作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヘルムート・フッケ/フリッツ・レーハンのオーボエ協奏曲、協奏交響曲(ハイドン)

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しばらく間が空きました。今日は最近手に入れたLP。

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ヘルムート・フッケ(Helmut Hucke)のオーボエ、フリッツ・レーハン(Fritz Lehan)指揮のコンソリティウム・ムジクム(Consortium Musicum)の演奏で、伝ハイドン作のオーボエ協奏曲とハイドンの作による協奏交響曲の2曲を収めたLP。協奏交響曲の独奏者は別記します。収録情報は記載されていませんが、以前湖国JHさんに貸していただいたこのLPと同一演奏であると思われるオーボエ協奏曲を収めたCDの情報では1961年3月8日から10日にかけてのセッション録音とのことです。レーベルはcolumbiaとEMIの両方のロゴが配されたもの。

このアルバムを取り上げたのはひとえに演奏と録音が絶妙に良いからに他なりません。

当ブログの読者の方なら先刻ご承知の通り、オーボエ協奏曲はハイドンの作品として出版され多くの録音もありますが、近年の研究によってハイドンの作ではなく、作曲者不明の曲というのが最近の見解です。それでもごく最近でも録音され続けているのはなかなか侮れない、いい曲だというのが理由でしょう。これまで取り上げたアルバムは皆それぞれ素晴らしい演奏でした。

2017/08/09 : ハイドン–協奏曲 : ハインツ・ホリガーのオーボエ協奏曲(伝ハイドン)
2015/04/28 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】フランソワ・ルルーのリラ協奏曲、オーボエ協奏曲(ハイドン)
2015/03/23 : ハイドン–協奏曲 : パウルス・ファン・デア・メルヴェ/ヴァントのオーボエ協奏曲(伝ハイドン)
2015/03/22 : ハイドン–協奏曲 : エルネスト・ロンボーのオーボエ協奏曲(伝ハイドン)

オーボエのヘルムート・フッケは調べてみたのですが、手元のアルバムの解説にもネット上にも詳しい情報はありませんが、コレギウム・アウレウムの中心的メンバーだったとのこと。指揮者のフリッツ・レーハンについてもほとんど情報がなく、手元には他にこのアルバム同様コンソリティウム・ムジクムを振ったトランペット協奏曲などを収めたLPがあるのみ。そしてこのコンソリティウム・ムジクムもよくわかりません(苦笑)。Discogsの記載を見るとConsortium Musicum Ljubljanaという同名のオケもあり、こちらは旧ユーゴスラビア、現セルビアの首都であるリュブリャナのオーケストラのようですが、果たして同じオケなのかも判然としません。いつもは奏者やアルバムの背景を色々調べるのですが、久しぶりに調べがつきません(笑)

Concerto per il oboe [C] (Hob.VIIg.C1)
いきなり迫力満点で素晴らしく広がりのあるオケの序奏に驚きます。最新録音に劣るどころかキレキレのオケの響きに釘付けになります。比較的速めのテンポに乗ってグイグイと推進力満点のオケ。フリッツ・レーハン、素晴らしいオーケストラコントロール能力の持ち主とみました。協奏曲の中でも一際オケの伴奏が充実したこの曲だけに、このオケの充実ぶりは聴き応え充分。ヘルムート・フッケのオーボエもオケのエネルギーに反応して艶やか伸びやかな音色で応戦します。フッケもオーボエ特有の音を伸ばしたところの表情が特に豊かでホリガー並みの見事なオーボエさばき。曲が進むにつれて、ふとした陰りと明るさの間を行き来しながら美しいメロディーが交錯するこの曲の魅力が際立ってきます。鮮やかなオーボエの音色に負けないオケの瑞々しい響きでソロもオケも実に華麗な演奏に夢見心地。
続くアンダンテでは、フッケのオーボエ音色の美しさがさらに際立ちます。1楽章の華やかさから一転、しっとりとした響きの美しさを印象付けるように演奏もリラックスして癒しに満ちあふれます。ハイドンの作ではないとはいえ、このメロディーの美しさと展開は見事ですね。特にオケは完全に抑えられ、すべての楽器がデリケートな音量コントロールで弱音の豊な表情を作り上げます。
フィナーレの入りも絶妙に抑えられて、前楽章の余韻をしっかりと踏まえます。徐々にオケが力を取り戻しますが、今度はおおらかにオケを鳴らすことで、1楽章とは印象を変えてくる巧みな演出。中間部の実にニュアンス豊かな演出といい、大局的な設計の確かさといいフリッツ・レーハンという指揮者、素晴らしい実力の持ち主ですね。最後は華麗な響きで締めくくります。ブラヴォー。

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Hob.I:105 Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
4人の独奏者は下記のメンバー。おそらくコンソリティウム・ムジククムのメンバーではないでしょうか。

ヴァイオリン:ウェルナー・ノイハウス(Werner Neuhaus)
チェロ:ハンス・プリューマヒャー(Hans Plümmacher)
オーボエ:ヘルムート・フッケ(Helmut Hucke)
ファゴット:ウェルナー・マウルシャット(Werner Mauruschat)

しなやかなオケのコントロールはオーボエ協奏曲と変わらず。穏やかにコントロールされた推進力はこの曲の雰囲気にピタリ。冒頭から4人の独奏者はイキイキとした鮮やかな演奏で見事なアンサンブルを聴かせます。完全に息が合って独奏者同士が楽しんで演奏している雰囲気がよくわかります。フリッツ・レーハンのコントロールするオケはあえて表現を抑えながら溜めを作らず清水の流れのように淀みのない清々しい音楽。この曲の本質的な魅力を教わった気になります。じわりと湧き上がる演奏の喜び。天真爛漫にメロディーが奏者の間を飛び回るような愉悦感に包まれます。なんという洞察力。フリッツ・レーハンという人、音楽の本質を見極める類まれな能力を持っているようですね。
続くアンダンテはこの曲も美しいメロディの宝庫。やはりヘルムート・フッケのオーボエの艶やかさが一際目立ちますね。オケの方はオーボエ協奏曲の時とはちょっとテンションが変わって、伴奏に徹する感じで表情も少し平板。
2楽章でちょっとテンションが落ちたと思っていたら、フィナーレではオケにもソロにも生気が戻ってきました。ピチカートを織り交ぜたりして華やかさを加えながら響きの新鮮さを保ちます。最後は古典の折り目正しさを印象付けて終わります。

知る人ぞ知るフリッツ・レーハンとコンソリティウム・ムジクムによる協奏曲集のLPでしたが、これが絶品でした。名のある奏者のいい演奏も色々ある中、このアルバムに収められた2曲は、オーボエ協奏曲は華やかな力感、そして協奏交響曲はとそれぞれの曲の本質的な魅力を知らしめてくれる玄人好みの名演でした。これだけの名演にも関わらず、現役盤ではなく、入手も苦労することとは思いますが、一聴すべき価値のあるアルバムと言っていいでしょう。評価は両曲とも[+++++]とします。



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