ヴァルター・オルベルツのピアノソナタ旧録音(ハイドン)
ようやくレビューに戻ります。2018年最初のアルバムはこちら。

ヴァルター・オルベルツ(Walter Olbertz)のピアノによるハイドンのピアノソナタ2曲(Hob.XVI:23、XVI:40)、モーツァルトピアノソナタ(KV332)、アダージョ(KV540)の4曲を収めたLP。収録年の表記はありませんが、ネットを調べたところ1964年のリリースのようです。レーベルは旧東独ETERNA。
このアルバムは最近オークションで入手したもの。見かけたときはちょっと過呼吸になりました(笑) 当ブログの読者の皆さまならご存知のとおり、オルベルツといえば、ハイドンのピアノソナタ全集を録音し、しかもその全集は現在でもそのファーストチョイスとして揺るぎない価値を持つもの。そのオルベルツの全集をお持ちの方も多いと思いますが、このアルバムはその全集の前に録音されたもの。全集の方が1967年から76年の録音で、こちらはリリースは1964年との情報がありますが、収録はモノラルのため、それより前の可能性もあります。
全集からXVI:20を取り上げて記事を書いてありますので、オルベルツの略歴や全集についてなどはこちらをご覧ください。
2013/01/30 : ハイドン–ピアノソナタ : ワルター・オルベルツのピアノソナタXVI:20
ちなみに、これまでワルター・オルベルツと表記してきましたが、ドイツ語読みだとヴァルターの方が近いのでしょうから、今後はヴァルターとします。
オルベルツは1931年生まれですので、このアルバムが1964年録音だとすると33歳くらい。ジャケットに写る姿はそれよりだいぶ若そうな気がしますね。オルベルツの揺るぎない演奏の原点を探れるという意味もあり、貴重なものと言えるでしょう。いつも通りVPIのクリーナーと必殺超音波美顔ブラシで丁寧にクリーニングして、年末の大掃除でモノラル専用のプレーヤー環境をセッティングしたのでそちらの方に盤を置き、針を落とします。
Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
全く気負いのない滑らかな入り。後年の達観したかのような冷静さよりは、流麗なタッチの魅力を表現しようとする意欲を感じます。ただし、音楽の骨格の確かさは後年の演奏と同様、表現にブレはなく、やはり揺るぎないと言わざるを得ません。若いぶんテンポは速めでタッチのキレも鮮やかですが何か一貫した安定感があるのは流石。LPのコンディションはわずかにノイズを伴いますが、音の実在感は流石のもの。1楽章のアレグロ・モデラートは爽やかながら落ち着いた心情を感じさせます。
その余韻をさらに深めるように始まる続く2楽章のアダージョは針音混じりながら静寂感を感じさせる素晴らしいもの。あらためて全集のCDと比べても録音の鮮度は全集に分がありますが、雰囲気と音楽の深さはこちらでしょう。ピアノの美音に包まれる幸福感を味わえます。
続くフィナーレではオルベルツらしい、落ち着き払った透徹したピアノの音色が聞かれます。メロディーラインをくっきりと浮かび上がらせながらも全体のバランスを乱さない流石のコントロール。凛々しさを感じさせながらもこのソナタの表現を極めようという意図が感じられ、それが演奏の抜群の安定感に繋がっています。

Hob.XVI:40 Piano Sonata No.54 [G] (c.1783)
続くソナタは2楽章制。不思議に静寂感を感じさせる落ち着いた入り。後年の演奏よりもよほど達観しているとさえ感じさせる、冴えた落ち着き。全指に全神経が張り巡らせて冷静にコントロールしている感じながらさらりとした流れの良さを保った演奏。実に自然なタッチですが、これが常人には非常に難しいのでしょう。すでにハイドンの音楽と一体化するオルベルツの恐ろしいまでの制御能力を感じさせます。力の抜け方はちょっと特別なものを感じます。
2楽章のプレストはその力の抜けた優雅な雰囲気のまま実に軽々としたタッチでさらりとやっつけます。これがまた常人離れしたもの。短い曲なのであっという間に終わってしまいますが、泡沫の夢のような淡い音楽に酔いしれます。古い録音ながら、古い録音だからこそ味わえる素晴らしい音楽を楽しめる素晴らしい演奏でした。
LPの裏面はモーツァルト。ギーゼキングを思わせるこちらも揺るぎない安定感を感じさせる演奏。私はギーゼキングよりもオルベルツの軽やかさ保った演奏をとります。こちらも絶妙なる音楽を味わえる名演奏と言っていいでしょう。
ヴァルター・オルベルツの金字塔たるハイドンのピアノソナタ全集のオリジンを聴くようなこのLPでしたが、期待に違わず素晴らしい演奏が音溝に刻まれていました。なんでしょうこの豊かな音楽は。時代の空気まで刻まれたような素晴らしい録音に酔いしれました。ハイドンもモーツァルトも絶美の演奏。アナログもデジタルもステレオもモノラルも関係なく、この素晴らしいピアノの音に包まれる幸せを感じる演奏です。LPの再生環境のある人は是非手に入れてこの幸福感を味わってほしいものです。もちろん評価は[+++++]とします。

