作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルのロンドンなど(東京文化会館)

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先週金曜日に続いて月曜日もコンサートのチケットを取ってありました。

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都民劇場:公演ラインアップ 音楽サークル 第659回定期公演

パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi)指揮のドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)の来日公演。会場は東京文化会館ということで主催は古風なチラシで異彩を放つ都民劇場(笑)。プログラムは以下のとおり。

シューベルト:交響曲5番
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲5番「トルコ風」 ヴァイオリン独奏はヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)
ハイドン:交響曲104番「ロンドン」

このコンサートのチケットを取ったのはハイドンのロンドンがプログラムに組まれていて目に止まったせいもありますが、お目当てはヒラリー・ハーンです。

パーヴォ・ヤルヴィは、このカンマーフィルとのベートーヴェンの交響曲全集で一躍有名になり、2015年からはN響の首席指揮者を務めるなど、今をときめく存在。で、ですが、私はちょっと苦手な方。パーヴォは如何なものかとの興味で一昨年に聴いたコンサートは流石のコントロール能力の高さを見せつけたものの、ちょっと器用すぎて小手先的印象を感じたのも正直なところ。

2016/10/08 : コンサートレポート : パーヴォ・ヤルヴィ/N響のマーラー交響曲3番(サントリーホール)

そのヤルヴィがシューベルト、モーツァルト、そしてハイドンをどう料理するかにも興味はありましたが、やはり聴きどころはヒラリー・ハーン。ヒラリー・ハーンも2度ほど実演に接していますが、ブログを書く前のことで、記録が残っていないと記憶も曖昧(苦笑)。確か直近は2009年にポピュラー系のジョシュ・リッターとのデュオのコンサート。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンは天才的なひらめきと、確かな音楽の骨格、表現をしっかり持った逸材との認識で、以前のコンサートの良い余韻が残っています。



このところ東京もぐっと冷え込んでくるなか、月曜日にもかかわらず、仕事をエイヤとやっつけて、久しぶりに上野の東京文化会館に向かいます。私が学生の頃は一流オケのコンサートは東京文化会館と決まっていましたね。前川國男先生のモダニズムの結晶のような建物は今でも素晴らしいオーラを放っていて、建築遺産としては揺るぎない価値を持つもの。

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ただし、コンサートホールとしては響きにかなり癖があり、ミューザ川崎をはじめとする音響の優れたホールとはかなり差がついてしまうのは致し方ないところ。

この日も開場時間にホールに参上。上野駅駅ナカで腹ごなしは済ませてきました。

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さて、この日の席は、いつも通り右側ですが、発売からだいぶ経ってからチケットを取ったのと、やはり舶来オケの価格帯のため、無理せず安い席をということで4階席。4回席までは階段です(笑)。眺めは上の写真の通りです。

開演時間になると会場内に盛大に学校のようにチャイム音が鳴るのはご愛嬌。場内の照明が徐々に落ちて、オケが入場。そして颯爽と洗われたヤルヴィが軽く観客に会釈して、1曲目のシューベルトが始まります。今回のこのコンビの来日ツアーではシューベルトがテーマの一つになっているようで、シューベルトだけのプログラムも用意されています。1曲目は響きに敏感。響きに癖がある東京文化会館のしかも4階ということで、音はあまり期待はしていなかったので、さして違和感はありませんでした。むしろ気になったのはヤルヴィのちょっとそそくさとした音楽の運び。ちょっと前に響きのいいミューザで、濃厚、流麗、分厚い響きのメータのシューベルトを堪能しているだけに、キリリと引き締まって、それはそれでスタイリッシュなヤルヴィの指揮はわかるものの、シューベルトの音楽とはもっとしなやかで、柔らかさがあってもいいと思わせてしまい、ヤルヴィ流のちょっと軽めの演奏はまずは前座という感じでした。

