【新着】絶品! エンリコ・オノフリ/セビリア・バロック管の「悲しみ」(ハイドン)
8月中にもう1枚!

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エンリコ・オノフリ(Enrico Onofri)指揮のセビリア・バロック管弦楽団(Orquesta Barroca de Sevilla)によるハイドンの交響曲44番「悲しみ」などを収めたアルバム。収録はスペイン、セビリアのエスパシオ・サンタ・クララ(Espacio Santa Clara)でのセッション録音。レーベルはベルギーのPassacaille。
少し前に手に入れていたアルバム。「18世紀アンダルシアの葬送音楽」とタイトルがつけられています。その冒頭にハイドンの「悲しみ」が置かれていますが、気になるのは「セビリア大聖堂ヴァージョン」との注記。
これは、セビリア大聖堂の音楽監督を勤めていたドミンゴ・アルキンボ(Domingo Arquinbau)のサインが残る写譜にハイドンのオリジナルとは異なるダイナミクスとアーティキュレーションが書き込まれたもので、おそらく当時の実際の演奏に使われたものと思われるもの。
ライナーノーツの英文を紐解くと、ハイドンの音楽はイベリア半島にも広く伝わっており、コルドバ大聖堂にはハイドンの弦楽四重奏曲や交響曲の楽譜の写しが伝わっていたとのこと。セビリア大聖堂にも、この交響曲44番の他、52番、53番、82番、92番などが伝わってたとのことですが、1825年の大聖堂の楽譜リストにはこれらの記録は残っておらず、どのようにしてセビリア大聖堂に伝わったのかはわからないようですが、1814年、独立戦争終結時に英国軍司令官ウェリントン公爵がスペイン議会に送った楽譜類がアルキンボの手に渡ったものと考えられるとのこと。
ということで、このセビリア大聖堂ヴァージョンはハイドンが活躍していた18世紀にスペインでどのように演奏されていたかを知る手がかりとなるというわけです。
指揮のエンリコ・オノフリのアルバムは初めて聴きます。1967年イタリア、ラヴェンナ生まれのヴァイオリニストで、ミラノ音楽院出身。バロックヴァイオリンの名手として知られる人で、アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスやジョルディ・サヴァールのオケなどで活躍した他、なんとアントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコのソリストとして活躍したとのこと。近年は自身で立ち上げた「アンサンブル・イマジナリウム」を率いる他、指揮者としても活躍していますね。ネットを検索してもこのアルバム以外にハイドンの録音はない模様です。
Hob.I:44 Symphony No.44 "Trauer" 「悲しみ」 [e] (before 1772)
録音会場のエスパシオ・サンタ・クララはホールというよりは美術館のようなスペースのようです。残響は多めです鮮明さはあり、よく響く小さなホールでの演奏を間近で聴く感じの録音。古楽器による演奏ですが、アーティキュレーションは実に自然。ピノックのインテンポの演奏に近いタイトな演奏ですが、しなやかさもあり、キビキビとしたこの曲の魅力をしっとりとした雰囲気も加えて伝えます。アントニーニはまだこの曲を録音していませんが、アントニーニのエキセントリックに冴える感じまでは行かず、オーソドックスな古楽器演奏の魅力がポイントでしょう。ヴァイオリニストらしく、弦楽器が主体で管楽器は響きに色付けを乗せるような役割。
続くメヌエットも、弦楽器の美しい響きで音楽を作っていきます。響きが実によくコントロールされていて、音楽がマスとなって一体的に響きます。ハーモニーのバランスを非常に綿密にとっているのでしょう。
聴きどころは3楽章のアダージョでした! 実にしっとりとした音楽が流れてハッとさせられます。生成りの響きというか、これぞ古楽器の音色の魅力と唸らされます。つぶやくように音符一つ一つに神経を張り巡らし、語っていきます。なんとなく当時のスペインの聖堂で演奏しているイメージが浮かんでくるではありませんか。遠くウィーンから伝わった音楽がセビリアであたたかく響きわたります。当時の奏者の気持ちがわかるような気がします。至福のひととき。この楽章、どれだけ多くの人の心を癒したのでしょうか。沁みます。
一転、険しさを強調するように終楽章に入ります。弦楽器のボウイングの荒ぶる様子が素晴らしい迫力で迫ってきます。ここぞとばかりに攻めに入り、ハイドンの音楽の険しさを知らしめて曲を終えます。いやいや素晴らしい!
