作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

鈴木秀美/リベラ・クラシカ第43回定期演奏会(三鷹市芸術文化センター)

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東京でハイドンを集中して取り上げている皆様ご存知の鈴木秀美率いるオーケストラ・リベラ・クラシカですが、実に43回目の定期公演にして初めてコンサートに足を運びました。

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三鷹市芸術文化センター 風のホール:オーケストラ・リベラ・クラシカ 第43回定期公演

このコンビ、定期公演の録音をかなりの枚数リリースしており、私も手元に10数枚のアルバムがありますが、特に初期のものはピンとこないものが多く、最近はあまり追いかけておりませんでした。

2017/06/04 : コンサートレポート : 鈴木秀美/新日本フィルの天地創造(すみだトリフォニーホール)

また、以前聴いた鈴木秀美の振る新日本フィルの天地創造も歌手の配役がイマイチであまり楽しめなかったということで、どうもあまり相性がよろしくない状況だったというのがこれまでの流れ。

ただし、大阪での飯森範親さんと日本センチュリー響の活躍に対して、東京でも鈴木秀美さんとリベラ・クラシカに頑張っていただくべきということで、コンサートに出かけてみようと一念発起し、チケットを取った次第。会場も三鷹ということで自宅から車ですぐのところ。プログラムは以下の通り。

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」(K.588)より
・序曲
・第1幕フィオルディリージのアリア「岩のように」 "Come scoglio"
・第2幕フィオルディリージのレチタティーヴォ「ああ、行ってしまう・・・」 "Ei parte... senti..""
・第2幕フィオルディリージのロンド「お願いです、愛しい人」 "Per pietà ben mio"
ソプラノ:中江早希
 (休憩)
ハイドン:交響曲10番
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」

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この日は生憎の小雨模様。三鷹駅からは歩くとちょっとした距離があるので集客にも若干の影響はあったでしょうか。私たちは車で30分ちょっきりでついて駐車場に車を停めたのが14時ちょうどくらい。ちょうどコンサートマスターの若松さんが歩いて駐車場に入るタイミングと一緒でした。

このホールは90年代に一度来て以来、かなり久しぶり。ホール周りを少しぶらついている間に開場時間となります。ホールは変わらず綺麗。収容人数は625名とのことで紀尾井ホールより少し小ぶり。お客さんの入りは半分くらい。土曜なのでもう少し入って欲しいところでしょう。席は1階の後ろの方でしたが、視界、音響共に問題なし。

定刻を少し過ぎて、オケが入場し、入念にチューニングをして鈴木秀美さん登場。1曲めのコジ・ファン・トゥッテの序曲はおなじみの曲。古楽器の直裁な音色がホールに響き渡ります。古楽器ということでかなり速めのテンポを予想していましたが、さにあらず。比較的落ち着いたテンポで、1曲めということでアンサンブルは少々荒い感じが残りますが、迫力はなかなか。この曲独特のめくるめく感じはほどほど。まずは挨拶がわりでしょう。

続いてソプラノの中江早希さん登場。「岩のように」はフィオルディリージが貞節を強い信念で守るという歌詞のアリア。中江さんは非常にふくよか、艶やかなを思わせるソプラノで見事な歌唱。伴奏はもう少しオペラティックでも良かったかもしれません。素晴らしい歌唱にお客さんは拍手喝采。鈴木さん、中江さんが一旦下手袖に下がっている間に続くレチタティーヴォの演奏が始まり、鈴木さんと中江さんが腕組みして登場するという演出付き。圧巻は中江さんの朗々としたロンドの歌唱。この曲は疑った恋人のフェルランドに許しを請う歌。終盤かなりの高音が出てくるのですが、声量、艶やかさ共に素晴らしく、惚れ惚れするような歌唱でした。やはり歌ものは歌手の力量がものをいいますね。もちろんお客さんも拍手喝采。

