作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管の99番、軍隊(ハイドン)

0
0
LPが続きます。

Ormandy99100.jpg

ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy)指揮のフィラデルフィア管弦楽団(Philadelphia Orchestra)による、ハイドンの交響曲99番、100番「軍隊」を収めたLP。LPに収録情報は記載されておりませんが、ネットを調べると99番は1954年4月15日、軍隊は1953年12月23日の録音であるとのこと。レーベルはCOLUMBIA。

このLPは旅行前の昨年11月にオークションで落札したんですが、すぐに発送されたという連絡があったものの、1週間経っても到着せず、出品者に確認しても発送したとのこと。旅行から帰って郵送事故かと思って出品者とこちらで事故照会をしたところ年末ギリギリになって中継局で宛名が剥がれた状態で保管されているのが見つかり、年末にあらためて到着した次第。私は仕入れにオークションをよく使いますが、ゆうメールでの未着トラブルは初めて。照会すると見つかるあたり、日本の郵便も捨てたものではありませんね。なんとなく運命を感じたアルバムゆえ取り上げる次第。

オーマンディは若い頃はほとんど聴いたことがありませんでしたし、ハイドンを振る人という印象もありませんでしたが、いくつか録音があり、これまでに3度ほど取り上げています。

2013/06/03 : ハイドン–交響曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管の時計旧盤
2012/05/24 : ハイドン–協奏曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管のトランペット協奏曲、協奏交響曲
2011/03/28 : ハイドン–交響曲 : オーマンディ/フィラデルフィア管の88番1958年モスクワライヴ

豪華絢爛ながらちょっと型にはまった印象のあるオーマンディですが、昔はそれゆえあまり興味を持たなかったものの、最近はハイドンの演奏には向いているのではないかと思うようになり、見かける度にアルバムを集めているといったところ。このアルバムも手元にない99番と軍隊ということでなんとなく良さそうな予感がしておりました。到着して調べてみると録音も上記の通り、1950年代とオーマンディ〜全盛期のもの。もちろん録音はモノラルということで、年末の大掃除でサブのプレーヤーをサブのラックの一番上にセットし直してモノラル専用の環境を作りましたので。いつものようにVPIのレコードクリーナーで綺麗にクリーニングして、モノラル用のプレーヤーに載せ、モノラルカートリッジの針を落とします。

IMG_0937.jpg

Hob.I:99 Symphony No.99 [E flat] (1793)
古いアルバムゆえ若干のノイズが残りますが、オケの響きはキレキレで分厚いく瑞々しいもの。ヴァイオリンパートのクッキリとした隈取りはフィラデルフィアサウンドそのもの。重厚な序奏から一気にテンポを上げて軽快な主題に入ると素晴らしい推進力でグイグイとオケを煽っていきます。フレーズごとに明確にテンポと勢いに区切りをつけながらハイドンの書いたメロディーを次々に繰り出していく快感に浸れる演奏。1楽章は速めのテンポで一気にまとめます。
驚いたのがアダージョ楽章の味わい深さ。1楽章の物凄い勢いから一転、実に深い音楽が流れます。おそらく録音会場の外を走る車の音でしょうがわずかに低音のノイズが聴こえるのが微笑ましいところ。このアダージョは絶品です。
深いアダージョの音楽が終わり、メヌエットに入ると規律正しいオーマンディらしい抜群の安定感でオケが見事なアンサンブルを聴かせます。この精緻なメヌエットの演奏は鍛え抜かれたオケとの信頼関係があればこそ。名書家による達筆の楷書のようにどこから見てもバランスを崩さない均整のとれた音楽。ディティールもキレまくっていて冴え冴えとしています。
そしてフィナーレは完璧なるオーマンディのコントロールが行き渡りながら曲が進むにつれて徐々にエネルギーを帯びていきます。見事な起伏に赤熱する鉄の塊のようなエネルギーが加わり、終盤ふっと息を抜いてから、最後のクライマックスをキレキレで結びます。

Hob.I:100 Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
LPを裏返して軍隊です。なんと艶やかなヴァイオリンの響き! 全てのパートの音量がきちんとコントロールされ、まさにフィラデルフィアサウンド! すぐに先の爆発を予感させる響きが聴こえ迫力十分。この曲でも主題に入ると快速テンポに切り替わりオケが見事追随。フレーズの節々のアクセンとが実にキレよく響くので軍隊という曲が非常に軽快かつスペクタクルに鳴り響きます。重厚というより痛快な1楽章でした。
続くアンダンテはくっきりと表情をつけるオーマンディならではのキレの良い行進曲。もちろん迫力は十分ですが、音量ではなくキレで聴かせるアンダンテ。ここでも若干速めのテンポで見通しよくまとめる手腕は健在。箱庭的面白さを感じさせます。
前曲同様見事なのはこのメヌエット。実にくっきりとメヌエットの面白さを描いていき、アンダンテ同様迫力よりも見通しの良さにこだわっているようです。この余裕たっぷりの軽やかさは見事ですね。
そしてオケの機能美が堪能できるフィナーレですが、入りは軽めで徐々にエネルギーが宿り、特にキリリと締め上げるような要所のアクセントが効いてきます。軍隊にありがちな高揚感を煽るのではなく、引き締まりまくったオーケストラとパーカッションの乱打のキレで聴かせる見事なフィナーレでした。

オーマンディが亡くなったのは1985年。1980年に勇退するまで42年にわたりフィラデルフィア管の音楽監督を務め、後任をやはりくっきりとした響きを造るリッカルド・ムーティに譲るなど最後まで美学を貫いた人。たまたまとはいえ今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートに久々に登壇したムーティの繰り出す優雅でキリリとした響きを聴いて、オーマンディのDNAを継いでいると感じたのは私だけでしょうか。このアルバムのハイドンもオーマンディの美学が貫かれています。特に99番は見事な演奏。先日Best Choice of Worksとしてザロモンセットの各曲のベスト盤として99番はパーヴォ・ベルグルンド盤を選びましたが、このアルバムを聴いていたらこちらを選んだでしょう。評価は両曲とも[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
関連記事

0 Comments

There are no comments yet.