ルービンシュタインのアンダンテと変奏曲(ハイドン)
今日は珍しいハイドンのアルバム。

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アルトゥール・ルービンシュタイン(Artur Rubinstein)のピアノで、モーツァルトのピアノ協奏曲20番、21番とハイドンのアンダンテと変奏曲(hob.XVII:6)の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1960年4月19日のセッション録音ですが収録場所はわかりません。モーツァルトの方は1961年3月から4月の録音で、アルフレッド・ウォーレンスタイン(Alfred Wallenstein)指揮のRCA VICTOR交響楽団。国内盤のRCA NEW BEST 100というシリーズ。
ルービンシュタインといえばショパンでしょう。ハイドンを弾くイメージは全くない人でしたが、先日たまたまこのアルバムを発見して入手。ディスクユニオンの店頭でモーツァルトのコーナーを見ていてたまたま見つけたもの。メインがモーツァルトのアルバムゆえ、ハイドン目当ての私にはなかなか見つけられずに今日まできたということです(笑)
ルービンシュタインといえば知らぬ人はいない巨匠ですが、ショパンはあまり得意でない私はあまりなじみもなく、記憶の限りでは手元にこれ以外のアルバムもありません。昔FM放送で流れていたショパンの演奏を聴いた覚えがあるくらいということで、ショパンを好む人から見ると未開人のような状況なんですね。
ルービンシュタインはショパンと同じポーランドに1887年に生まれた20世紀を代表するピアニスト。幼少期から神童として知られ、13歳でベルリン交響楽団と共演、戦前はヨーロッパで、戦後はアメリカで活躍し、1982年に亡くなりました。RCAレーベルに膨大な録音を残し、それをまとめた142枚のCDと2枚のDVDをまとめたArthur Rubinstein - The Complete Album Collectionというアルバムが以前発売されています。このような膨大な録音を残した中でもこの演奏がおそらくハイドンの唯一の録音ということで、巨匠ルービンシュタインはハイドンをどう料理したのかというのが私の興味の対象ですね。
まずはモーツァルトのコンチェルトですが、1961年の録音とは思えない鮮明な録音でオケも溌剌としてなかなかいい感じです。ルービンシュタインのピアノは独特な芳香を放ち、速めなテンポで流れるような演奏。フレーズ一つ一つのタッチの柔らかさが印象的な上、骨格がしっかりとして推進力もあり、彼の美学が隅々まで行き渡っていることがわかります。聴き進むうちににルービンシュタインの魔術にかかったようで夢見心地。20番の2楽章は至福の境地。この曲はハスキルやグルダ、ブレンデルなどが馴染みですが、ルービンシュタインのモーツァルトがここまで素晴らしいとは知りませんでした。21番の方も絶品の演奏で、2楽章のアンダンテは芳しい抑制の美学。オケも放送用のオケでしょうが聴く限り一流どころによるオケでしょう。
Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
肝心のハイドンですが、やはりピアノから立ちのぼる芳香はルービンシュタインならでは。遅めのテンポでしっとりとした入り。ゆったりとしたフレーズのタッチの柔らかさとそこからくっきりと際立つメロディーの艶やかさにいきなり惹きつけられます。右手と左手の対話のように表情にコントラストつけながら進むあたりはこれまで聴いたことのないもの。変奏を一つ一つ進めるごとに微妙にテンポと表情を変え、音楽に無限の深みをつけていきます。このメロディーにこれだけ多彩な表情をつけていく演奏はなかなかありません。聴けば聴くほど深い演奏。大きな起伏の波を超えて再び静けさに至るようなこの曲の魅力を、極めてニュアンス豊かにまとめる見事な手腕。恐れ入りました。
アルトゥール・ルービンシュタインの真価を、ショパンではなくハイドンで、昭和ではなく平成末期にようやく知った次第。このハイドンは見事の一言。特にこの変奏曲の表情をこれだけ豊かに表現するデリカシーはショパンの大家だからこそと想像しています。そして、メインのモーツァルトのコンチェルトも絶品。今更ながらすごい人だったんですね。このアルバムはRCAのベスト盤として流通していましたので聴いたことのある方も多いかもしれませんが、今は現役盤ではないようです。ただApple Musicには登録されていましたので、未聴の方はぜひ聴いてみてください。評価はもちろん[+++++]とします。

