作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】アレック・フランク=ゲミルのホルン協奏曲(ハイドン)

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久々の協奏曲です。

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TOWER RECORDS / amazon

アレック・フランク=ゲミル(Alec Frank-Gemmill)のホルン、ニコラス・マギーガン(Nicholas McGegan)指揮のスウェーデン室内管弦楽団(Swedish Chamber Orchestra)の演奏で、フォルスター、テレマン、ネルーダ、レオポルド・モーツァルト、ハイドンのホルン協奏曲を収めたSACD。収録は2017年2月、スウェーデンのストックホルムから西に内陸にだいぶ入ったところの街、エレブルー(Örebro)のコンサートホールでのセッション録音。レーベルは素晴らしいプロダクション連発のBIS。

このアルバム、タイトルは「モーツァルト以前のホルン協奏曲集(Before Mozart Early Horn Concertos)」というもので、まさにモーツァルト以前のホルン協奏曲の名曲を5曲収めたもの。その中の最後がハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)。当ブログの読者の皆様なら、ハイドンのホルン協奏曲がモーツァルトのそれに勝るとも劣らないものだというのは先刻ご承知のことと思います。つまりこのアルバムのメインがハイドンといっても過言ではありませんね。

さて、オケはおなじみニコラス・マギーガンが振るスウェーデン室内管ということで、マギーガンの方からさらっておきましょう。これまでマギーガンのアルバムは4回取り上げていますが、最初に取り上げたロンドン、88番、時計がイマイチだったんですが、その後の3枚は絶妙なる演奏で、交響曲も室内楽もアリアの伴奏も見事でした。指揮ばかりでなくハンマーフリューゲルやフラウト・トラヴェルソまでこなす才人。マギーガンについては過去の記事をご参照ください。

2018/08/25 : ハイドン–オペラ : ウィリアム・バーガーのオペラアリア集(ハイドン)
2016/01/26 : ハイドン–室内楽曲 : ガメリート・コンソートのピアノ三重奏曲など(ハイドン)
2015/05/09 : ハイドン–交響曲 : 絶品、ニコラス・マギーガンの交響曲集第2弾(ハイドン)
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そして、メインのホルンを吹くアレック・フランク=ゲミルははじめて聴く人。テクニシャン揃いで知られるスコットランド室内管の首席ホルン奏者とのことで、ソロアルバムはこのアルバムで2枚目。ちょっと聴いてみた感じでは弱音のコントロール能力がずば抜けて素晴らしいですね。これは期待できそうです!

Hob.VIId:3 Concerto per il corno [D] (1762)
ハイドンまでの4曲を流して聴いて、さあ、本命。ちょっとヴォリュームを上げて構えて聴き始めます。
マギーガンの振るスウェーデン室内管は爽やかに速めのテンポで入ります。リズムの刻みがキリっと引き締まっていい感じ。フランク=ゲミルのホルンも楽器の難易度を全く感じさせない軽やかな入り。まさに軽々とリズムを合わせていきます。しかもアクセントがくっきりとついて類まれな表現力の持ち主であることがわかります。古楽器のオケに合わせて爽快なメロディーが流れます。徐々に装飾音を付加し始めてテクニックを披露。そのテクニックも尋常でないことが1楽章のカデンツァで明らかになります。ホルンでこれだけの静寂を感じたのは初めて。素晴らしい弱音のコントロールに痺れます。1楽章はそよ風のように流れていきました。
あの弱音をアダージョで披露されたらさぞかしすごかろうという期待を持たせて2楽章に入ります。マギーガンはその期待を知ってか実にしっとりとした入り。序奏から痺れます。予想通り、ホルンという楽器の特性を知り尽くしたハイドンが書いたシンプルなメロディがフランク=ゲミルの演奏で神がかったように厳かに鳴り響きます。音程がぐっと下がるところの筆舌に尽くしがたい美しさ。ホルンの一番美しい響きに痺れます。弱音なのに恐ろしいほどの安定感。そしてこの楽章でもカデンツァは静けさと美しさ極まる素晴らしいもの。絶美。
再び活気に満ちた爽やかフィナーレ。どうしてこれほどまでにホルンを軽々と吹けるのでしょうか。リズムのキレが冴え渡ります。上下する音階の心地よさ。くっきりと浮かび上がるホルンのメロディ。さざめくようにホルンをサポートするオケ。最後のカデンツァも神業。この演奏で聴くと、モーツァルトのひらめきを上回るホルンという楽器の特性と響きを最大限に活かすハイドンの見事な筆致が浮かび上がりますね。短い曲ではありますが、美しさを極める高みと巧みな構成の深みを味わえる素晴らしい演奏でした。

演奏が難しいホルンという楽器をこれだけ見事にコントロールするアレック・フランク=ゲミル、恐ろしい才能の持ち主と見ました。これだけの制御能力を聴かせるのは、ホルン三重奏曲(Hob.IV:5)でのルツェルン祝祭管のアレッシオ・アレグリーニくらいでしょうか。これは是非ともアレック・フランク=ゲミルに超絶技巧を要するホルン三重奏曲に挑んでもらいたいですね。
ということで、評価はもちろん[+++++]とします。ホルン好きな方、必聴です!



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