アラン・ギルバート/都響のレスピーギプログラム(ミューザ川崎)

相変わらずばたついていて通常記事が書けていません(涙) が、チケットを取ってあったコンサートが攻めてきます(笑)

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フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2019:東京都交響楽団名匠のガイドで聴くイタリアン・プログラム

ミューザ川崎の夏の風物詩となっているフェスタサマーミューザKAWASAKI。今年で15年目とのこと。つい先週もノット/東響のリゲティなどを聴いたばかりですが、そのコンサートはサマーミューザ直前のコンサート。

この日のお目当ては実演で聴いたことのないレスピーギ。ハイドンばかり取り上げているブログですが、若い頃(30年くらい前、、、)はレスピーギも結構聴いていたんですね。刷り込みはもちろんトスカニーニのローマ三部作。1990年ごろトスカニーニの録音がRCAから大量にCD化されて店頭に並び、今は亡き六本木WAVEで手に入れ、キレッキレのトスカニーニ節を堪能したのを覚えています。そしてカラヤン/ベルリンフィルのLPも手に入れ、金属片が飛び散らんばかりのDGGの鮮明録音で真空パックにしたようなベルリンフィルのローマの祭りとローマの松にビックリしたものです。そのローマの祭と松が実演で聴けるということと、加えて有名な「リュートのための古風な舞曲とアリア」の3番までプログラミングされているとのことでチケットを取った次第。フェスタサマーミューザは川崎市のフランチャイズオケである東響の他、読響、N響、都響、新日本フィル、日本フィル、東京フィル、東京シティフィル、神奈川フィル、仙台フィルにゲルギエフの振るPMFフィルまで登場するというなかなかゴージャスな音楽祭。日本のオケの中でも都響はニューヨークフィルの音楽監督だったアラン・ギルバートが振るということで、力の入り方が他のオケとは異なります。

この日のプログラムは下記の通り。

「名匠のガイドで聴くイタリアン・プログラム」
ヴォルフ:イタリア風セレナーデ(管弦楽版)
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
(休憩)
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ:交響詩「ローマの松」

ちなみに、配布されたプログラムには、今回のコンサートの選曲にあたりアラン・ギルバートにミューザの写真を見せたところ、即座にレスピーギをやろうということになったとの件が書かれていました。ご存知の通りミューザ川崎は首都圏のホールの中でも音の良さはピカイチ。サントリーやオペラシティともだいぶ差がつきます。このホールを見てレスピーギを選んだセンスは見事です。

もちろん、アラン・ギルバートも録音も含めて初めて聴きます。昨年から都響の首席客演指揮者になっていたんですね。そしてこの9月からは膨大な建設費で話題になったハンブルクのエルプフィルハーモニーを本拠地とするNDRエルプフィルの首席指揮者に就任するとのこと。お手並み拝見というところでしたが、アラン・ギルバート、これが素晴らしいお手並みでした!



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この日の席は3階席のRA。オケの右上から俯瞰する席です。ミューザは色々な席で聴いていますが、3階席でも音は鮮明。そしてこの日のプログラムのローマの松は金管のバンダが入るとわかっていましたので、オケ側に席をとりました。以前デュトワがN響でマーラーの千人を振った時にはバンダ隊のすぐ後ろでクライマックスでオケの音がバンダにかき消されて音響的にはイマイチだったので、オケとバンダの適度な距離感がある方が良かろうとの選択です。これも当たりでした!

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いつものように、ビールとサンドウィッチで適度にお腹を満たして、コンサートに臨みます。今日はビールの注ぎ方がイマイチ(笑)

お客さんの入りは8割くらいだったでしょうか。アラン・ギルバートの日本での知名度がちょっと影響したかもしれませんね。ステージ上は大編成のオケの席が設えられていました。

1曲めはヴォルフのイタリア風セレナードということで、唯一レスピーギ以外の曲ですが、この曲でいきなりギルバートの才能に釘付けになりました。8分少々の曲ですが、軽やかさと豊かな音楽に満ち溢れた素晴らしい演奏に驚きました。オケの掌握度も完璧。大柄な体を揺らしながらタクトから音楽が湧き出てくるような見事なコントロール。都響も弦楽器を中心にギルバートの指示に完璧に応える見事な演奏。コンサートの出だしの曲はオケが落ち着かないこともままありますが、最初から完璧な入り。こうしたセレナードをこれだけ豊かに仕上げる手腕は誠に見事。

