作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

H. R. A. Award 2017

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すでに年も明けて2018年の元旦を迎えました。テレビではリッカルド・ムーティが久々にウィーンフィルのニューイヤーコンサートに登場し、ウィーンフィルからムーティらしい覇気に富んだ優雅な大音響を引き出してお正月気分を盛り上げてくれています。

年間のベスト盤を選ぶこの企画を立ち上げてからすでに6年経過致しました。まだまだマイナーなハイドンを愛する人のために、2017年にレビューしたアルバムからこれぞというアルバムを選ぶ企画ですが、最近は新譜よりLPなど古い録音の掘り起こしの方に興味を惹かれているため、必ずしも新譜た取り上げられる訳ではありません。次々とリリースされる新譜に対して、歴史の波に揉まれても流通し続ける価値のあるアルバムにこそ、派手さや世評とは無関係に素晴らしい録音が眠っているものです。そうしたアルバムを掘り起こし、演奏者の再評価というかリスペクトを表明しようというのが本企画のコンセプトであります。それゆえリリースの新旧、入手のしやすさなどに関係なく素晴らしい演奏を世に問うというのが真意。入手しにくいものもありますが、コアなハイドンファンには是非聴いていただくべき至宝という位置付けになります。今年は月間のベストであるHaydn Disk of the Monthに選ばれなかったアルバムも選定しています。


【交響曲部門】

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2017/11/19 : ハイドン–交響曲 : リステンパルト/ザール室内管の交響曲21番、マリア・テレジア(ハイドン)

交響曲部門はこのLPです。一部のハイドンファンの間では非常に評価の高いリステンパルトですが、このアルバムに収録された交響曲21番と「マリア・テレジア」はその中でも頂点をなすものです。何しろ米nonsuchのLPの録音が圧倒的な素晴らしさ。スピーカーの存在が完全に消え、家がコンサートホールそのものになってしまったと錯覚する超絶鮮度の録音。その録音でハイドンのこの時期の交響曲に込められた素晴らしい音楽がイキイキと鳴り響くのですからたまりません。1965年の収録ながら、以降の全ての録音よりも鮮明で広がりがあり図太さがあります。このアルバムが録音されて以降、録音は技術的には圧倒的に進化しましたが、芸術的にはこの録音を越えられていないと思います。両曲ともに私はこの演奏をベストとします。このアルバムこそ至宝というべきでしょう。
交響曲はジョヴァンニ・アントニーニによるハイドンの交響曲全集が進行中で、最新の第5巻も素晴らしい出来ですが、このアルバムは私が推さなくても世評も良いので、私はリステンパルトを選んだ次第。LPの再生環境がある方は是非入手を試みてください。


【管弦楽・協奏曲部門】

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2017/03/03 : ハイドン–協奏曲 : ファイ/シュリアバッハ室内管のピアノ協奏曲集(ハイドン)

実はヴィヴィアヌ・シャッソのアコーディオンによるピアノ協奏曲集と非常に迷ったのですが、ファイのアルバムに決めました。突然の怪我により進行中の交響曲全集の完成も危ぶまれているファイですが、この一連の交響曲の録音の前に収録されたピアノ協奏曲集。私も最近入手して聴いたのですが、交響曲の録音で有名になったファイのハイドンの最初期の録音であり、後年のキレキレの演奏の魅力がすでに全開。ピアノを担当するゲリット・ツィッターバルトもキレキレ。ということでイマイチ知られていないファイの協奏曲の録音ですが、私がファイのアルバムからベスト盤を選べと言われたらこのアルバムもその候補に入るという素晴らしい出来です。以外に知られていないが素晴らしい演奏ということで、やはり当ブログが推すべきアルバムです。
ちなみに、シャッソのアコーディオンによるピアノ協奏曲集も未聴の方は是非聴いてみてください。目からウロコが落ちます(笑)


【弦楽四重奏曲・室内楽部門】

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2017/06/13 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : スミソン弦楽四重奏団のOp.77/103(ハイドン)

いや〜、クァルテットもオルランドと悩んだんですが、スミソンに決めました。このアルバム、Op.77とOp.103の決定盤と言っていいですね。やはりヤープ・シュレーダーのヴァイオリンが神がかった素晴らしさ。この曲には達観しきったようなシュレーダーの透明感あふれる演奏が似合います。録音は1988年と古いものですが、古さを感じさせない素晴らしい響きが聴かれます。弦楽四重奏というハイドン自身が作ったジャンルの最高峰の演奏。知性とバランス、そして美しいメロディーの全てが高度に融合した至高の演奏とはこのことでしょう。この曲の愛聴盤として聴かれ続けるべき名盤です。


【ピアノ曲部門】

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2017/02/08 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】マルクス・ベッカーのピアノソナタ集(ハイドン)

ここにきてようやく新譜を選ぶことができました。マルクス・ベッカーのピアノソナタ集。マルクス・ベッカーという人は初めて聴きましたが、恐ろしく鋭敏なタッチでハイドンのソナタを鮮やかに弾き分けていきます。ピアノソナタは特にリズムやタッチの一つ一つのキレが音楽の表現に大きな影響があるだけに、ベッカーのこの鮮やかなタッチは大きな魅力になります。それでいてテクニックの誇示と聞こえるようなハッタリは全くなく自然に音楽が流れるのがこの人の凄さでしょう。もともとレーガーなど現代物を得意としている人ですが、このハイドンを聴くと続編を期待したくなってしましますね。こちらも未聴の方は必聴のアルバムです。


【声楽曲部門】

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2017/04/12 : ハイドン–オラトリオ : 【新着】絶品! ミヒャエル・シェーンハイトの天地創造ライヴ(ハイドン)

いやいや、このアルバムは知っている人は少ないでしょう。これぞ当ブログが選ばなくて誰が選びましょう。数ある天地創造の中でも、超マイナーな存在の当盤ですが、天地創造という曲を研究し尽くしたミヒャエル・シェーンハイトというドイツの指揮者によるライヴ。こちらも新着アルバムで2015年と最近の録音です。このハイドンの最高傑作たる長大なオラトリオを、極めて見通しよく一気に聴かせる匠の技。意外と言っては失礼ですが、レベルは非常に高く、並み居る名指揮者の録音以上の素晴らしい演奏です。天地創造の名演奏として安心しておすすめできるアルバムです。



以上、ハイドンばかり聴いている当ブログの2017年にレビューしたアルバムからセレクトした部門別ベスト盤でした。2018年もいい演奏が発掘できるよう、精進してレビューに励みたいと思いますので、本年もよろしくお願いいたします!

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1 Comments

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michael

新年おめでとうございます

このところ、当方レビューが少なかったですが、
ハイドン大好きに変わりありませんので、また書いていきたいです。
今年もよろしくお願い致します。