作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

オルランド四重奏団のOp.76のNo.1(ハイドン)

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秋は夜には室内楽が聴きたくなります。今日のアルバムはこちら。

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オルランド四重奏団(Orlando Quartet)による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.1、ヴォルフのイタリアセレナーデ、シューベルトの弦楽四重奏曲Op.29(D.804)の3曲を収めたLP。収録は1987年5月、収録場所の記載はありません。レーベルはPHILIPSではなくCLAVIGRAMというオランダのレーベル。

オルランド四重奏団ならびに、その出身者によるパルカニ四重奏団の素晴らしい演奏は、昨年、記事にしています。

2017/09/24 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : パルカニ四重奏団のOp.54(ハイドン)
2017/08/27 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : オルランド四重奏団のOp.54(ハイドン)

オルランド四重奏団は1976年、オランダで設立され、1997年に解散しました。その間第1ヴァイオリンが2回変わっています。

1976–1984 イストヴァン・パルカニ(István Párkányi)
1985–1990 ジョン・ハーディング(John Harding)
1991–1997 アルヴィド・エンゲゴール(Arvid Engegård)

今日取り上げる録音は2代目のジョン・ハーディングが第1ヴァイオリンを務めており、メンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:ジョン・ハーディング(John Harding)
第2ヴァイオリン:ハインツ・オーベルドルファー(Heinz Oberdorfer)
ヴィオラ:フェルディナント・エルブリヒ(Ferdinand Erblich)
チェロ:シュテファン・メッツ(Stefan Metz)

前に記事にしたOp.54はオルランドのデビュー盤で1980年の録音、そしてCD化されているOp.76のNo.4、No.6が82年のリリースと、双方創設メンバーのイストヴァン・パルカニが第1ヴァイオリンを務めたものであるのに対し、今回は2代目のジョン・ハーディングに変わっています。ということで、第1ヴァイオリンの変更がアンサンブルをどう変えたかということが聴きどころになるでしょう。
初代第1ヴァイオリンのパルカニは1998年に第2ヴァイオリン、ヴィオラメンバーと新たなチェロのメンバー迎えてパルカニ四重奏団を結成した件についてはパルカニ四重奏団の記事に書いた通りです。

前置きが長くなりましたのでレビューに入りましょう。

Hob.III:75 String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
いつものようにVPIのクリーナーで綺麗にクリーニングしてから針を落とすと、最初の和音がまるでPHILIPSの録音のように鮮明かつ柔らかな響きで鳴り響き安堵させます。録音は万全、LPのコンディションは表面にはかすり傷が見られるものの、ノイズは全くなく非常に良いコンディション。あのオルランド盤の伸びやかかつ素晴らしい響きは変わらず、新たな第1ヴァイオリンのハーディングも端正かつ伸びやかな演奏で、オルランド四重奏団という伝統がしっかりと引き継がれていることがわかります。1楽章から素晴らしい安定感で伸び伸びとした演奏に惹きつけられます。
素晴らしかったのが続くアダージョ・ソステヌート。非常にデリケートなデュナーミクの変化とくっきりとメロディーラインを浮かび上がらせるアンサンブルのバランスは円熟の境地を感じさせます。響きは単調にならずどの音にも豊かな表情が宿る深みがあり、4人の行きもピタリとあって、ことさら弱音部の美しさは見事なもの。ここにきて、ハーディングの濡れたように深みのある高音域の美音がさらに華を添えます。
メヌエットはオーソドックスに小気味好くキレを感じさせるものですが、トリオではぐっとテンポを落としてゆったりとコミカルなメロディをじっくり聴かせ、対比を鮮明に印象付けます。トリオの部分は録音の良さにより響きの美しさが際立ちます。
そしてフィナーレも力みなく弓が滑らかに走ることでキレ味抜群。終楽章ではかなり自在にテンポを動かしてフレーズごとにはっきりと表情をつけていきます。しかも表情の切り替えに余裕があり、もはや至芸。この曲の終楽章では最も印象的な演奏となりました。

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オルランド四重奏団による、Op.76のNo.1、やはり期待通りの素晴らしい演奏でした。素晴らしい録音であることもあり、ハイドンのクァルテットを一流どころが演奏すると、これほどまでに深い音楽になるのかという見本のような演奏。楽譜に込められたハイドンの創意をしっかりと汲み取って素晴らしい演奏にまとめる類まれな音楽性を持ち合わせているということでしょう。このところコンサートではハイドンの曲が前座になるようなケースが多く、やはりハイドンを演奏することはテクニック上ではなく、音楽として難しいということなんでしょう。オススメ盤です。評価はもちろん[+++++]とします。



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