そして、2曲めはレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリアの第3組曲。我々の世代はこの曲の第3曲のシチリアーナがNHKのクラシック番組のテーマ曲になっていたのでおなじみの曲ですね。プログラムを読んで驚いたのは、この曲が作曲されたのがローマ三部作を書き上げたあとなんですね。素材は16、17世紀のリュート曲ということで、凝ったオーケストレイションの絢爛豪華なローマ三部作を作曲しつつもこのような美しい旋律に対する憧れを持っていたのでしょう。弦楽合奏だけになったオケで奏でられるこの曲もアラン・ギルバートによって極上の響きを帯びます。なんと高雅で気品ある響きでしょう。しなやかに膨らまされたメロディーが次々と押し寄せてくる快感。憂いを帯びた「イタリアーナ」、しなやかな陰陽の対比が美しい「宮廷のアリア」と続き、おなじみの「シチリアーナ」に至って感極まります。懐かしさと美しさに満たされます。美しいメロディーが次々に癒しや力強さ、郷愁を帯びながら展開していきます。そして最後の「パッサカリア」で分厚い弦楽合奏の迫力をたっぷり聴かせて終わります。この曲が現代音楽が芽吹く1931年に書かれたことに驚きます。まさに古典回帰。もちろんあまりの素晴らしさに客席からは割れんばかりの拍手が降り注ぎました。

休憩を挟んで後半は「ローマの噴水」に「ローマの松」です。前半もかなりの人数だったのですが、休憩中にさらにオケの席が増やされステージいっぱいに席が並びます。前半楽譜を見ながら指揮をしていたアラン・ギルバートですが、休憩中に指揮者の譜面台は片付けられ、後半は暗譜のようです。そして右に視線をやると、パイプオルガンの席に灯りがともっています。ローマの噴水はオルガン任意となっていましたが、オルガンが加わるようです。

出だしの「夜明けのジュリアの谷の噴水」は弱音のコントロールと色彩感が見事。続く「朝のトリトンの噴水」ではグロッケンシュピールやチェレスタ、トライアングルなどが加わり前半の曲とは色彩感とオーケストレイションが全く異なります。圧巻はこの曲のクライマックスの「昼のトレヴィの泉」。パイプオルガンも足鍵盤が大活躍でオケの大音響にパイプオルガンの重低音が加わりもはや風圧。前半にデリケートなコントロール力を見せつけたアラン・ギルバートですが、もちろんオケのコントロール力は迫力面でも見事。このホールにはレスピーギとの読みを効かせただけに、全てのパートがくっきりと浮かび上がりながら炸裂する様は圧倒的でした。オーディオセットで聴くのとはダイナミックスの次元が異なります。そして興奮を冷ますような最後の「たそがれのメディチ荘の噴水」の透明感あふれる響きが染み渡ります。都響は木管も弦も鳴り物陣も見事な演奏。特にフルートのふくよかな響きが印象的でした。

そして最後の「ローマの松」。噴水の後、何度かのカーテンコールの後、指揮台に戻ると拍手を断ち切るようにいきなりタクトを振り上げ、あの喧騒に満ちた「ボルゲーゼ荘の松」に入ります。この勢いはまるでカルロス・クライバー! しかも録音でのローマの松よりも精度高くミラーボールに目がくらむようなキラキラ感。オケからあのような音色がどうして出るのか不思議なくらい、バランスも音量も完璧。テンポもキレキレで鮮烈な入りに圧倒されます。そして暗騒音のような「カタコンブの松」への鮮やかな場面転換もセンス抜群。オケを俯瞰しながら聴くとドラやシンバルが弱音部実に巧みに使われれているのがよく見えます。そして曲中に下手のドアが開き、楽屋からトランペットのメロディーが響き渡ります。ここでもクラリネットやフルートの表情豊かさが印象的。そして「ジャニコロの松」ではピアノやハープの音色にハッとさせられたと思うと深みのある弦の響きの魅力をしっかりと印象付けます。終盤録音による鳥の鳴き声が流れますが、意外にも違和感はありませんね。そしてクライマックスの「アッピア街道の松」はアラン・ギルバートの面目躍如、フルオーケストラとオルガン、そして左右の3階席に別れたバンダ隊の吹きならす金管による迫力はこれまで聴いたどのコンサートよりもド、ド、ド迫力。オケの全てのパートへ指示を出し、そして左右のバンダ隊に視線を送ると高らかな号砲が吹き鳴らされるのは音響的な快感意外の何者でもありませんね。最後の1音が消えかかるのに怒号のような拍手に包まれたのはもちろんです。マーラーの陰鬱さやブルックナーの神々しさとは無縁のイタリア的音響の快感。この曲はやはり実演で聴いてこそでしょう。

アラン・ギルバートも都響の完璧な演奏に満足したのでしょう。笑顔で奏者を讃えながらカーテンコールに応じていました。やはり、ニューヨークフィルを長年統率してきた実力派かなりのもの。オーケストラコントロール力はもちろんですが、前半のセレナーデや舞曲を夢のように楽しく聴かせるところこそアラン・ギルバートの真骨頂でしょう。この人がハイドンを振ったらさぞかし素晴らしかろうと想像しながらホールを後にしました。



ミューザのコンサート後はいつも楽しみにしている1階の牛タン屋さんへ。昔仕事で一時仙台に住んでましたので、牛タンは懐かしの味なんですね。ここは美味いです。

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食べログ:杉作

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さあ、もう月末ですね、、、(苦笑)



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tag : ヴォルフ レスピーギ

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ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
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(2019年3月31日)
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