作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アルミン四重奏団のOp.20のNo.4(ハイドン)

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久々にCDに戻ります。最近仕入れたアルバムですが、クァルテットの名前も知らない、知る人ぞ知るアルバム。こういうアルバムを聞くのはワクワクしますね(笑)

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TOWER RECORDS / ローチケHMVicon

アルミン四重奏団(Armin Quartet)による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.4、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲Op.13の2曲を収めたアルバム。レーベルはバイエルン放送響などのライブのリリースで知られるaudite。収録は1994年10月25日から28日かけて、auditeレーベルの創業者であるフリードリヒ・マウアーマン(Friedrich Mauermann)の名を冠したマウアーマンスタジオ(Tonstudio Mauermann)でのセッション録音。

このアルバムは最近偶然手に入れたもの。好きなOp.20が入っているということで入手しましたが、CDプレイヤーにかけてみると、なかなか充実した響きが流れ出し、素晴らしい演奏に耳を奪われました。

auditeと言えば歴史的な録音の復刻で有名なレーベル。私はクーベリックがバイエルン放送響を振ったマーラーのライブ盤が印象に残っていて、1、2、5、9、大地の歌と結構な枚数が手元にあります。今回ちょっと調べたところauditeレーベルの創始者であるフリードリヒ・マウアーマンの兄弟であるエーリッヒ・マウアーマンがその当時の先代のバイエルン放送響のマネージャーだったということで、クーベリックのマーラーの録音やリリースに繋がったのだと思われます。クーベリックのマーラーの録音がauditeレーベルの主力のアルバムだったということです。

一方アルミン四重奏団はあまり知られた団体ではありません。この録音時のメンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:オットー・アルミン(Otto Armin)
第2ヴァイオリン:永富美和子(Miwako Nagatomi)
ヴィオラ:イングリト・フィリッピ(Ingrid Philippi)
チェロ:アンスガー・シュナイダー(Ansgar Schneider)

第1ヴァイオリンのオットー・アルミンは1943年カナダ生まれで1977年にドイツに移住するまではカナダなどを中心に活動していた人。彼の略歴を見ると1950年代からアルミン弦楽四重奏団というクァルテットを結成して活動していたようですが、カナダ国内での演奏やCBC放送への出演が多く、のちに米国インディアナ州のインディアナ大学のレジデント・クァルテットとなった経緯などを含めるとこのアルバムを録音した頃まで継続して活動していたかどうかはわかりません。オットー・アルミンは著名なヴァイオリンのコンクールに入賞したのちにヴィクトリア響、クリーヴランド管などのヴァイオリン奏者として活躍し、CBCモントリオール管ではコンサートマスターを務めました。教職ではケベック音楽院、マギル大学、カナダのナショナル・ユース・オーケストラなどを歴任。その後ドイツに渡り、ハンブルクフィル、シュツットガルト放送響のコンサートマスターを務めています。このアルバムのクァルテットのメンバーは皆シュツットガルト放送響のメンバーということで、50年代に活動したアルミン弦楽四重奏団とはアルミンが第1ヴァイオリンということだけが共通の模様。ちなみに第2ヴァイオリンの永富美和子さんは桐朋音大を出て室内楽をジュリアード四重奏団に学び、ジュネーヴでヘンリク・シェリングのマスタークラスを学び1973年からシュツットガルト放送響のアシスタント・コンサートマスターを務めているそう。

ということでレビューに入ります。

Hob.III:34 String Quartet Op.20 No.4 [D] (1772)
程よい残響を伴った鮮明な録音でしっかりと実体感のあるクァルテットがスピーカーの前に出現します。演奏は現代楽器によるオーソドックスなものですが、4人の息がピタリと合って精度は抜群。全員のボウイングが揃って奏でるハーモニーが絶妙な雰囲気を醸し出します。聴き進むとオットー・アルミンの第1ヴァイオリンの伸びやかなボウイングの魅力が徐々に際立ってきます。特段個性的なものではありませんが、ハイドンのこの曲を素直に料理することが最も作品の真髄に近づけるとの確信を持った演奏のように聴こえます。
続く2楽章に入るとヴァイオリンが奏でる短調のメロディーを次々とヴィオラ、チェロが受け継ぎじっくりと、しかし淡々と発展させていく妙味を味わえます。ヴィオラもチェロもかなり雄弁で聴きごたえ十分。再びヴァイオリンに戻ると短調の中にも艶やかさにハッとさせられる見事な展開。やはりハイドンの構成の見事さが印象に残る、オーソドックスなのに深い演奏。弱音部の精妙さと強奏部の堂々とした響の対比も見事。
メヌエットはメロディーラインに小節を効かせながらもチェロの軽やかな音階でさっぱりとまとめます。そしてフィナーレでは速いパッセージでも4人のアンサンブルの息の合ったところを見せつけますが、終盤に近づくにつれてオットー・アルミンのヴァイオリンの鮮やかなキレ味が牙を剥き始めます。録音がいいのでヴァイオリンの響きも実に心地よく感じます。4楽章を通して穏やかな起承転結がついて、ハイドンのこの時期のクァルテットの仄暗い雰囲気をくっきりと描き切りました。

やはり未知の奏者の演奏を聴くのはスリリングですね。先入観なく虚心坦懐に聴いた演奏は、このOp.20のNo.4の素朴な良さをくっきりと浮かび上がらせる名演奏でした。しっかりと地に足がついて弦楽器の響きも実体感十分。そして第1ヴァイオリンを軸にしながらもバランスの良い息のあったアンサンブルでまとめた手堅さが印象に残りました。ハイドンの演奏のツボを押さえた名手の集まりということでしょう。評価は[+++++]とします。

このアルバムの他に数枚しか録音が見つからないということで、現在も活動しているかどうかはわかりませんが、このアルバムに収録されたハイドンは皆さんに聴いていただくべき価値は有りです!

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