作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マッシモ・ザネッティ/読響の第九(東京芸術劇場)

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昔は年末に大挙して第九を聴きにいくなんていう、我が国独自の風習について冷静な目で見ていたんですが、最近そうした心境は知らぬ間に消え去り、気づいてみるとその風習の体現者となっています(笑)

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読売日本交響楽団:第212回土曜マチネーシリーズ

このところはなぜか読響の第九に出かけています。今年もコンサートでもらうチラシを見て、在京各楽団の第九の中から気になったのが読響のもの。指揮者は全く未知のマッシモ・ザネッティという人ですが、イタリア人で歌劇場で活躍する人ということで、選んだ次第。ザネッティは読響にも初登場とのこと。昨年聴いたクリヴィヌの代役でのサッシャ・ゲッツェルも良かっただけに、ハイドンの演奏でもそうですが、コンサートでも未知の指揮者を聴くのは想像力を掻き立てるという意味で楽しみの一つです。

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12月22日土曜のマチネーということで、この日の開演は14時。コンサート後の用事もあって、この日は車で池袋に向かい、芸術劇場の地下の駐車場に車を停めホールに上がります。

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この日のプログラムは第九1曲のみ。配役は以下の通り。

ソプラノ:アガ・ミコライ(Aga Mikolaj)
メゾ・ソプラノ:清水 華澄(Kasumi Shimizu)
テノール:トム・ランドル(Tom Ramdle)
バス:妻屋 秀和(Hidekazu Tsumaya)
合唱:新国立劇場合唱団(New National Theater Chorus)
合唱指揮:三澤 洋史(Hirofumi Misawa)

バスの妻屋秀和さんは、以前、高関健の天地創造のラファエル、昨年のゲッツェルの第九での素晴らしい歌唱を体験ずみ。今回の第九でもバスが妻屋さんというのがチケットを取る気になった理由の一つです。

プログラムが第九でマチネーということで客席は満員。やはり第九はお客さんが入るんですね。

定刻となり、コーラスの第二国立劇場合唱団から整然と入場。この日のコンサートミストレスは客演の日下紗矢子さん。チューニングを終えると、銀髪姿のザネッティが颯爽と登場。まずは1楽章はお手並み拝見です。ザネッティの指揮はかなりアクションが大きくオケにはわかりやすそう。最初の混沌とした序奏からキビキビとした音楽の運びは現代風ではありますが、古楽器風でもなく、やはり歌劇場で活躍する人だけに、オペラのように強音が吹き上がる反応の良さを引き出すようなコントロール。1楽章はそれでもベートーヴェンとしてはダイナミックでもあり、イタリア人らしく独墺系のベートーヴェンの重厚な響きとは異なりキレ味を感じさせる颯爽としたもの。特にティンパニを目立たせるあたりでキリリとした印象を引き出しているよう。
そのティンパニが大活躍する2楽章ではティンパニの岡田さんが次々と鋭い楔を打ち込むようにリズムを刻みます。キレの良いティンパニの連打がホールに響き渡り、オケもそのリズムに煽られながらダイナミックに響きます。
そして3楽章のアダージョは予想通り若干速めのテンポで見通しのよい展開。ザネッティはオペラティックな響きを引き出していきますが、そこはベートーヴェンということで、古典的な均衡を保とうとする意図も見え、ここまでは理性的なコントロールが優った感じ。
そして、第九の聴きどころ、終楽章に入ります。ここでザネッティが明らかにギアチェンジ。4楽章に入った途端に表現の起伏が大きくなります。ここでここまでザネッティがオケを抑えていたことがわかりました。冒頭からザネッティはオケを煽りまくりで、オケの方もそれに応えたキレキレ。そして声楽陣の第一声、妻屋さんのバスが圧倒的な声量でホール内に轟くと、ホールの緊張感が高まります。素晴らしかったのは合唱。第九なのにカルミナ・ブラーナのようなど迫力のコーラスが加わることで、広い芸術劇場の空間が大音量の響きに満たされます。やはりザネッティはオペラの人。終楽章の渾身の盛り上げ方はまるでヴェルディのオペラのような輝かしさに満ちたものでした。妻屋さん他の歌手も粒ぞろいで聴きごたえ十分。最後のフィニッシュもテンポをかなり上げて爆風のように終わり、もちろん会場のお客さんも拍手喝采。いやいや、ここまで4楽章に聴きどころを集中させるとは、なかなかの策士ですね。

もちろん熱演に対する拍手は何度もザネッティと歌手をステージに引き出し、奏者をねぎらっていました。この日はやはりコーラスの迫力が演奏の燃焼度に直結していましたね。観客も歌手もオケもコーラスの熱演を最後まで讃えていました。

この演奏を聴いた後でチラシをよく見ると、「年末に響く”歓喜の歌”」とのキャッチに続き、「心震わす壮大なクライマックス」とありますが、当初は第九の曲自体の作りを言っているものと思い込んでいました。演奏を聴いてこのコピーはザネッティの演奏のことを指していたものと、真意がわかりました。読響自体に初登場ということで、客演指揮者を探す読響の担当者がどこかでザネッティの第九を聴き、このコピーを考えたものでしょう。確かにこのキャッチコピーに偽りなしでした! マッシモ・ザネッティ、要注目です。

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この日は車で来たので、隣の東武百貨店で買い物をして、駐車の割引券を入手。そしてコンサートのチケットを見せると30分分割引ということで、駐車料金を安く抑える戦略(笑)。ということで最後に駐車場の出口で精算すると、狙い通り安く済ませることができました。ところが清算後、係りのオジサンがガサゴソと何か取り出し、こちらに笑顔で「クリスマスプレゼントです」と、お菓子をくれました(笑)

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こうしたちょっとした気配りは嬉しいものですね。素晴らしいコンサートもオジサンの気配りも人の心を暖かくするもの。オジサン、世界の平和に貢献してますね(笑) ありがとうございました。



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2 Comments

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sifare

来年も宜しくお願いします

Daisyさん、いつも記事更新していただき、情報を楽しく読ませて頂いています。

今年も有難うございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。



Daisy

Daisy

Re: 来年も宜しくお願いします

sifareさん、こちらこそ今年もありがとうございました。

日常生活は色々ありましがが、音楽が糧となって、なんとかやってくることができたというところです。来年は良い年になるとよいです。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

  • 2018/12/30 (Sun) 20:33
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