続いてお目当のヒラリーハーンの登場。白に金の柄のついた華やかなロングドレスで登場したヒラリー・ハーン、今度はモーツァルトということで軽やかさが曲にマッチしてヤルヴィのキレのいい伴奏を聴きながらリズムをとって入りを待ちます。静かな第一音から緊張感がみなぎり、抑制の効いたボウイングから繰り出される多彩な音色にうっとり。鋭さもあり、しなやかさもあり、そしてハーンの美点であるしっかりとハーンの音楽になっているところは期待通り。ヤルヴィが音色とキレという多彩な音色を繰り出すことに執心しているのに対し、ハーンは一貫してハーンの音楽を繰り出し、ハーンの方が格上に感じたのが正直なところ。テクニックを披露する曲ではなく、流麗な美しいメロディーを聴くべき曲ですが、ハーンは各楽章のカデンツァで、凝った構成のものを用意していましたが、いづれもヴァイオリンの音ではなくボウイングで音楽を作っていくという楽器の本質のようなものを聴かせたかったような構成。カデンツァでも唸らされました。流石にヒラリー・ハーン、モーツァルトでもただでは済ませない力量を見せつけました。もちろんほぼ満席の客席からは万雷の拍手が降り注ぎ、何度かのカーテンコールの後、アンコールを2曲。

バッハ 無伴奏ヴァイオリンパルティータ3番よりジーグ
バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ2番よりアンダンテ

オケを前にして静まり返るホールにハーンの静謐なバッハが響き渡り、本編のモーツァルト以上の神々しいボウイングに圧倒されました。やはりハーンはすごいですね。



休憩後はハイドンの「ロンドン」。「ロンドン」はアルバムではリリースされているほとんどのものを聴いていますがの実演は2009年にホグウッドの振ったN響くらい。ハイドンの交響曲の集大成であり、壮大な構成で知られていますが、演奏は非常に難しく、特に3楽章、4楽章が力んで単調になりやすいもの。しっかりと構成を考えて、どこに聴かせどころを持ってくるかなかなか難しい曲でもあります。ヤルヴィは予想では速めのテンポで入るかと思いきや、序奏はかなりテンポを落としてきました。骨格の壮大さよりはフレーズごとの立体感を出そうというような感じ。1楽章は徐々にテンポを上げてきっちりとした構成感を出しまずまず。続く2楽章以降では、短い音でリズムを打つフレーズがたくさん出てきますが、それをあえてしているのでしょう、かなり均一に鳴らすのでリズムが単調に聴こえてしまい、本来味わい深いアンダンテとメヌエットが少し平板な印象に聴こえてしまいます。ただし、そこは流石にヤルヴィ、終楽章で最後のクライマックスに至る盛り上げ方は見事。インテンポでオケを煽りながら壮大な頂点を構築しフィニッシュ。もちろん観客も満足したようで拍手喝采。拍手に応えて、オケもアンコールを披露。非常に色彩感に富んだ曲でしたが聴いたことのない曲。帰り際、ホワイエの張り紙でシューベルトのイタリア風序曲2番と知りました。この日のステージにはティンパニが通常の2つの他、右側に大きなものがもう1つ。この3つ目のティンパニはアンコール曲でしか使っていなかったように見えましたので、アンコールは最初から予定されていたものでしょう。ハイドン以上に各パートが活躍する曲で、アンコールでオケの実力開帳といったところでしょう。

パーヴォ・ヤルヴィは流石にN響の首席指揮者を務めるだけあって、集客力もありますね。ただし、オケのドイツ・カンマーフィルですが、日頃聴く日本のオケと比べてレベルが高いという感じではなく、木管、金管などのソロを聴くとむしろ、東響や読響、N響の方が上手いかもしれませんね。日本での印象はやはりヤルヴィのベートーヴェン全集での鮮烈なキレ味の印象が強く、ドイツの一流オケという印象でしたが、やはりバイエルン放送響、ベルリンフィルなどとはそもそも格は違いますし、近年の日本のオケのレベルの高さを考えると、少し冷静な目で見た方が良いかもしれません。

この日の収穫はやはりヒラリー・ハーンでした。今月はハーンのバッハの無伴奏のコンサートも組まれていましたが、そちらもチケットとっておけばよかった、、、 次の機会を待つことにします(笑)



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