【新着】クレンペラー/バイエルン放送響の「時計」正規盤(ハイドン)

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オットー・クレンペラー(Otto Klemperer)指揮のバイエルン放送交響楽団(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)の演奏で、ハイドンの交響曲101番「時計」とブラームスの交響曲4番を収めたCD。ハイドンの収録は1956年10月18日、19日、ミュンヘンのヘラクレスザールでのライヴ。レーベルはバイエルン放送響の自主制作、BR Klassik。
これまで、この演奏ははライヴ系のレーベルからいくつかのなどで知られていた演奏ですが、ご本家BR Klassikからようやく正規盤がリリースされたというもの。ただし、それらの演奏記録は1956年10月19日のライヴとうことですが、今回リリースされたものは前記の通り10月18日と19日というもの。果たして既発盤とどのような違いがあるのかが興味のポイントでしょう。
クレンペラーがバイエルン放送響を振ったのはオイゲン・ヨッフムの招きにより1956年4月のこと。その後1969年5月までの間にミュンヘンで11回のコンサートを振ったとのこと。このアルバムのライナーノーツの記載によれば、このアルバムのハイドンの録音は1956年10月18日、19日でマーラーの4番との組み合わせ。おそらくコンサート自体はこの2日間に行われたのでしょうが、録音が19日のものか、あるいは2日間の録音から編集されたものかはわかりません。
Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
この演奏自体は流れの良い楷書体の立派な演奏で、後年のEMIのスタジオ録音とも別の良さがあります。1楽章はクレンペラーらしい雄大な感じがありながらもきびきびとスタイリッシュに進む快感が満ちています。自然に吹き上がるオケの魅力とこの1楽章の端正な造形美が両立する素晴らしい演奏。
続く時計のアンダンテはまさに中庸の美学。オーソドックスなのに彫りが深く、素晴らしい立体感。流石にバイエルン放送響、木管の巧さも絶妙です。そして展開部でオケのパワーを見せつけたかと思うと、音量を落として孤高な印象も残します。テンポをあまり動かさずにこれだけ表情の変化をつけるのは流石。
メヌエットはクレンペラーらしく豪快で堅固。リズムをあえて重くして、中間部の軽やかさを引き立てます。そしてフィナーレは1楽章のスタイリッシュさが戻ってきました。オケをグイグイ煽ってハイドンの書いた音楽が鮮やかに広がります。晩年テンポをかなり落とした演奏が多かったクレンペラーですが、この快速のフィナーレは痛快。これをナマで聴いたらさぞかし素晴らしかっただろうと想像してしまいます。いやいや見事。
さて、これまであんまり聴き比べ的なことはやってきていませんが、このアルバムの真価をを明らかにするためには聴き比べ的アプローチも必要ということで、聴き比べ情報も付記しておきましょう。
まずは比較対象を開陳。手元にはクレンペラーがバイエルン放送響を振った時計のアルバムがいくつかありますので、所有盤リスト掲載順に列記しておきます。
(1) (????) [8'26/9'08/7'35/4'22] DISQUES REFRAIN DR 910002-2 ※演奏日の記載なし
(2) (December 1950/Live) [8'12/8'53/7'23/4'14] Couplet CCD-3012 ※CD-R
(3) (18, 19 October 1956/Live) [8'20/8'53/7'25/4'23] BR KLASSIK 900717 ※今回のアルバム
(4) (19 October 1956/Live) [8'12/8'53/7'23/4'14] MEMORIES REVERENCE MR 2266/2277
また、以前謎めいたCouplet盤を取り上げた時にコメントをいただいたライムンドさんのブログよりGolden Melodram盤の記録を転記しておきます。
(5) (19 October 1956/Live) [8'10/8'44/7'18/4'10] Golden Melodram
タイミングだけみると(2)はタイミング的に(4)と一緒なので結局10月19日の演奏なんでしょう。しかも(2)のハイドン以外の曲が1950年10月の演奏なので、ハイドンの演奏日の誤記と考えるのが自然です。(5)のGolden Melodram盤もタイミング的には近いですね。楽章間の時間のとりかたでこの程度はずれるでしょう。(1)はどの楽章も一律に少し演奏時間が長いんですが、1楽章を何度か聞き比べると、ちょっと音程が低いような気がしないでもありません。テープ速度の問題でしょうか。(5)は実際に聴いていませんが、おそらくここにリストアップした演奏は同一の演奏のような気がします。
音質面ではこのBR KLASSIK盤が既発盤とどう違うのかが気になります。もちろん全てモノラルです。
(1)は書いた通り、少しテンポが遅く感じます。それゆえ雄大な感じもあり、音質は自然ではありますが高音が少し詰まって聴こえます。演奏の印象も雄大な感じが強くなります。
(2)が意外にもなかなかいい録音。今回色々と聴き比べてみると、繊細感とバランスがなかなかいい具合。
(3)の正規盤は(2)よりもさらに繊細でダイナミックですが、ヴァイオリンだけちょっと浮かび上がるようなところがあったりかすかに位相がずれているような微妙な違和感があります。色々加工して仕上げてきているような感じ。
(4)は精細感は劣るものの自然さは勝ります。低音が少しボンつく感じはありますが、ライヴ盤としては聴きやすい感じです。
ということで、今回リリースした正規盤もなかなかのところですが、音質面では一長一短で買い直し必須とまでは言い切れないところ。
ということで、当ブログの結論は以下の通り。
このバイエルン放送響とのライヴは絶品。評価は[+++++]。
クレンペラーファンの方は既発盤を含めて全部買う価値があります。既発盤を持っている方は音質面では無理して買い直す必要はありません。なお正規盤でなければ認めないというコンプライアンス意識の高い方で密かに既発盤を持っている方は、既発盤は投げ捨て、正規盤に買い換えましょう!
※ハイドンの演奏コレクターである私はGolden Melodram盤が欲しくなってきました(笑)
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