の演奏になる訳で、50年台の脂がのりきった年代とはエネルギーのレベルが違うというところでしょう。93番であえて特徴的な部分は3楽章のメヌエットの最後でテンポをぐっと落とすところ。セルにしては大胆なテンポの変化ですね。

94番驚愕は93番以上にスタティックな印象を強くします。バランスのとれた演奏を目指すあまり、ダイナミックさや生気が薄まってしまってます。1楽章の構成感はそこそこですが、畳み掛ける迫力は今ひとつ。2楽章のビックリは淡々と標準的なもの。私が94番の白眉だと思うフィナーレの展開も、壮年期の素晴らしい覇気に溢れた演奏とははっきり差がついてしまいます。

ということで、このアルバムに収められた2曲の60年代後半の演奏については、セルのハイドンの魅力は放つ演奏とは言い難いものという評価です。
いつもの評価は93番が[++++]、94番驚愕は[+++]としています。

ここまでセルのハイドンを聴き直してみて感じたのは、最初に聴いた演奏の印象が非常に大きいということ。もしunited archivesに収められた壮年期のセルの素晴らしい演奏を最初に耳にしていれば、セルのハイドンに対する印象は大きく変わったことと思います。

皆さんそれぞれお気に入りの演奏家がいるかと思いますが、その演奏家の演奏でもいいもの悪いものもあります。要は出会いというか、偶然性にもずいぶん左右されているということですね。
まあ、それだから面白い訳ですが(笑)
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