作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

オーマンディ/フィラデルフィア管の奇跡、時計(ハイドン)

0
0
オーマンディをもう1枚。

Ormandy96101.jpg

ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy)指揮のフィラデルフィア管弦楽団(Philadelphia Orchestra)による、ハイドンの交響曲96番「奇跡」、101番「時計」を収めたLP。収録は奇跡が1961年12月11日、時計が1962年1月28日、収録場所の記載はありません。レーベルは日本のCBS SONYで「オーマンディ”音”の饗宴1300」というシリーズの36巻。

前記事で取り上げた99番と軍隊があまりに良かったので、オークションでオーマンディの他のアルバムを探して仕入れたもの。99番と軍隊が1950年代の録音でモノラルだったのに対し、こちらは1960年代に入っての録音でステレオ。国内盤のCBS SONYということで録音はあんまり期待していなかったのですが、盤のコンディションは最高で針を落とすと素晴らしい響きに包まれるではありませんか。ということで、2記事連続でオーマンディを取り上げることになった次第。これまでのレビューは下記をご覧ください。

2018/01/07 : ハイドン–交響曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管の99番、軍隊(ハイドン)
2013/06/03 : ハイドン–交響曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管の時計旧盤
2012/05/24 : ハイドン–協奏曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管のトランペット協奏曲、協奏交響曲
2011/03/28 : ハイドン–交響曲 : オーマンディ/フィラデルフィア管の88番1958年モスクワライヴ

さて、手元にあるオーマンディのハイドンの録音の中では最も新しい録音であるこのアルバム、フィラデルフィアサウンドが炸裂するんですね〜!

Hob.I:96 Symphony No.96 "The Miracle" 「奇跡」 [D] (1791)
冒頭の序奏から透明感あふれる素晴らしい響きが広がります。CBSの国内盤がこれほど音がいいとはちょっと驚きです。オーマンディのコントロールが行き渡って、オケは絶妙なバランス。前記事で取り上げた99番と軍隊が1楽章の主題でかなりテンポを上げてきたので、この奇跡でもそうくるかと身構えていると、そう来ません! 実に落ち着いたテンポでじっくり練り上げるような演奏。むしろ録音が良いので曲のディティールの美しさを聴かせようというコンセプトでしょうか。なぜかミラクルな感じがするこの曲の1楽章を実に丁寧にコントロールしていきます。フレーズごとの隈取りも前記事の時とは異なり自然体に近いもの。耳をすますと各パートの演奏は非常にくっきりとして見事。そしてパート間のバランスも完璧でオーマンディのコントロールが行き渡っています。最後は落ち着いたクライマックスでキリリと締めます。
続くアンダンテも実に落ち着いた展開。それぞれのパートがくっきりと滑らかなに響きあい、ここまでの展開は細密な模写のように曲を緻密に描いていきます。奇跡のアンダンテのメロディの展開の素晴らしさを存分に味わうことができます。ヴァイオリンや木管のソロの神がかったような上手さが手に取ったようにわかります。
メヌエットは見事な録音によって彫りの深い音楽がくっきりと三次元的に浮かび上がる快感に酔いしれます。家がホールと化したような素晴らしい録音。鳥肌ものですね。途中のオーボエのソロのなんと見事なこと!そしてビロードのような弦楽セクション。迫力、バランスが高度に融合した素晴らしい演奏に打たれます。
そしてこの曲の聴きどころであるフィナーレは期待通りというか、あまりに素晴らしい演奏に言葉も出ません。爽快なのに素晴らしい切れ味、迫力、そして完璧なオーケストラのバランス。オーマンディの鍛えあげたフィラデルフィア管の面目躍如。フィラデルフィア管の底力を思い知らされたようです。ブラヴォー!

IMG_0949.jpg

Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
奇跡で完全にノックアウトされましたが、同じ調子で時計も演奏されるかと思うとゾクゾクしながらLPをひっくり返して針を落とします。実に精妙な序奏は、、、これは来そうです! 主題に入ると精緻な大迫力の響きが襲ってくるではありませんか。迫力がありながら落ち着いたコントロールでこの時計の1楽章の素晴らしいメロディーと次々と襲いくる波状攻撃に痺れます。まさにフィラデルフィアサウンド!
時計のアンダンテは予想通り落ち着いたテンポで入り、正確にリズムを刻みながらコミカルなメロディを描いていきます。展開部での迫力も期待通り。特に音量のコントラストを鮮明につけ、強奏部は未曾有の迫力と弱音部のデリケートなコントロールが見事に決まります。オーケストラコントロールの緻密さのレベルが違います。何度も言いますがオケのパート間のバランスと弦の美しい響きの素晴らしさは段違いです。
そしてメヌエットはもうオーマンディの独断場。これより素晴らしい演奏はありえないと思わせる完成度。中間部のフルートやファゴットの見事なソロも絶品。音楽の神様が降りて来ているよう。力が抜けた真のダイナミックさが味わえる奇跡的な演奏と言っていいでしょう。
フィナーレはなんと気高い入りでしょう! この演奏の総決算にふさわしい品格と迫力。オーソドックスなアプローチながら、描写の性格さとコントラストの付け方があまりに美しいので、完璧に美しいフォルムに仕上がっています。無限に広がるようなフーガの雰囲気も素晴らしく、最後は怒涛の迫力で結びます。

これは驚愕の名盤、人類の至宝です。これまで聴いた全てのオーマンディの演奏の頂点をなす演奏です。正直に言うとオーマンディについては同時代的にはちゃんと聴いてきませんでした。クラシックを聞き始めた頃は、カラヤンにベーム、バーンスタインなど知名度で上回る指揮者のレコードは色々買いましたが、オーマンディはちゃんと聴いていなかったのが正直なところ。今改めてこの演奏を聴き、オーマンディの偉大さがやっとわかりました。ベートーヴェンやモーツァルトはともかく、ハイドンの交響曲に関して、特にこのアルバムに収められた奇跡と時計についてはこれ以上の演奏があろうかと思わせる素晴らしい説得力に満ちたものでした。全盛期のフィラデルフィア管のすばらしさもこの1枚に凝縮されています。評価はもちろん両曲とも[+++++]です。「オーマンディ”音”の饗宴」と言うシリーズ名に偽りなし! まだ未入手のアルバムもありますので、もう少し集めてみたいと思います。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
関連記事

0 Comments

There are no comments yet.