作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ジョナサン・ノット/東響のマーラー10番、ブルックナー9番(サントリーホール)

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新年度が始まって、いつもながら仕事でドタバタしており、レビューも進まぬ中、チケットをとってあったコンサートに行ってきました。

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東京交響楽団:第659回 定期演奏会

このところお気に入りのジョナサン・ノット(Jonathan Nott)率いる東京交響楽団のコンサート。古典から現代まで幅広いレパートリーを誇るノットですが、マーラーや現代音楽の素晴らしさは体験済み。アルバムでは評判が良さそうだったブルックナーはどうかということでチケットをとった次第。ノットのこれまでのコンサートのレポートは以下のとおり。

2017/12/10 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)
2017/10/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)
2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

初めて聴いた「コジ・ファン・トゥッテ」が滅法面白かったので色々聴きましたが、モーツァルトもマーラーも春祭も見事なコントールで楽しめましたが、肝心のハイドンはちょっと演出過剰でゴテゴテした印象になり、ハイドンを演奏する難しさを感じさせた次第。そのノットがブルックナーの9番をどう料理するのかが聴きどころ。

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この日は土曜で前日夜は札幌泊の出張に出ておりましたゆえ、若干疲れ気味の中、夕刻いつも通り、開場少し前にサントリーホールに到着。事前情報ではNHKのカメラが入ることになっているということで、注目のコンサートなんでしょう、ホールの前はかなりの人で賑わってました。

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すぐに開場となり、まずはこちらもいつも通りホワイエで軽く腹ごしらえ。いつもはワインですが、この体調でワインをいただくと深い眠りに落ちてしまいかねないというリスクを回避するため、ビールをセレクト。結果的には正しい選択でしたね(笑)

この日の席は珍らしく1階席で中央後ろから2列目。オケが正面に見える席ですね。お気に入りのRA席は埋まっていたため高い席を取ったんですね。RA席だと指揮者の指示やパート間のフレーズのやりとりが克明にわかるんですが、この日の席はアルバムやテレビで聴くのと同様、オケの音とともにホールの響きを遠くから聴く席。各パートの響きよりもオケの音量バランスを聴く感じですね。

プログラムは2曲とも大編成の曲ということでステージいっぱいに団員席が広がる中、定刻となり団員がステージ上に並び、いつものようにちょっと小柄なノットが颯爽と登場。ほぼ満席の客席に向かってにこやかに会釈してすぐにマーラーの10番が始まります。最初のヴィオラのメロディーから息を飲むようなただならぬ緊張感が漂い、いきなりヴィオラの孤高の響きに釘付けになります。この曲の刷り込みはアバドがウィーンフィル振ったアルバムですが、アバドらしいしなやかなメロディーの流れの美しさをを極めた演奏に対して、ノットはやはりフレーズごとの表情の変化と現代音楽的な響きの峻厳さ、そしてオケのダイナミクスを極限まで追い込むようにコントラストを明確につけていきます。どちらかというとマゼールに近い感じ。マゼールは灰汁の強い印象がありますが10番はかなり洗練された演奏です。昨年にミューザで聴いた復活と同様の手法。全てのパートをコントロールするようなノットの細かい指示に対し、東響もノットの棒に完璧に応える精緻な演奏でノーミスの熱演。特に素晴らしかったのがヴィオラをはじめとする弦楽陣。弦の奏でるメロディーのニュアンスの豊富さが音楽に深みを与え、弱音のコントロールがこのマーラー最後の曲の孤高感を際立たせていました。静寂の中に消え入るような最後も見事。全ての余韻が消え去り、ノットがタクトをゆっくりと下ろすと客席から拍手が湧き上がります。オケの熱演に惜しみない拍手が送られました。この曲に込められたマーラーの諦観のようなものまで見事に描ききった名演でした。