ヴァルター・オルベルツ(Walter Olbertz)のピアノによるハイドンのピアノソナタ2曲(Hob.XVI:23、XVI:40)、モーツァルトピアノソナタ(KV332)、アダージョ(KV540)の4曲を収めたLP。収録年の表記はありませんが、ネットを調べたところ1964年のリリースのようです。レーベルは旧東独ETERNA。
このアルバムは最近オークションで入手したもの。見かけたときはちょっと過呼吸になりました(笑) 当ブログの読者の皆さまならご存知のとおり、オルベルツといえば、ハイドンのピアノソナタ全集を録音し、しかもその全集は現在でもそのファーストチョイスとして揺るぎない価値を持つもの。そのオルベルツの全集をお持ちの方も多いと思いますが、このアルバムはその全集の前に録音されたもの。全集の方が1967年から76年の録音で、こちらはリリースは1964年との情報がありますが、収録はモノラルのため、それより前の可能性もあります。
全集からXVI:20を取り上げて記事を書いてありますので、オルベルツの略歴や全集についてなどはこちらをご覧ください。
2013/01/30 : ハイドン–ピアノソナタ : ワルター・オルベルツのピアノソナタXVI:20
ちなみに、これまでワルター・オルベルツと表記してきましたが、ドイツ語読みだとヴァルターの方が近いのでしょうから、今後はヴァルターとします。
オルベルツは1931年生まれですので、このアルバムが1964年録音だとすると33歳くらい。ジャケットに写る姿はそれよりだいぶ若そうな気がしますね。オルベルツの揺るぎない演奏の原点を探れるという意味もあり、貴重なものと言えるでしょう。いつも通りVPIのクリーナーと必殺超音波美顔ブラシで丁寧にクリーニングして、年末の大掃除でモノラル専用のプレーヤー環境をセッティングしたのでそちらの方に盤を置き、針を落とします。
Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
全く気負いのない滑らかな入り。後年の達観したかのような冷静さよりは、流麗なタッチの魅力を表現しようとする意欲を感じます。ただし、音楽の骨格の確かさは後年の演奏と同様、表現にブレはなく、やはり揺るぎないと言わざるを得ません。若いぶんテンポは速めでタッチのキレも鮮やかですが何か一貫した安定感があるのは流石。LPのコンディションはわずかにノイズを伴いますが、音の実在感は流石のもの。1楽章のアレグロ・モデラートは爽やかながら落ち着いた心情を感じさせます。
その余韻をさらに深めるように始まる続く2楽章のアダージョは針音混じりながら静寂感を感じさせる素晴らしいもの。あらためて全集のCDと比べても録音の鮮度は全集に分がありますが、雰囲気と音楽の深さはこちらでしょう。ピアノの美音に包まれる幸福感を味わえます。
続くフィナーレではオルベルツらしい、落ち着き払った透徹したピアノの音色が聞かれます。メロディーラインをくっきりと浮かび上がらせながらも全体のバランスを乱さない流石のコントロール。凛々しさを感じさせながらもこのソナタの表現を極めようという意図が感じられ、それが演奏の抜群の安定感に繋がっています。

Hob.XVI:40 Piano Sonata No.54 [G] (c.1783)
続くソナタは2楽章制。不思議に静寂感を感じさせる落ち着いた入り。後年の演奏よりもよほど達観しているとさえ感じさせる、冴えた落ち着き。全指に全神経が張り巡らせて冷静にコントロールしている感じながらさらりとした流れの良さを保った演奏。実に自然なタッチですが、これが常人には非常に難しいのでしょう。すでにハイドンの音楽と一体化するオルベルツの恐ろしいまでの制御能力を感じさせます。力の抜け方はちょっと特別なものを感じます。
2楽章のプレストはその力の抜けた優雅な雰囲気のまま実に軽々としたタッチでさらりとやっつけます。これがまた常人離れしたもの。短い曲なのであっという間に終わってしまいますが、泡沫の夢のような淡い音楽に酔いしれます。古い録音ながら、古い録音だからこそ味わえる素晴らしい音楽を楽しめる素晴らしい演奏でした。
LPの裏面はモーツァルト。ギーゼキングを思わせるこちらも揺るぎない安定感を感じさせる演奏。私はギーゼキングよりもオルベルツの軽やかさ保った演奏をとります。こちらも絶妙なる音楽を味わえる名演奏と言っていいでしょう。
ヴァルター・オルベルツの金字塔たるハイドンのピアノソナタ全集のオリジンを聴くようなこのLPでしたが、期待に違わず素晴らしい演奏が音溝に刻まれていました。なんでしょうこの豊かな音楽は。時代の空気まで刻まれたような素晴らしい録音に酔いしれました。ハイドンもモーツァルトも絶美の演奏。アナログもデジタルもステレオもモノラルも関係なく、この素晴らしいピアノの音に包まれる幸せを感じる演奏です。LPの再生環境のある人は是非手に入れてこの幸福感を味わってほしいものです。もちろん評価は[+++++]とします。
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