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アルトゥール・ルービンシュタイン(Artur Rubinstein)のピアノで、モーツァルトのピアノ協奏曲20番、21番とハイドンのアンダンテと変奏曲(hob.XVII:6)の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1960年4月19日のセッション録音ですが収録場所はわかりません。モーツァルトの方は1961年3月から4月の録音で、アルフレッド・ウォーレンスタイン(Alfred Wallenstein)指揮のRCA VICTOR交響楽団。国内盤のRCA NEW BEST 100というシリーズ。
ルービンシュタインといえばショパンでしょう。ハイドンを弾くイメージは全くない人でしたが、先日たまたまこのアルバムを発見して入手。ディスクユニオンの店頭でモーツァルトのコーナーを見ていてたまたま見つけたもの。メインがモーツァルトのアルバムゆえ、ハイドン目当ての私にはなかなか見つけられずに今日まできたということです(笑)
ルービンシュタインといえば知らぬ人はいない巨匠ですが、ショパンはあまり得意でない私はあまりなじみもなく、記憶の限りでは手元にこれ以外のアルバムもありません。昔FM放送で流れていたショパンの演奏を聴いた覚えがあるくらいということで、ショパンを好む人から見ると未開人のような状況なんですね。
ルービンシュタインはショパンと同じポーランドに1887年に生まれた20世紀を代表するピアニスト。幼少期から神童として知られ、13歳でベルリン交響楽団と共演、戦前はヨーロッパで、戦後はアメリカで活躍し、1982年に亡くなりました。RCAレーベルに膨大な録音を残し、それをまとめた142枚のCDと2枚のDVDをまとめたArthur Rubinstein - The Complete Album Collectionというアルバムが以前発売されています。このような膨大な録音を残した中でもこの演奏がおそらくハイドンの唯一の録音ということで、巨匠ルービンシュタインはハイドンをどう料理したのかというのが私の興味の対象ですね。
まずはモーツァルトのコンチェルトですが、1961年の録音とは思えない鮮明な録音でオケも溌剌としてなかなかいい感じです。ルービンシュタインのピアノは独特な芳香を放ち、速めなテンポで流れるような演奏。フレーズ一つ一つのタッチの柔らかさが印象的な上、骨格がしっかりとして推進力もあり、彼の美学が隅々まで行き渡っていることがわかります。聴き進むうちににルービンシュタインの魔術にかかったようで夢見心地。20番の2楽章は至福の境地。この曲はハスキルやグルダ、ブレンデルなどが馴染みですが、ルービンシュタインのモーツァルトがここまで素晴らしいとは知りませんでした。21番の方も絶品の演奏で、2楽章のアンダンテは芳しい抑制の美学。オケも放送用のオケでしょうが聴く限り一流どころによるオケでしょう。
Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
肝心のハイドンですが、やはりピアノから立ちのぼる芳香はルービンシュタインならでは。遅めのテンポでしっとりとした入り。ゆったりとしたフレーズのタッチの柔らかさとそこからくっきりと際立つメロディーの艶やかさにいきなり惹きつけられます。右手と左手の対話のように表情にコントラストつけながら進むあたりはこれまで聴いたことのないもの。変奏を一つ一つ進めるごとに微妙にテンポと表情を変え、音楽に無限の深みをつけていきます。このメロディーにこれだけ多彩な表情をつけていく演奏はなかなかありません。聴けば聴くほど深い演奏。大きな起伏の波を超えて再び静けさに至るようなこの曲の魅力を、極めてニュアンス豊かにまとめる見事な手腕。恐れ入りました。
アルトゥール・ルービンシュタインの真価を、ショパンではなくハイドンで、昭和ではなく平成末期にようやく知った次第。このハイドンは見事の一言。特にこの変奏曲の表情をこれだけ豊かに表現するデリカシーはショパンの大家だからこそと想像しています。そして、メインのモーツァルトのコンチェルトも絶品。今更ながらすごい人だったんですね。このアルバムはRCAのベスト盤として流通していましたので聴いたことのある方も多いかもしれませんが、今は現役盤ではないようです。ただApple Musicには登録されていましたので、未聴の方はぜひ聴いてみてください。評価はもちろん[+++++]とします。
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