【新着】ギョーム・ベロンのXVI:46、絶美!(ハイドン)

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ギョーム・ベロン(Gullaume Bellom)のピアノによる、シューベルののピアノソナタ(D.894)、ハイドンのピアノソナタ(XVI:46)、ドビュッシーの「版画」の3曲を収めたアルバム。収録は2016年9月、スイス、ラ・ショー=ド=フォンの名録音会場、Salle de Musiqueでのセッション録音。レーベルはclaves。
ギョーム・ベロンは全く知らなかった人。ライナーノーツによると、1992年生まれ(若い!)のフランスのピアニスト。ブサンソン音楽院(Busançon Conservatoire)でピアノとヴァイオリンを学び2008年に卒業、翌2009年にはパリ音楽院(Paris Concervatoire)のマスタークラスに進み、2014年からはArtist Interpreter Diplomaコースに進んでいます。2014年、シャンゼリゼ劇場でサンサーンスの動物の謝肉祭でデビュー。その後いくつかのコンクールで優勝して現在に至るという、ピチピチの若手です。
驚くのは若手とは思えない、むしろ老成したかのように落ち着き払った非常にしなやかな演奏。1曲目のシューベルトがあまりに素晴らしく、ぐいぐい引き込まれます。しかもハイドンの選曲は初期の名曲Hob.XVI:46ということで記事に取り上げた次第。
Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
いきなり、ほんのりと美しい残響を伴った磨き抜かれたピアノの美音が流れます。流石ラ・ショー=ド=フォンのSalle de Musique。理想的なピアノの響きに痺れます。オーソドックスな入りながら、デュナーミクのコントロールが絶妙に上手く、適度にテンポが揺れ、漂うような癒しに満ちた音楽。これが20代の青年の繰り出す響きかと驚きます。指先の神経が超絶的に繊細なのでしょう。フレーズのしなやかさと緩やかに移りゆく感情、気配が実に心地よい。このソナタから力みなくこれだけ柔らかな音楽を引き出す手腕は見事の一言。柔らかな起伏に酔います。
続くアダージョ楽章に入ると、さらにしなやかさに磨きがかかります。少ない音符が響く間に様々な方向から光が当たり、きらめくような響きの綾の色彩のグラデーションのなんと豊かなこと。可憐さの限りを尽くしたひととき。至福。ピアノが少し遠くに定位するような録音も秀逸。ベロンの演奏の美点を踏まえた見事な収録です。中程から少しくっきりとした表現に切り替えますが、その変化も絶妙。非常にわずかな変化を効果的に使ってきます。あえてダイナミクスをほどほどに抑えることでデリケートさを研ぎ澄ましてきます。
フィナーレはタッチの軽やかさとリズムのキレをさりげなく聴かせます。けっして力まず、軽快さを失わず、しかも抑制の効いたほどほどの表現から音楽の深さを感じさせる洗練された表現。最後のさりげない終わり方もセンスがいいですね。
シューベルトの深さで引き込まれ、ハイドンでさらりと表現力を見せつけたかと思うと、続くドビュッシーも透明感溢れる素晴らしい響きの構築力。ギョーム・ベロンという若手ピアニスト、恐ろしいほどの表現力の持ち主とみました。若手とは思えぬ成熟した繊細な感性は貴重ですね。ハイドンの評価はもちろん[+++++]といたします。ピアノ好きな方、必聴です。
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