作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】フリーダー・ベルニウスの「スタバト・マーテル」新盤(ハイドン)

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新着アルバムが続きます。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV&BOOKS online

フリーダー・ベルニウス(Frieder Bernius)指揮のシュツットガルト室内合唱団(Kammerchor Stuttgart)、ホフカペレ・シュトゥットガルト(Hofkapelle Stuttgart)で、ハイドンの「スタバト・マーテル」。収録は2017年4月5日から7日にかけて、シュツットガルトの南にあるロイトリンゲン(Reutligen)にあるプロテスタント教会でのセッション録音。レーベルはCarus。

フリーダー・ベルニウスはハイドンのミサ曲などを色々録音している人。これまで聴いたアルバムはどれもピンとくるものがなかったんですが、この新着アルバムはなかなかいい演奏ということで取り上げた次第。

手元にあるアルバムを並べてみると以下のとおり。

「スタバト・マーテル」旧盤(録音年不明、BRILLIANT CLASSICS)
大オルガンミサ(1979、LP、FSM)
ネルソンミサ、ラウダ・シオン、アヴェ・レジーナ(1981–82、Profil)
オラトリオ版「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(P1982–87、Profil)

スタバト・マーテルの旧盤は録音年が不明なものの、おそらく80年代より前と推定されますので、今から30年以上前の古い録音ばかり。そしてどの演奏もオーソドックスなスタイルで、特段キラリと光るものがあるわけではない演奏ということで、評価も [+++]中心。自身の設立したシュツットガルト室内合唱団とヴュルテンベルク室内管弦楽団との演奏で、ハイドンばかり聴いている私の知るベルニウスは過去の人でしたが、今回取り上げるアルバムのレーベルのCarusからはバッハのロ短調ミサ、マタイ、モーツァルトのレクイエム、ハ短調ミサをはじめとしてかなりのアルバムがリリースされているようで、まさに今が旬の人。おまけにトーマス・ファイの怪我により交響曲全集の進行が危ぶまれる中、ハイデルベルク・シンフォニカーをファイに代わって振る可能性もあるなどの話題もあって、ちょっと新しい録音を聴いてみたくなったところにこのアルバムがリリースされたという流れです。

歌手は以下のとおり。

ソプラノ:サラ・ウェゲナー(Sarah Wegener)
アルト:マリー・ヘンリエッテ・ラインホルト(Marie Henriette Reinhold)
テノール:コリン・バルザー(Colin Balzer)
バス:セバスティアン・ノアック(Sebastian Noack)

また、スタバト・マーテルはコルボをはじめ名演奏が多く、過去に取り上げた3つの演奏はいずれも甲乙つけがたい名盤です。

2015/11/07 : ハイドン–声楽曲 : ラースロー・ヘルタイ/アルゴ室内管のスタバト・マーテル(ハイドン)
2014/12/12 : ハイドン–声楽曲 : ファビオ・チオフィーニ/アッカデミア・ヘルマンスのスタバト・マーテル(ハイドン)
2010/12/19 : ハイドン–声楽曲 : 【年末企画】ミシェル・コルボのスタバト・マーテル

今回のベルニウスの新盤はこれらに並ぶ素晴らしい演奏でした。

Hob.XXbis Stabat Mater スタバト・マーテル [g] (1767)
最新の録音だけあって、広い音場の中に古楽器オケの鮮明な音色が響きわたる気持ちのいい録音。ベルニウスは合唱指揮出身だけあって、オケのコントロールは外連味のない自然なもの。コーラスはもちろん透き通るようなハーモニーの美しさを見事にまとめる手腕を最初から楽しめます。入りの演奏の見事な展開に聴き入るうちに、この演奏がハイドンの音楽の自然な呼吸と敬虔な祈りの感情に包まれていることに気づきます。歌手もコーラスもオケの一部のように音色が揃って、オケのパートと同じような深い呼吸としなやかなフレージングにまとめられ、素晴らしい一体感を感じます。美しいフレーズが波打つように押し寄せながら曲が進みます。ベルニウスの語り口は、ハイドン自身が重い病気にかかって全快したことを聖母を讃えて作曲した心境に満ちたもの。まるで宇野重吉が読み語るように慈しみに満ちています。大指揮者がオケを豪腕でグイグイいわせながら制御する音楽とは対極にある演奏です。シュトルム・ウント・ドラング期の曲ゆえ短調の曲の憂いに満ちた陰りの美しさをあえてさっぱりとまとめて爽やかな美しさにまとめるところも見事。まさに美しいメロディーの宝庫たるこの曲の素晴らしさを知り尽くしているからこそのまとめ方でしょう。約1時間、全14曲が次々に展開するのがあっという間に感じるほど楽しい時間でした。

ベルニウスの演奏はハイドンの古い録音しか聴いていませんでしたが、最近Carusレーベルから色々な曲のリリースが続いている理由がわかりました。このスタバト・マーテルは旧盤とは全くレベルの異なる名盤と言っていいでしょう。もちろん評価は[+++++]とします。これは、天地創造や四季の録音を期待しないわけには参りませんね。リリース済みのアルバムではロ短調ミサも聴いてみたくなりました。声楽曲が好きな方にはオススメの1枚です。

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