作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

イタリア四重奏団の皇帝、日の出(ハイドン)

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今更ですが、名盤です。

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イタリア四重奏団(Quartetto Italiano)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.3「皇帝」、No.4「日の出」の2曲を収めたLP。収録情報は記載されていませんが、Pマークが1976年となっています。レーベルは蘭PHILIPS。

最近、母親の遺品整理などの片付け物を集中して行っており、朝から晩まで体を動かしています。夕食後のわずかな時間に音楽を聴きながらオークションを物色したりしていますが、このLP、音源はCDで持っているかと思ってスルーしようとしていたところ、うとうとしているうちに指が滑って入札していました(笑)。まあ、値ごろだったので良しとするということで手に入れた次第。届いて、いつものように所有盤リストに登録してみると、確かに皇帝は手元にCDがあるものの、日の出は未入手だったということがわかり、結果オーライ。確認のためいつものように必殺美顔ブラシとVPIのクリーナーで丁寧にクリーニングして針を下ろしてみてビックリ! いやいや凄い音がするではありませんか。全盛期のPHILIPSの面目躍如、クァルテットのエネルギーが吹き出してくる見事な録音です。ジャケット裏面は黄ばんですすけていましたが、盤は非常に良いコンディション。これは巡り合わせが良かったですね。

イタリア四重奏団の演奏は過去に2度取り上げていますが、いずれもPHILIPS盤ではありません。

2013/12/09 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : イタリア四重奏団の鳥(ハイドン)
2011/03/17 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : イタリア四重奏団の「皇帝」、Op.33 No.2

2011年に取り上げた皇帝は仏Ades盤で1965年録音ということで、今日取り上げるアルバムの演奏より前のもの。このほか記事にはしていませんが、1969年のライヴもあります。メンバーは黄金期のこの4人。

第1ヴァイオリン:パオロ・ボルチャーニ(Paolo Borciani)
第2ヴァイオリン:エリサ・ペグレッフィ(Elisa Pegreffi)
ヴィオラ:ピエロ・ファルッリ(Piero Farulli)
チェロ:フランコ・ロッシ(Franco Rossi)

Hob.III:77 String Quartet Op.76 No.3 "Kaiserquartetett" 「皇帝」 [C] (1797)
歯切れの良いクァルテットの響きが眼前に広がります。実体感があり、しかも程よく残響が乗って理想的な響き。何より力強さとエネルギー感が素晴らしい演奏。まさに精気みなぎるとはこのこと。聴き慣れたこの曲ががっしりと鳴り、4人がせめぎ合う迫真の演奏が音溝に刻まれています。同音源のCDと聴き比べてみましたが、鮮度と解像度はやはりLPに分があります。流麗な弓捌きはイタリアのクァルテットならでは。独墺系のハイドンの音楽なのに基本的に陽性な明るさに満ちて輝かしさがが感じられます。1楽章はまさに見事すぎるボウイングの魅力で圧倒されます。
そしてこの曲の聴かせどころの2楽章。やはり沁みるような流麗さに包まれる音楽。変奏に入ると各パートの音色の美しさが際立ちます。これぞ名演奏という絶品の演奏に耳をそばだてます。クライマックスは変奏の後半。グッと音量を落として精妙さを極める部分。あまりの精妙さに鳥肌がたたんばかり。糸を引くような精緻なボウイング。
メヌエットも王道を極めたような堂々とした演奏。力みも外連もなく、ただただオーソドックスに攻め切る酔眼。そこから香り立つ弦のアンサンブルの気品。燻らしたような深い音色がもたらす深い陰影にうっとり。
終楽章は精緻なアンサンブルとボルチャーニの華麗な弓捌きが際立ちます。はっきりと区切りをつけるフレージングによって、まるでミケランジェロの彫刻のようなデフォルメされた深い陰影が生じ、音楽に異常な立体感が生まれ、聴き手を圧倒するような迫力を帯びる奇跡的な演奏。CDでも感じていた迫力はLPで本領発揮です。

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Hob.III:78 String Quartet Op.76 No.4 "Sonnenaufgang" 「日の出」 [B flat] (1797)
LPをひっくり返して「日の出」です。こちらもいきなりボルチャーニの見事なヴァイオリンに釘付け。次々にパートが重なって畳み掛けるような迫力。やはり素晴らしい迫力に圧倒されます。やはりアンサンブルの見事さに惹きつけられます。皇帝同様、まったく隙のない見事な演出に唸ります。全編に漲る素晴らしい説得力。
2楽章のアダージョは、皇帝以上に緊張感が張り詰めた演奏。やはりフレージングはくっきりとメリハリをつけますが、陰影はよりシャープで緊張感を強調するような演奏。この緊張感こそこの曲の聴かせどころ。
メヌエットはこの曲の本質をえぐるように弾みます。この入りの精妙な躍動感は何でしょうか。単なるフレーズなのに他の演奏とは一線を画すアーティスティックな演出。音符から音楽を掘り出して、ディティールが最も際立つようにライトを当て、素材の質感を完璧に表現した彫刻のよう。
終楽章は皇帝とはうって変わって流すような力の抜けたアンサンブル。聴かせどころは2楽章と3楽章にあり、その火照りを徐々に鎮めるような演奏ということでしょうか。最後のアクロバティックな展開も余裕たっぷり。これが粋というものでしょう。

今までこのアルバムをスルーしていたのは痛恨の極み。このLPにはイタリア四重奏団の真髄が詰まっていました。精妙さとリアリティがこれほどまでとは思いませんでした。LPを聴いてはじめてCD化で失われてしまったものがわかりました。ジャケットに写るフォーマルないでたちの4人の姿は、まさにこの曲の代表盤になることを確信して撮影に臨んだような迫力を感じます。まさに至宝と呼べるアルバムでしょう。両曲とも評価は[+++++]といたします。

(追伸)
新たにTHORENSのTD520とSME3012Rを導入。これは別記事で! ターンテーブルの色は違いますが、これでだまてらさん宅に少々近づきました(笑)



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