作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

コダーイ四重奏団のOp.1のNo.1からNo.4(ハイドン)

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今更ですが、良いものは良いということで。

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コダーイ四重奏団(Kodály Quartet)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.1のNo.1からNo.4の4曲を収めたアルバム。収録は1991年4月8日から11日にかけて、ブダペストのユニテリアン派教会でのセッション録音。レーベルはもはやメジャーレーベルのNAXOS。

ふとしたことから、最近聴き直したアルバム。コダーイ四重奏団はハイドンの弦楽四重奏の全集をリリースしているのは当ブログの読者の皆様ならもちろんご存知のことと思います。すでにコダーイの全集をお持ちの方も少なくないのではないかと想像していますが、私は全集ではなく、次々とリリースされたアルバムを1巻ずつコツコツと集めていたため、古く手に入れたものは記憶も朧げになってます。加えて集め始めた当初はNAXOSというレーベルのイメージも廉価盤専門ということで、さして期待もせず集めていたのが正直なところ。

コダーイ四重奏団の演奏はこれまでに3度ほど取り上げております。

2017/05/17 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : コダーイ四重奏団のOp.9(ハイドン)
2013/02/23 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : コダーイ四重奏団のOp.20のNo.4からNo.6
2011/10/23 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : コダーイ四重奏団のOp.74

あらためて聞き直してみると、このコダーイ四重奏団の演奏が実に素晴らしい。特にこのごく初期のOp.1のおおらかな魅力に溢れた曲を見事に表現しています。この曲集ではペターセン四重奏団のキレキレの演奏とエミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツの弦楽合奏ならではのおおらかな演奏が印象に残っていますが、このコダーイの演奏はクァルテットによる伸びやかな名演としてお勧めできるものです。

2014/08/09 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 絶品! ペターセン四重奏団の弦楽四重奏曲Op.1(ハイドン)
2012/06/19 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツのディヴェルティメント集

Hob.III:1 / String Quartet Op.1 No.1 [B flat] (c.1757-59?)
いきなり伸びやかな音色に惹きつけられます。虚飾も技巧の誇示もなく純粋に奏者全員が完全にリラックスして楽しみながら弾いているのが伝わります。弦楽四重奏というジャンルを確立したハイドンが当初ディヴェルティメントとして5楽章構成で書き始めたまさに最初の曲。このおおらかな演奏こそこの曲の本質的な魅力を突いた演奏でしょう。教会に響き渡る豊かな残響を伴った録音も絶品。リズミカルにメロディーを刻む1楽章、愉悦感に溢れる2楽章のメヌエット、ラチュード豊かな陰影が美しい3楽章のアダージョ、後年の展開の面白さを予感させる4楽章のメヌエット、軽やかに疾走するフィナーレといきなり見事な構成で、これが最初の曲とは思えない完成度。コダーイの素晴らしいところは、4人の奏者の音楽性が見事に揃っていて、完璧な一体感を保っているところ。穏やかで無難な演奏とも聴こえるかもしれませんが、こういう演奏が一番難しいんじゃないかと思います。1曲めから完璧な演奏。

Hob.III:2 / String Quartet Op.1 No.2 [E flat] (c.1757-59?)
見事な一体感は続きます。そして美しいアンサンブルも変わらず。4人が絶妙な呼吸で音楽が微塵も揺らぎません。まるで一人の奏者が弾いているように音楽が流れます。フレーズはメリハリがついて、メロディーは味わい深く、朗らかな気配に包まれます。このアルバムにはOp.1の6曲中4曲が収められていますが、4つの曲は全て2つのメヌエットを伴った5楽章構成と共通の構成を持ちながら、それぞれの曲の変化の面白さが仕込まれ、そこが聴きどころ。このコダーイの演奏がその変化を聴き分ける面白さに集中できる安定感がありますね。特にその面白さを感じるのがこの曲の3楽章のアダージョ。美しいメロディーにピチカートが散りばめられる秀逸なアイデアに加え、曲の展開もあっと言わせるような驚きに満ちています。いつもながらハイドンの想像力の冴えに感心しきり。4楽章の2つ目のメヌエットに織り込まれた短調の陰りも曲に深みを与える見事なもの。

Hob.III:3 / String Quartet Op.1 No.3 [D] (c.1757-59?)
今度は冒頭にアダージョを持ってきました。しかも非常にデリケートな表情を重ねていきながら曲想が徐々にくっきりと描いてくる展開の面白さを見せつけます。メヌエットの表情も豊かになり、ここでもピチカートが効果的に使われます。そして中間楽章の3楽章には今度はスケルツォが置かれ、型の中での変化を色々とつけて実験しているよう。このような試行錯誤を繰り返しながら弦楽四重奏というジャンルを確立して行ったわけですね。そして5楽章のフィナーレでは実に巧みなリズムを刻んで、湧き出るようにアイデアを披露。タダでは終わらないというハイドンのプライドを感じます。

Hob.III:4 / String Quartet Op.1 No.4 [G] (c.1757-59?)
アイデアは湧き出し続けます(笑)。入りから巧みな構成に舌を巻きます。どうしてこのようなメロディーが思いつくのか、一つとして同じアイデアを繰り返しません。それでいて曲としてのまとまり、聴かせどころをしっかりと持っているのが流石なところ。演奏の方はあまりに自然で堂に入っていて、演奏のあれこれに気をとられることなく純粋に曲の面白さに没入できる理想的なもの。続くメヌエットでもハッとするような展開が織り込まれます。そして、この曲のアダージョは7分を超える長いもので、パート間がゆったりと会話するような曲が続きます。ヴァイオリンの高音の透き通るような響きの美しさが華を添えます。それを受けてかメヌエットのトリオも輪唱のようなこだまするよう。アイデアの連鎖がテーマになっていますね。最後のフィナーレはヴァイオリンが天真爛漫に躍動。ここもアイデアの連鎖ですね。最後は総決算的に曲をキリリとと終わらせる見事な構成感。

実に久しぶりに聴き直してみると、若書きとはいえハイドンの素晴らしい曲想を堪能できる素晴らしい演奏でした。以前の評価を訂正して全曲[+++++]と修正です! これから手に入れる方は迷わず全集をオススメします。



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