休憩を挟んで後半はお目当のハイドンです。休憩中にステージ上の座席配置はかなり縮小。そして指揮台まで撤去されます。後半最初の曲は最初期の作曲の交響曲10番。休憩明けにメンバーが登壇すると、いきなり演奏が始まります。鈴木さん、チェリストとしてオケの中にいました。この初期の曲ではありですね。演奏はこれまでの録音でも感じられたように、1楽章はあと少し弾む感じが欲しく、2楽章はアーティキュレーションも少し固めな印象。オケの演奏は手堅く安定感はあるのですが、もう一歩踏み込んで欲しいと思って聴いていると、3楽章で状況一変! これまでのオケとは別のオケのような見事なエネルギー感。オケのノリが激変。あまりの活気に驚きます。そう、この一体感を求めていたんです。3楽章は神がかったような見事な出来にこちらも覚醒。

そして、最後はこの日の目玉、軍隊です。メンバーが一旦退場してステージの座席配置を再び広げ、指揮台も復活。この軍隊も見事でした。先の曲でオケもリラックスしたのか、冒頭から集中力が違います。古楽器であることを活かした直裁な響きが迫力に繋がって、オケの響きの厚みはブリュッヘンを彷彿とさせる感じ。リズムのキレは程々ながら迫力でカバーしてこの曲ではそれが足を引っ張りません。素晴らしかったのが2楽章のアレグレット。例の軍隊風打楽器の登場場面では、上手客席後ろ扉から赤い鼓笛隊風衣装を纏った打楽器奏者3名が行進しながらガツン、ガツンと太鼓やトライアングルを鳴らして入ってくるではありませんか。完全に不意を突かれて驚きました。この打楽器奏者がキレててなかなかいいリズム。以前ヤンソンスとBRSOで軍隊をやった時も同様の演出がありましたが、その時は視界から認識できてのことでさほどの驚きはありませんでしたが、今回は完全に背後からガツンとくる演出にやられました(笑) なんとなく初演時のロンドンの観客も驚き、そして盛り上がっただろうなどと想像しながら軍隊の行進の喧騒を楽しみました。メヌエットを経て、終楽章でもこの3人の打楽器奏者が大活躍。やはりこの大迫力は魅力です。大音響で締めくくったコンサートにお客さんも拍手喝采。

何度かのカーテンコール後、アンコールは驚愕のメヌエット。アンコールにメヌエットを持ってくるとは、ハイドン通ならではの選曲。しかも演奏はアンコールらしくノリノリ。なんだかノリで打楽器奏者も大活躍するサービス付き。これは実演ならではのものですね。

前振りに書いた通り、少々不安もあったこのコンビのコンサートでしたが、結果的には大変楽しめました。やはり実演を聴かないとダメですね。今後はなるべく顔を出したいと思った次第。次は11月に上野の石橋メモリアルホールで「ロンドン」です。なんとモーツァルトのフルート協奏曲の独奏はバルトルト・クイケン! 

これは行かねば、、、



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6 Comments

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だまてら

No title

鈴木秀美さんは、雑司ヶ谷拝鈍亭でのカルテット全曲演奏会にはここ10回ほど皆勤していますが、指揮者としても聴かなければならないですね・・・。ただこの団体、アルファベットで略称表記すると、拙宅の近所にある某テーマパークの運営会社と同じになってしまいます!
ところで、ちょうど1年前の6月30日はアルトシュテット指揮ハイドン・フィル&オフ会の日でしたね!いつもリクエストばかりで恐縮ですが、そろそろ次回に期待したいところです。(ちなみに次回の拝鈍亭は10月13日日曜日の17時~ですが、終演後からだと首都圏外にお帰りの方にはちょっと遅いかも・・・)

  • 2019/06/30 (Sun) 10:09
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tenkichi995

No title

視覚効果の高い曲のレポートありがとうございます。打楽器群が楽章の途中で舞台の登場する雰囲気は、さぞかし臨場感があったと思います。大太鼓の奏者は、途中から登場するのは無理でしょう。第1楽章の最初から待機していたのでしょうか?
 もし第2楽章から大太鼓の奏者が登場していた場合。 他の打楽器群の3名も合わせて登場する方法も考えられます。しかし今回は3名は後の途中からでした。もし大太鼓の奏者が第1楽章の冒頭から3名を除くと、「いつ残りの3名が登場するのか?」 視覚効果の高い曲だけに、この当たりは実際に「ドキドキ」して聞く雰囲気だったと思います。

