作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

トリオ・ディ・トリエステのジプシー・ロンド(ハイドン)

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古い録音から選んだ1枚。またまたうっとり。

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トリオ・ディ・トリエステの演奏による、ブラームスのピアノ三重奏曲2番、ハイドンのピアノ三重奏曲Hob.XV:25の2曲を収めたLP。収録情報は記載されていませんが、LONDONのモノラルでffrrと記載されていることから1950年代中盤以前の録音と想像されます。

このLP最近手に入れたものですが、LP自体ズシリと重く盤面は黒々と光輝いています。もちろんいつものようにVPIのクリーナーと必殺美顔ブラシで綺麗にクリーニング。ステレオ用プレーヤー(DL-103R)で軽くノイズの状況をチェックしてから、盤をモノラル用のプレーヤー(AT33MONO)に移します。こちらはフォノイコライザーが合研ラボのGK06SPUにつないでいるので、おもむろにイコライザーカーブをffrrに変更して針を落とすと、図太い音像と鮮明な響きが揺るぎない定位感で迫ってくるではありませんか。しかも響きは超鮮明。後の時代のステレオ盤とは迫力が違います。ビシビシ迫ってくる響きにうっとり。

ちなみに奏者のトリオ・ディ・トリエステは、その名の通り、イタリアのアドリア海北端にあるトリエステで結成されたトリオ。結成は1933年で、メンバーは皆12歳の頃。結成以来世界各国でコンサートを催し、録音もDGをはじめとする多くのレーベルに残しています。結成以来、1962年にチェロ奏者が亡くなったことに伴うメンバー変更が1度あったのみで、60年以上にわたって活動を継続したとのこと。このアルバム演奏時のメンバーは以下の通り。これは結成時のメンバーでもあります。

ピアノ:ダリオ・デ・ローザ(Dario de Rosa)
ヴァイオリン:レナート・ザネットヴィッチ(Renato Zanettovich)
チェロ:リヴェロ・ラナ(Livero Rana)

リリースされているアルバムもかなりあり、ヨーロッパでは知られた存在だったのでしょう。もちろん、私は初めて聴きます。

Hob.XV:25 Piano Trio (Nr.39/op.73-2) [G] (1795)
1950年代の録音というのが信じられない鮮明な音。どっしりと中央に定位する揺るぎない響きは流石ffrr。聴き慣れた曲ですが、時代を超えて伝わる典雅な響き。落ち着いたテンポでゆったりと演奏され、どこにもハッタリのない落ち着いた音楽。ピアノがリードしながらヴァイオリンが自在に駆け回り、チェロは伴奏に徹します。ダリオ・デ・ローザのピアノのタッチはハスキルを思い起こさせるさっぱりとしたもの。レナート・ザネットヴィッチのヴァイオリンはグリュミオーのように中音域の厚い存在感のある音色。不思議と古さは感じさせない普遍性のある演奏です。1楽章はオーソドックスな中にも華やいだ雰囲気を感じさせるもの。
続く2楽章に入ると、リヴェロ・ラナのチェロのえも言われぬトロッとした伴奏にピアノが華麗なメロディーを重ねていきます。ヴァイオリンとチェロが次々とメロディーを引き継ぎますが、そのデリケートなニュアンスの表現にこのトリオの真価を聴きとります。ハイドンの描いた美しいメロディーをしっとりと重ねていくことで絶美の音楽。これまた至福のひととき。素晴らしい実在感が音楽の美しさを引き立てます。
終楽章の有名なジプシーロンドは、力むことなく自然な感興を生み、楽しげに演奏している様子が目に浮かぶような演奏。テンポは大胆に動かし、即興性を生かした演奏ですが、しっかりと地に足がついて、安定したテクニックを披露。余裕綽々。いやいや、横綱相撲ですね。

