セルの1959年ザルツブルク音楽祭ライヴ
お年寄りに限らず、水分、塩分などをきちんと補給していないと熱中症になってしまいますね。
夏と言えばザルツブルク音楽祭でしょうか。今日はCDラックを眺めてふと手に取った1枚。

ジョージ・セル指揮のフランス国立放送管弦楽団によるコンサートのライヴ盤。収録曲目はモーツァルトの交響曲35番ハフナー、ヴァイオリン協奏曲第5番、そしてハイドンの交響曲第92番オックスフォード。ヴァイオリン独奏はエリカ・モリーニ。1959年8月3日、モーツァルテウムの大ホールでのライヴ。
セルのハイドンはクリーブランド管弦楽団との交響曲が何枚かリリースされていますが、ハイドンの交響曲の規律と険しさを浮き彫りにするような表現。私自身は朴訥さとか、ユーモア、活気といった面が欠け過ぎているようにも感じられ、世評ほどには好きになれないといったところです。
このアルバムも手に入れたのは遥か昔。手に入れた時には何度か聴いたもののその後ラックの肥となっていました。
1曲目はモーツァルトのハフナー。直接音重視のデッド気味の録音から聴こえるのは引き締まった弦のしかも統率の良い冒頭のメロディ。テンポは中庸、ほどほど歌い、フレーズの呼吸は平常の範囲。中庸の美学というところでしょう。聴かせどころはやはり終楽章。強奏部のキレ、速いパッセージの見事な分解ですね。
2曲目は同じくモーツァルトのヴァイオリン協奏曲。これが意外に味わい深くていい。オーケストラもさきほどのハフナーより弾む感じが良く出ています。録音のせいか少々線がほそいですが、ヴァイオリンはオケとの対決姿勢みたいなものを感じるソロ。ソロをもり立てようと言う意識が演奏を変えている感じですね。
エリカ・モリーニは1904年生まれのウィーンのヴァイオリニスト。59年の録音ですので、55歳での録音ということになります。円熟期の演奏ですね。
参考のためエリカ・モリーニの情報のリンクを張っておきましょう。
Wikipedia:Erica Morini(英文)
さて、本題のハイドンの交響曲92番オックスフォード。このアルバムの最後におかれただけあって、第1楽章からキレてますね。第1ヴァイオリンの旋律をクッキリ浮き立たせ、インテンポで畳み掛ける迫力満点の演奏。硬調ながら階調豊かなネガを軟調な印画紙にしっかり焼いたプロの手によるモノクロプリントを見るような見事なコントラスト。
第2楽章はハフナーとは異なり非常に情感豊かな演奏。展開部は1楽章同様クッキリしたコントラストで対比の妙で聴かせます。
続く第3楽章のメヌエットは大胆さが加わり、彫りの深い素晴らしい迫力。
終楽章冒頭の有名なメロディ。以前取り上げた朝比奈隆盤ほどの閃きはないものの、実直さと規律に裏付けられたストレートな表現で一気に聴かせます。アクセントのキレも最高。最後は豪腕を振り切ってフィニッシュ。盛大な拍手が会場の熱気を伝えます。
ラックの肥にしておいたのはもったいなかったですね。いい演奏です。評価はこれまでの不見識を詫びて[+++++]とつけ直しました。
もう叶うことはありませんが、セルの実演をコンサートホールで聴くとどういう印象なんでしょうか。夏の暑い夜に、51年前のザルツブルクの響きに想いを馳せるのも乙なものですね。
本日は休肝日ゆえ、しらふで想いを馳せます。(笑)
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