作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

フォルカー・シュミット=ゲルテンバッハ/ポーランド室内管の悲しみ(ハイドン)

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またまたお宝盤!

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フォルカー・シュミット=ゲルテンバッハ(Volker Schmidt-Gertenbach)指揮のポーランド室内管弦楽団(Polnisches Kammerorchester)によるハイドンの交響曲44番「悲しみ」、モーツァルトの交響曲29番、ホルストのセント・ポール組曲、エルガーの序奏とアレグロ、ブリテンのシンプル・シンフォニーの5曲を収めた2枚組のLP。収録は1991年6月15日、ドイツのエッセン近郊に建つヴィラ・ヒューゲル(Villa Hügel)でのライヴとあります。レーベルは独KRUPP。

このLP、最近オークションで仕入れました。もちろんハイドン目当てで入手したものですが、このアルバムの奏者を見たときにビビビと電気が走ったのは言うまでもありません。それは当ブログでかなり前に取り上げた名盤であるシュミット=ゲルテンバッバの悲しみが含まれているからに他なりません。

2011/01/16 : ハイドン–交響曲 : シュミット=ゲルテンバッハ/ワルシャワ・シンフォニアの悲しみ

ただし、以前に取り上げたアルバムはワルシャワ・シンフォニア(シンフォニア・ヴァルソヴィア)の演奏、今日取り上げるLPはポーランド室内管の演奏ということで、別の演奏だと思って入手してみると、共通して収録されている悲しみとモーツァルトの29番の演奏時間は完全に一致する上、ちょっと聴いてみると演奏も同一であることが判明。ゲルテンバッハの写る写真も同じ。

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オケの方はワルシャワ・シンフォニアはポーランド室内管が母体となるオケとのことで一件落着かと思いきや、録音についてはCDの方は1991年4月ポーランドのワルシャワ国立ラジオスタジオでのセッション録音とあり、LPの1991年6月15日ヴィラ・ヒューゲルでのライヴと日付は近いもののエッセンとワルシャワと全く異なるロケーションと不可解です。

LPの方は美麗な解説書がついており、エッセンのヴィラ・ヒューゲルという建物の歴史から奏者、曲の説明まで独、英、仏の3ヶ国語で記載されており、観客を入れてゲルテンバッハが指揮をしているコンサート当日の写真まで載せているので、このコンサートのライヴ録音であるという企画通りの仕立て。しかし録音を聴いてみると、ライヴの会場ノイズは全く聞こえず、音響処理でノイズを消しているというレベルではない感じ。しかもハイドンとモーツァルトはスタジオ収録という感じの音響なのに対し、ホルスト、エルガー、ブリテンの方はこのヴィラでの録音と思わせる残響を感じさせます。ということで、この不思議な状態はもともとこういうわけであろうと想像してみると、、、

このライヴのLPのリリースにあたり、写真をみるとオケが観客に囲まれるような距離だったので、収録された音は会場ノイズが目立ちすぎるため、コンサートで演奏した曲を観客抜きでコンサートの前か後に収録たものを音源とすることにした。加えてちょうど6月のコンサートの前の4月にハイドンとモーツァルトはワルシャワでの収録が終わっているのでその音源を使い、異なるオケながらメンバーがおそらくダブっている2つのオケなので良しとしたという経緯ではないかと思います。ということでハイドンとモーツァルトの演奏のデータはCDのデータが正しいのではないかと思います。まあ、完全な想像なので事実関係はわかりません。

こうなると、興味はCDとLPの音質の差。CDでも演奏の素晴らしさは存分に味わえましたが、そのLPが手に入ったということで、さらに鬼気迫るダイレクト感が味わえるはずです。実に久しぶりにCDを取り出して、シュミット=ゲルテンバッハの名演奏を味わい、やおらLPに針を落とします。

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Hob.I:44 Symphony No.44 "Trauer" 「悲しみ」 [e] (before 1772)
やはり響きの自然さはLPの方が一枚上。膨らみ気味の音像もLPは自然になります。1楽章のヴァイオリンの迫真のボウイングは見事。キレキレな上に全奏者が完全に揃って透明感すら感じさせます。シンフォニア・ヴァルソヴィアの弦楽セクション、特にヴァイオリンはベルリンフィル以上の精度。オケの一体感も絶妙。神がかっているとはこのことでしょう。LPはミントコンディションで極上な上DMMカッティングということでノーノイズ。シュミット=ゲルテンバッハの精緻なコントロールに完全に追随するシンフォニア・ヴァルソヴィアの驚愕の演奏が間近に迫ります。ついついヴォリュームを上げてこの名曲の名演奏を堪能。惜しむらくは、この演奏がスタジオ録音ということ。ヴィラ・ヒューゲルで収録されていたらさらに素晴らしかったでしょう。というのも、このアルバムに含まれる、ブリテンのシンプル・シンフォニーも超絶的演奏。精緻なピチカートは驚くべき精度でしかもヴィラの広々とした空間に自然に広がる余韻の美しさも絶妙なんですね。やはりLPの方が演奏の真髄に迫ることができました。

このLPからはリアルなライヴの音を聴くことができませんでしたが、この日のコンサートを聴いた観客は極上の空間での極上の演奏に酔いしれたことは想像に難くありません。ハイドンもモーツァルトもブリテンもエルガーも絶品。ホルストのセント・ポール組曲はアンコールとして演奏されたと記録されています。このアンコールを楽しんだ観客の心情を想像しながらこのLPを楽しみました。

もちろん悲しみの評価は[+++++]。いいアルバムを手に入れることができました。

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