休憩中にステージ上の座席配置が若干修正され、ハープがかたずけられて後半のブルックナーに移ります。

ノットのブルックナーは以前の8番のコンサートを収録したアルバムがリリースされており、評判はなかなか良いように聞いていますが、私は未聴です。ノットはキビキビ爽快にモーツァルトを描き、マーラーではニュートラルなダイナミックさ、現代音楽では峻厳な透明感を描いてきますが、ブルックナーをどう料理するのかあまりイメージできませんでした。この日のコンサートを聴いた結果から言うと、マーラーと同様なスタイルで現代的なダイナミックなブルックナーでした。ブルックナーの演奏には画家で言う画風がかなり重要な要素かと思いますが、ノットの画風は正攻法でブルックナーの演奏にはもう一歩踏み込みが欲しい印象を残しました。もちろん演奏は素晴らしいもので、3楽章終盤に金管が少し安定度を欠いた以外はオケは見事なパフォーマンス。特にスケルツォ楽章の怒涛の迫力は素晴らしいものがありました。マーラー同様弦楽陣は素晴らしいコントロール。そしてフレーズごとに表情を彫り込んでいくノットのコントロールも見事。ただ滔々と流れるブルックナーの音楽を少し微視的に捉えすぎてもう少し流れの良さがあるとよかった。コンサートではこのところスクロヴァチェフスキの描く大伽藍に圧倒されてきましたが、ノットの大伽藍はコンクリート製で意匠は凝らしているものの、ブルックナーらしさからちょっと離れてしまったといえばわかるでしょうか。この曲も3楽章の終結部は弱音で終わりますが、この日の観客は見事に静寂を保ち、オケの熱演を盛大な拍手で讃えており、お客さんの反応は極めて良いものでした。ノットもオケの熱演を讃え、コンサートは盛況のうちに終了。

マーラーはノットと東響のコンビの底力を見せつける素晴らしい演奏、ブルックナーも機能的には同様かと思いますが音楽の本質を考えさせらる演奏でした。



終演後は、サントーホール向かいの最近お気に入りのお店で反省会。ここ数日は母親がショートステイでお泊りのため、帰って介護の心配がありません。

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バレンシアナバル ブリーチョ

ワインとサングリアで喉を潤し、小皿を色々注文。この小皿が皆絶妙に旨いんですね。

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桜海老のアヒージョに、マグロの生ハムとトマト。アヒージョにはニンニクが丸ごとゴロゴロ入っているんですが、これがまた旨い。海老の香りも良く出ていて見事。そして生ハムに添えられたトマトが甘くて絶品。

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いつも必ず頼むレンズ豆とチョリソの煮込み。チョリソの独特の香りがこれまた絶妙。

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初めて頼んでみたホワイトアスパラのフリット。ナツメグで香りづけしたソースがこれまたいい香り。

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最後はジャガイモとタコのグリル。これとパンで2人でお腹いっぱいです。コンサートの余韻を楽しみながら美味しいお酒と料理でいい気分。

さて、レビューせねば、、、(笑)

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2 Comments

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katsudon

No title

お世話になります。
2日目のミューザ川崎に出掛けました
バンベルクとのマーラー全集には何故か10番は収録されていないのですが、ノットのマーラーは明晰さと適度な表情付けがあり好きな演奏です。今回の10番も余計な思い入れがなく純音楽的な演奏だったと思います。
かたやブルックナーはCD化されている8番、5番同様、「しなる鋼鉄」のような剛直さとしなやかさを持った演奏で、こちらも好きなタイプの演奏でした。
ノットと東響、よいコンビだと思います。

  • 2018/04/15 (Sun) 18:23
  • REPLY
Daisy

Daisy

Re: No title

katsudonさん、私も本当は音のいいミューザで聴きたかったんですが、あいにく歌舞伎公演とダブってしまってサントリーホールの方を取った次第。両方聴かれた方のコメントではブルックナーはミューザの方が良かったとのことで、羨ましい限りです。最近ノットの公演に色々行って、ノットの音楽のいいところも、私にはしっくりこないところも何と無くわかってきました。キャリア上は今が脂の乗った時期だと思いますが、今後10年、20年の間の成熟によって、ブルックナーもさらにこなれてくるような気がします。ハイドン同様、ブルックナーも演奏が難しい作曲家ですね。

  • 2018/04/17 (Tue) 21:03
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