 

  • 2019/06/30 (Sun) 21:24
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Daisy

Daisy

Re: No title

だまてらさん、コメントありがとうございます。

確かに、OLCは某テーマパークの運営会社ですね(笑) 当ブログの略称HRAも一般的にはHuman Resource Administrationですので、そのうち人事関係の相談にも乗ろうと思ってます(嘘)

さて、そういえば昨年6月はオフ会をやっていましたね。それでは、久々にオフ会の調整をすることにいたしましょうか、、、

  • 2019/07/01 (Mon) 11:46
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Daisy

Daisy

Re: No title

tenkichi995さん、コメントありがとうございます。

大太鼓も途中入場ですね。大太鼓、シンバル、トライアングルの3名が途中入場です。大太鼓はお腹に抱えての登場です(笑) この様子は当日歌われた中江早希さんが、twitterでOLCメンバーの前田りり子さんの投稿をリツイートしていますので、そちらをご覧んになるとわかります。掲載された写真は本番同様の衣装でのリハーサル風景です。ブログ本文では打楽器奏者を鼓笛隊風と書きましたが、これはトルコ軍風ですね。中江さんが急遽この打楽器奏者の化粧を担当したとのことで、見事な化粧によってまるでトルコ人のように見える渾身の仕込みでした。このこだわりこそがハイドンの面白さを伝える真髄ですね(笑)

  • 2019/07/01 (Mon) 12:19
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Katsudon

No title

お世話になります。
あの観客数でお会い出来なかったことが不思議ですが、私も会場におりました。今回は右側のバルコニー、マエストロをほぼ真上から見下ろす席でした。
OLCのコンサートは何回か聴いていますが、お世辞にもお洒落な演奏とは言えませんが(センチュリーのハイドン・マラソンは相当お洒落です!)、朴訥とした中に時々才気が走る、とでも言うような演奏は、それはそれで評価されるべきものだと思って聴き続けています。
そういう意味での「軍隊」に絶賛の拍手を送りたいと思いました。ハイドンに塗りつけられた余計な化粧を落として、そこに演奏会ならではの打楽器の演出があり、200年以上前、ロンドンの観衆が熱狂したハイドンのシンフォニーはこのようなものであったことだろう、と思いを馳せたくなる演奏でした。
貴兄には叱られるかもしれませんが、
G.アントニーニが読響に客演した時の「軍隊」より遥かにに楽しめたことを白状いたします。
「ロンドン」とクイケンのトラヴェルソ、行かない理由がありませんね!

  • 2019/07/01 (Mon) 21:19
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Daisy

Daisy

Re: No title

katsudonさん、コメントありがとうございます。

いつもは2階席が多い私も、今回は1階席でした。確かにあの観客数で会わなかったのが不思議ですね。

ハイドンの演奏は、曲に仕込まれた様々なアイデアと構成、展開の面白さをどれだけ汲み取って音楽を作れるかにかかっていると思います。そういった点で、今回のOLCの軍隊は、迫力とトルコ趣味という演出、打楽器陣の活躍というポイントでの面白さが際立ったということでしょう。ホールも600人ほどのホールということで、古楽器オケが鳴らしきるのに丁度いい規模だったというのもありますね。アントニーニの時は2000人の東京芸術劇場でしたので、なんとなくホールが広すぎるきらいがありましたね。直前のサントりーでの神がかったキレとはちょっとテンションが違いました。軍隊は実演ではヤンソンス/BRSOやスダーン/東響なども聴いていますが、今回のOLCの演奏は演出面も含めて、打楽器奏者のキレた演奏が最高でした。

こちらも11月のチケット取りました!

  • 2019/07/02 (Tue) 14:48
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