IMG_4200_2018122718300404f.jpg

今から約70年前の録音ですが、音溝から流れ出す音楽は鮮明かつ生気に富んだもの。最新のハイレゾのもたらすリアリティもいいものですが、心に響く度合いはこちらに軍配が上がりそうです。トリオ・ディ・トリエステの3人の奏者の見事に息のあった演奏が完璧に伝わります。キレキレのジャケットデザインといい、キレキレの演奏といい文句のつけようがありません。もちろん評価は[+++++]とします。

やはり、モノラルはモノラル専用カートリッジでイコライザーカーブを合わせて聴くに限りますね。ちなみに合研ラボのフォノイコライザーも最高です。鮮明さと厚みが群を抜いています。おすすめですョ。

2018/08/14 : オーディオ : フォノイコライザー 合研LAB GK06SPU



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4 Comments

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Skunjp

春の小川に遊ぶ

待ってました!室内楽と器楽は私のフィールドです。

良いですね。トリオ・ディ・トリエステ!さっそくSpotifyで聴きましたよ。全く横綱相撲ですね。というか私には千両役者と思えましたが。

フレーズ毎に最後をゆったりと盛り上げ、音楽にまるで波が寄せては返すようなうねりがあります。歌い口はさすがイタリアの団体で華があります。

この時期のモノラル録音には共通する雰囲気がありますね。戦後の復興期、皆、希望にあふれて未来への素朴な信頼があったのでしょう、神経質でなく大らかでナイーブな喜びに満ちています。(このような情緒は現代、失われてしまいましたが…)

ことに第二楽章を聴いていると「春の小川」にゆったりと遊ぶような静かな心地よさで、夢見ごこちになりました。

この度も、素晴らしい演奏のご紹介有難うございました!(^O^)

  • 2018/12/28 (Fri) 23:01
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katsudon

No title

お世話になります。
これはお宝レコードですね。
私はこの人たちがDGに入れたブラームスのステレオ録音と、そして何と言ってもラヴェルとモーツァルトのK.502のモノラル盤が素晴らしいと思って愛聴していますが、このLONDON(DECCA)盤は見つけられそうでなかなか見つけられず、LXT規格に至っては結構な高値で取引されていたような気がします。
いずれにしてもイタリアのグループだからと言って、ただ芳醇で美しいだけでなく、しっかりとした見通しも併せ持ったところが魅力的ですね。
私もこのハイドン、本気で探したいと思います。

  • 2018/12/29 (Sat) 10:06
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Daisy

Daisy

Re: 春の小川に遊ぶ

Skunjpさん、コメントありがとうございます。

年末休みを利用して旅に出ています。
いつもながら、詩情あふれるコメントありがとうございます。
春の小川に遊ぶとは、まさにこのアルバムの演奏を見事に言い表していますね。室内楽はちょっとしたニュアンスで聴こえ方がガラッと変わってしまいます。イタリアの奏者がさらりと、さりとて深いニュアンスを帯びた演奏をすると、小川の映像が浮かんでくるという、稀有な例でしょう。現代ではこうした品のいい楽しみ方にふさわしい演奏はなかなか聴かれませんね。
このような音源もSpotify に登録されているとは驚きです。まだまだ針を落として楽しむ方がしっくりきますが、そろそろ時代に取り残されていることも自覚要ですね(笑)
発掘を続けます。

  • 2018/12/29 (Sat) 22:40
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Daisy

Daisy

Re: No title

katsudonさん、コメントありがとうございます。

この演奏、DECCAの状態の良いものだと高値になるんでしょうね。あんまり値の張るものを収集するのは性に合わないため、手を出してませんが、下手な鉄砲数打ちゃ式に収集を続けているとたまにはお宝盤に出会うものです。
お宝盤は人それぞれ。最近ではステファニア・ヴォイトヴィチの挿入アリアがお宝盤です。聴くと過呼吸気味になりますね(笑)

  • 2018/12/29 (Sat) 22:52
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