この後にはスペインの18世紀の音楽が4曲続きますが、どの曲も古楽の癒しに包まれる幸せな音楽。葬送音楽ではありますが、死に際して演奏される音楽の澄み渡る心境を堪能できる名曲揃いで、ハイドン以外も楽しめる素晴らしい選曲です。
初めて聴くエンリコ・オノフリのハイドンですが、これは絶品です。キビキビとした入り、磨き込まれたメヌエット、癒しに満ちたアダージョ、そして荒れ狂うフィナーレとこの曲の素晴らしさを存分に伝える名演奏と言っていいでしょう。この曲には名演奏が多いですが、私はイチオシとします。特にアダージョの美しさは深く心に残りました。評価はもちろん[+++++]とします。

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エンリコ・オノフリ(Enrico Onofri)指揮のセビリア・バロック管弦楽団(Orquesta Barroca de Sevilla)によるハイドンの交響曲44番「悲しみ」などを収めたアルバム。収録はスペイン、セビリアのエスパシオ・サンタ・クララ(Espacio Santa Clara)でのセッション録音。レーベルはベルギーのPassacaille。
少し前に手に入れていたアルバム。「18世紀アンダルシアの葬送音楽」とタイトルがつけられています。その冒頭にハイドンの「悲しみ」が置かれていますが、気になるのは「セビリア大聖堂ヴァージョン」との注記。
これは、セビリア大聖堂の音楽監督を勤めていたドミンゴ・アルキンボ(Domingo Arquinbau)のサインが残る写譜にハイドンのオリジナルとは異なるダイナミクスとアーティキュレーションが書き込まれたもので、おそらく当時の実際の演奏に使われたものと思われるもの。
ライナーノーツの英文を紐解くと、ハイドンの音楽はイベリア半島にも広く伝わっており、コルドバ大聖堂にはハイドンの弦楽四重奏曲や交響曲の楽譜の写しが伝わっていたとのこと。セビリア大聖堂にも、この交響曲44番の他、52番、53番、82番、92番などが伝わってたとのことですが、1825年の大聖堂の楽譜リストにはこれらの記録は残っておらず、どのようにしてセビリア大聖堂に伝わったのかはわからないようですが、1814年、独立戦争終結時に英国軍司令官ウェリントン公爵がスペイン議会に送った楽譜類がアルキンボの手に渡ったものと考えられるとのこと。
ということで、このセビリア大聖堂ヴァージョンはハイドンが活躍していた18世紀にスペインでどのように演奏されていたかを知る手がかりとなるというわけです。
指揮のエンリコ・オノフリのアルバムは初めて聴きます。1967年イタリア、ラヴェンナ生まれのヴァイオリニストで、ミラノ音楽院出身。バロックヴァイオリンの名手として知られる人で、アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスやジョルディ・サヴァールのオケなどで活躍した他、なんとアントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコのソリストとして活躍したとのこと。近年は自身で立ち上げた「アンサンブル・イマジナリウム」を率いる他、指揮者としても活躍していますね。ネットを検索してもこのアルバム以外にハイドンの録音はない模様です。
Hob.I:44 Symphony No.44 "Trauer" 「悲しみ」 [e] (before 1772)
録音会場のエスパシオ・サンタ・クララはホールというよりは美術館のようなスペースのようです。残響は多めです鮮明さはあり、よく響く小さなホールでの演奏を間近で聴く感じの録音。古楽器による演奏ですが、アーティキュレーションは実に自然。ピノックのインテンポの演奏に近いタイトな演奏ですが、しなやかさもあり、キビキビとしたこの曲の魅力をしっとりとした雰囲気も加えて伝えます。アントニーニはまだこの曲を録音していませんが、アントニーニのエキセントリックに冴える感じまでは行かず、オーソドックスな古楽器演奏の魅力がポイントでしょう。ヴァイオリニストらしく、弦楽器が主体で管楽器は響きに色付けを乗せるような役割。
続くメヌエットも、弦楽器の美しい響きで音楽を作っていきます。響きが実によくコントロールされていて、音楽がマスとなって一体的に響きます。ハーモニーのバランスを非常に綿密にとっているのでしょう。
聴きどころは3楽章のアダージョでした! 実にしっとりとした音楽が流れてハッとさせられます。生成りの響きというか、これぞ古楽器の音色の魅力と唸らされます。つぶやくように音符一つ一つに神経を張り巡らし、語っていきます。なんとなく当時のスペインの聖堂で演奏しているイメージが浮かんでくるではありませんか。遠くウィーンから伝わった音楽がセビリアであたたかく響きわたります。当時の奏者の気持ちがわかるような気がします。至福のひととき。この楽章、どれだけ多くの人の心を癒したのでしょうか。沁みます。
一転、険しさを強調するように終楽章に入ります。弦楽器のボウイングの荒ぶる様子が素晴らしい迫力で迫ってきます。ここぞとばかりに攻めに入り、ハイドンの音楽の険しさを知らしめて曲を終えます。いやいや素晴らしい!
この後にはスペインの18世紀の音楽が4曲続きますが、どの曲も古楽の癒しに包まれる幸せな音楽。葬送音楽ではありますが、死に際して演奏される音楽の澄み渡る心境を堪能できる名曲揃いで、ハイドン以外も楽しめる素晴らしい選曲です。
初めて聴くエンリコ・オノフリのハイドンですが、これは絶品です。キビキビとした入り、磨き込まれたメヌエット、癒しに満ちたアダージョ、そして荒れ狂うフィナーレとこの曲の素晴らしさを存分に伝える名演奏と言っていいでしょう。この曲には名演奏が多いですが、私はイチオシとします。特にアダージョの美しさは深く心に残りました。評価はもちろん[+++++]とします。
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